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楽しい異世界!とでも思っていたのかあ?

初めまして


ありふれた異世界ものを書くという勇気


全ての異世界ものの小説を読んだわけではありません(ていうかムリ)

故に主人公に当たる人物の設定が、私の知り得ない他の小説で

存在しているかもしれません


つまり、被ってたら教えて下さい

その時は消すなり非表示にするなりします


流血表現・残酷な表現を用いる可能性があります


文法、語彙などはこの戦いについていけないので置いてきました

(つまり無いと言うことです。人によってはお見苦しい文章かもしれません)


そして、大変上品()な描写を含みます


以上の内容を受け入れられない方は、他の楽しい小説をお読み下さい

皆さんは、異世界は本当に存在し得ると思うか。皆がその世界を考え、考えた人の数だけ異世界は書籍、アニメとなっていった。異世界、それは空想上に過ぎないと思う人が圧倒的に多いはずだ。今我々が住んでいる世界と別の世界があると言えば、多分笑われたりするだろう


だが、例えばドラゴンという空想上の生物はご存知だろうか。当然、地球にはいない。

しかし、そのドラゴンを一番最初に絵で表して『ドラゴン』という名前を定義した人は、本当に一から全て想像したのだろうか。もしかしたら、見たことがあるのかもしれない。


天国や地獄があると、最初に誰が言ったのか。神様はいると、最初に誰が言ったのか。


それと同じように考えると、異世界ってもしかしてあるのかもしれない

だって宇宙人にさらわれた経験がある人だっているし(?)




そう!本当にあるそんな異世界!空想上に過ぎないドラゴンだって飛び交い、剣と魔法が織りなす、都合の良い能力で無双していく異世界!そんな夢のようなファンタジーが今! 




始まらない!















「…」




異世界に訪れて1年経過。ややくたびれた感じの木造の建物。ここは雑貨屋のようだ。

その中に、建物よりもっとくたびれた男が椅子に座っていた。何かをしている様子は無く、とにかくダラーッとしている。どこを見ているのか分からない顔をして、時計の針が進む音がカチカチとその部屋に響く。




「…」




この雑貨屋の近くには、自然溢れる環境が広がっている。少し歩けば森があり、きれいな川も流れている。草原は風に揺られて、昼寝したりピクニックをしても最高だ。ビルやアスファルトで埋め尽くされた地球と比べると、とてもきれいな世界だ。




「…腹減ったな」




このぽつんとある雑貨屋から、森よりもまだ少し離れたところには王国がある。そこでは、人が賑わい、治安も良く冒険者なる者たちもよく訪れたりするそうだ。健やかで雄大な国、その名はソフ=トオン=デマンド王国という。皆は縮めてデマンド王国と呼んでいる。




「…何もしなくても腹は減る…か。…あーあ、悲しいねえ」




この世界は、地球とは全く違う。この世界は、剣も魔法も存在する。ドラゴンのような空想上の生物も存在する。この男も、異世界に訪れる前にそういう類いの知識はある。というか、いくつかそういう小説も読んだことはある。だから当初はワクワクした。『当初』は。




「…何かあったかねえ」




今や、くたびれた男はワクワクからほど遠い顔をしている。別にチートを授かって無双をしたい訳では無かった。それは身の丈には合わない。きっとそれは、自分の身をいつか滅ぼすような気もしたからだ。




「…あー水汲みにいかないといけないかねえ」




文明の利器なる物が地球と比べてほとんどない。不便、この上なくいろんな事が不便。学ぶことが多いため、この世界を楽しむ余裕なんて無い。モンスター退治、魔王討伐なんてもっての外。火をおこすことだってままならない。動物の解体とか何回吐いたか分からない




「…しんどいわねえ」




分相応に生きようとすることも精一杯。彼は、けだるそうに水を汲みに行くために桶を持って扉を開けて外に出ようとする。すると




「…ん」




ドアが開いた。カランカランとドアベルが鳴り響き、2人の男が入ってきた。その音を聞いてとりあえず桶を置いた




「ずいぶん汚い店だな」


「お前が店の主か」




乱暴な口調のまあまあ年食ってそうな男が2人。身なりは荒れた服を身に纏い、健全な一般人には見えない。物騒な得物までぶら下げている。鞘に収めた剣が目立つ




「…いらっしゃいませー!気まぐれな雑貨屋、『ZUKON/BAKON』へようこそ!私、店長の溜池(ためいけ)語呂之介(ごろのすけ)と申します!どうぞよしなに!」




群衆の心をキャッチしそうな名前のお店、『ZUKON/BAKON』。そこで店長をやる男は、溜池語呂之介と名乗った。ちなみに彼は本名を忘れたそうだ。なので、地球に居た頃の大変貴重な情報を脳みそから引っ張り出して、仮の名前、ネット風に言うとハンドルネームを自分の名前とした。さっきまでのくたびれた雰囲気が一変して、接客モードで2人を出迎える




「ゴローってんだな?ご苦労なこった」


「まあ名前はどうでも良い。用件はシンプルだ、店の物を寄越せ」


「はーいはい!今日はポーションがありまっせ。他にはこの盾が銅貨69枚で販売中でして」


「金はねえ」


「だから寄越せと言っている、タダでな。イヤなら、ちょいと痛い目に遭わなきゃならねえ」


「…」




金は無く、物を寄越せ。ということは強盗という事になる。男達は気が短いのか、腰にぶら下げている剣の柄に手をかける。語呂之介は、その言葉を聞いてさっきまでの歓迎ムードを消し、表情を曇らせて




「あァん!?お客さん!?」


「あ!?」


「出て行けェ!!」




強盗2人にそう言い放った。それを聞いた強盗は顔が険しくなる




「てめェ、俺らが誰か分かってんのか?そんな俺らになんて言ったんだ?」


「命が惜しくないんだな?穏便に済ませようという考えも無いのか」


「ア○ルのシワより少なそうな脳をお持ちな感じはしますね。21本未満ですかね。なんて言ったかを聞き逃すとはまた難儀な」


「てめえ表出ろこら!!!」




語呂之介は胸ぐらを掴まれて店の外に引きずり出された。体格差の違いは見て取れた。強盗は鍛えているためか、筋肉質。語呂之介は細身の男だ。




「あらァ!?誰かあ!!犯されるう!!私、男には興味ないんですう!!」


「こいつマジでいかれてやがる」


「気色がわりいんだよお!!おらあ!!」




強盗の一人は呆れていたが、もう一人はおちょくる態度が癪に障った為か剣を抜き、語呂之介に斬りかかった。背中から斬られ、血が飛び散り倒れる




「…!!!………ぐっ……」


「おい、まだ生きてるぞ。店に向かって這ってやがるぜ」


「けっ、あがくんじゃねえ。あばよ!」




とどめと言わんばかりに、自分の体重をかけて背中から心臓に当たる位置に剣を突き刺した。短い声と血を吐き出し、体をびくっと震わせ語呂之介は動かなくなった




「はあ…ったく、くだらねえ体力使わせやがって」


「挑発する割には雑魚だったな。どこかおかしかったんだろうなこいつ」


「ちげえねえ。さて、チンケな店だろうが、噂ではドラゴンの素材とか置いてあるそうだ」


「マジかよ。こいつが狩れるのか?」


「バカ言うな、仕入れているだけだろ。と言うことはだ、金も結構持ってる事になる」


「いいねえ。そしたら物色タイムと行きますかね」




切り伏せられ、突き殺された語呂之介の死体の上で強盗達は楽しそうな会話をする。これから先の自分の利益のことに、実に楽しそうに




「お前はその死体を目立たないところに捨ててきてくれるか?」


「しゃーねーな。まあ近くにモンスターがいるはずだ。そいつらが喰うだろ」




まず物色に行くのは、殺した男が行くそうだ。もう一人の男は、死体を運ぶことにした。周りが自然に囲まれていても、デマンド王国の者たちも通る道の上に死体があると言うのは目立つ。無用なトラブルが起こる可能性を減らすため、証拠隠滅を図る




「さて、うわあ派手に斬ったな。血が付いちまうぜ。こいつ自身は金持ってんのかね」




死体を漁ることを忘れない。搾取できるものは徹底的にやるのが強盗だ。語呂之介の服、装飾品などに手をかけようとしたその時




「ぐわあああああ!!!」


「あ!?どうした!?」




店の中で男の叫び声が聞こえた。死体を漁るのを止め、急いで店の方へ駆ける




「いでえええ!!おい!!助けてくれ!!」


「なんだってんだおい!!」




その扉を勢いよく開けて中に入る。すると、そこには男がうつぶせで倒れていた。何かに斬られたような大きな傷。背中から血が飛び散り、店の中を汚す




「た、助け………がああ………ご………」


「ああ!!?」




少しだけ這っていた男は、もう一人と目が合うや否や体をびくっと震わせ絶命した。斬られた痕と、背中の心臓の位置に何かに突き刺された痕がいつのまにか存在していた。もう一人の男は、何が何だか分からないといった顔をしている。絶命した男に手を置いて何度も揺する




「おい!!起きろ!!何があった!?罠か!?設置魔法か!!?おい!!」


「大丈夫ですかお客さん!こんなところで寝たら行儀悪いですよ!」


「あ!?ふざけたこと言うんじゃねえ!こいつが斬られ………おおおおおおお!!?」




揺さぶっていた男の隣に、いつの間にか居た人物を見て男は驚いてひっくり返った。その人物は、先ほどまで死んでいた男




「て、て、てめえ!なんで生きてやがる!!?」


「奇跡も魔法もあるんだよ、でも救いは無いね。あ、嘘です。私は蘇生魔法使えませんし」




語呂之介がそこに立っていた。背中の傷はふさがり、血痕も見受けられない。だが、服は斬られた名残がある




「しかし物騒でしたねこの人。ア○ルのシワ発言で怒ったのか、男に犯される発言に怒ったのか、それぐらいで斬ってきます?」


「お前、何をした!?」


「いえ何も。それより店汚れましたよ。掃除してくれません?それか、クリーニング代として銅貨69枚ほしいですけど」


「来るんじゃねえ!!」




尻餅をついていた男は、なんとか立ち上がり自分の持っている剣を抜いた




「吐け!設置魔法を仕掛けているのか!?蘇生魔法を使うってんなら魔力が尽きるまで斬るぞ!」


「(聞いてないんかなこの人、蘇生魔法使えないのに)はは、止めておきなさい斬るのは。じゃないと死にますぜ?」


「…へえ、ずいぶん余裕だな。誰が死ぬって?」


「私がね!」


「…」




自分の両手の親指を立てて、自分に向けてアピールする語呂之介。もう一人の男の言うことを答える気は無いと判断したのか、無言になり切れた




「うおおおおおお!!!」




まともに会話する気も無い男に構っている暇は無い。価値も無い。怒りに身を任せ、勢いよくダッシュして再び語呂之介を斬り殺すことになる。迫る刀身は語呂之介を捉えていく




「…はあ、困ったねえ」




その時の語呂之介の顔は、おちょくりまくっていた時と比べ、くたびれた顔をしていた。そして再び、盛大に血を流し、切り伏せられたのだ











語呂之介は、死んだ強盗2人の服や装飾品を漁っていた。何事も無いようにしており、斬られた痕が見て取れる服以外は元通りだった




「…うわ、ちゃんと金持ってるんかいこの人達。質悪いなあ。で、これは水筒か。おっさんの使ってた水とか飲みたくないな。汲むしか無いのか結局。あとは、携帯食料か。もう晩飯、これでいいや、はあ」




陽は傾き、夕方を迎えようとしていた。夜はモンスター達が活性化していく。外に出るのは得策では無い。時間が無いことに対し、実にけだるそうにしている




「…せめて店外でお亡くなりになってれば楽なのにもおおお、仕事増えたわあ。…はあ」




一人になった途端、ため息が増えくたびれる。そして、絞り出したような声で




「…早く楽になりたいねえ」


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