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第1章 冒険の始まり

「にいに見て! お花が綺麗! 」

「ウェーン、にいに、ぬいぐるみが、ない」

「にいになんか知らない 」

「エヘヘ、にいに大好き」

『リウ……』

「ルキ! ねえルキってば! もうーっ、ボーッとするなーっ! 」

ボカンッ

その瞬間、少年の頭に大きなタンコブができた。

「クウーッ、イッテーッ! 」

少年は頭をおさえながら転げ回る。

「なんだ? ! だれだ? ! ってお前かーっ! 」

「うるさい」

ボカンッ 二発目

「イッテーッ! オイ、ハボ! なんで殴る? ! 」

少年は恨めしそうに、ハボと呼んだ少女を睨む。

「仕方ないじゃない。ずっと鹿の肉の骨しゃぶられながらボーッとされるとバカがもっとバカに見えるもの」

「なんだとー? 」

やんのかテメーと突っかかってくるバカにヒュッと人差し指をつきさす。

「あんま騒がないでよね。 だいたいココをどこだと思ってるの? 」

「決まっているだろ! ココは! 」

少年は胸をドンとはるが……。

「あれ? ここどこだっけ? 」

「バカッ! 」

ハボが殴る。

「もうーテメーさっきから何発目だー? 」

「知らないわよ。あんたが悪いんでしょ。あとココは食飲屋! もう肉食べ終わったでしょ? さっさと出てってよね! 」

ハボがため息混じりにいう。

「そーだ、俺飯食いに来たんだー」

「そう! あんたは鹿の肉を五人前食べたのよ」

「へー、なーハボ肉くれ肉」

「もうあんた分かんない」

ハボはそう言うと、店の奥に引っ込んで行った。

少年の名前はルキ。ただのバカだ。

しばらくして、

「ほら」

と、ハボは店の奥から持ってきた鹿の肉をルキに渡した。

「食いなさいよ腹減ったんで

「ほんとーかー? ! 」

ルキは一瞬で鹿の肉を骨ごと食べてしまった。

「ありがとうな! 」

カラカラと笑う彼を見ると、もう怒る気も自然とうせる。

「別にいい

「おおっルキじゃねえか! 」

いいわよ、と言おうとしたがある男のせいで、言えなくなった。

「ダース! 」

ルキが男の方へ走っていく。

「ゲゲッ、ダースだわ」

男の名前はダース。長身で、いつも明るい。ルックスが良く、女性にモテるが彼はおじさんだ。全然そう見えないけど。

「ようルキ、久しぶりだな」

ダースはルキの髪をかきむしる。

「エヘヘ久しぶり」

ニコニコとルキは笑う。それを見たダースはルキをぎゅーッと抱きしめようとしたが

「あらダース、来てたのね」

ハボに止められる。こう見えて、ルキは結構人気者だ。いつも明るくて、バカだけど面白いし、それにいざという時は頼りになる。みんなから好かれるというのはいいことだが、たまに変態もいる。そう、ダースのようなロリコン。ダースはルキを「可愛い可愛い」と言ってキスをしたり、良からぬことをしようとするのだ。ルキは純粋だから、これも仲間愛と思って拒まないのでいつもハボが止めている。

「おお、ハボかー? 」

「ええそうよ」

ダースはニッカリと笑って

「いやーしばらく見ないうちにベッピンさんになったなー」

と言って、ハボの頭をクシャクシャにする。

「なっ、やめてよね」

そう言ったハボだが、実は結構嬉しがッているのだ。

「ダース、俺はー?」

ルキが上目遣いで聞いてくる。

「ルキは、そーだなあんま変わってねーな」

「ひっでえーっ」

プクゥと頬を膨らませるルキを見てダースとハボは萌え死にそうになる。

「でも、ダースは変わったよな」

「ほんとかー? ! 」

ダースが身を乗り出す。

「ああ、なんかエロくなったな! 」

カラカラと笑うルキにキスをしようとしたダースをハボが殴る。

「それよりさー今回はどこ行ってたんだ」

「ん? あー今回の旅か」

「ああっ聞きてえ! 」

ルキがダースに迫る。

「分かった分かった。なーハボ、酒を一杯もらえるか? 」

「はいはい分かりました」

ハボが店の奥に引っ込む。

「なーダース話せよー」

「分かったから酒を待てよ」

「はーい」

しばらくして、ハボが酒を持ってきた。

「おおっわりーな」

「別にいーわよ」

ハボがそう言って、仕事に戻る。ダースを見張りながら。

「なーダース」

「はいはい」

ダースは商人だ。仲間が沢山いてみんなで旅をしている。

「今回は沢山売れたぞ。特に宝石がな」

「すっげーっ」

ルキの目が輝く。

「だがなー迷惑な客が一人いてな。そいつ、凄く太ってるんだよ」

「ウンウン」

「でよー。指輪が欲しいって言うもんだから、渡したんだよ指輪。でもさーそいつの指が太すぎて、全然はまらなくてよー。俺も手伝って、グイッと押したらなんとかハマったんだー」

「そうなのかー」

「でもよーそれからだ問題は。何とな、その指輪きつくハマりすぎて抜けねえんだよ」

「えーっ」

「その客はもう怒りと恥ずかしさで顔が真っ赤になって俺に唾かけてきやがったんだぜ、酷いよなー」

「ハハハっ、でっ結局抜けたのか? 」

「ああ、スッゲー押したらなんとか抜けた。おれ、指輪の代わりに痩せれる薬を売ってやったぜ」

「ははははっおもしれーなー! 」

「だろー? 」

ダースはそこで酒をグビグビと飲んだ。そして、

「お前、リウは大丈夫なのか」

と聞いた。

「……」

黙ったルキをじっと見てダースはすまなさそうに

「いや、何でもねえ」

といったが。

「リウは無事だ。生きてる。助けに行くんだ。明日」

「えっ、助ける? まさかお前……」

「ああ、俺は明日旅に出る」

ルキはキッパリと言った。リウとはルキの妹で、一年前、謎の魔法使い達にさらわれたのだ。

「そんなお前、無茶な」

「だって! リウが待ってるんだぜ。俺のたった一人の家族なんだ。兵隊達も怖がってるし、俺しかいないんだ」

ルキが叫ぶ。

「でもよーお前一人じゃ」

「大丈夫だ! 俺、強くなったんだぜ! 」

ルキがニッカリと笑う。

この世界には特殊な力を持つ民族がいるる。ルキはその民族の一人らしい。ルキは少しの魔法と、人一倍の、身体能力をもっていた。

「俺リウを助けるために、毎日特訓したんだぜ」

「……」

「それに約束したんだ。必ず助けるって。アイツ、泣き虫だからきっと泣いてるハズだぜ。それに魔法使い達をぶっ飛ばさないと俺の気がすまねえ」

「……」

「だからダース。俺を止めないでくれ、頼む! 」

ダースはこの目に弱かった。ルキの真剣な目に。

「はー」

ダースはため息をつく。そして、

「男の人生は一度きりだ。やりたいことやれ」

と言った。

「ダース……! ありがとう! 」

ルキはダースに抱きついたダースはルキの頭を優しく撫でたのだった。


次の日の朝一に、ルキはこの村の交通手段、空飛ぶ鳥、フォークに乗った。島を出た、その瞬間……。

「ルキーッ! 」

村の人達がルキを大声で呼んだ。

「みんな! 」

驚くルキ。

「バカルキーッ、なんの挨拶もしないで、勝手にどっかいかないでよねー! 」

ハボが叫ぶ。

「私、店長に黙ってこっそりあんたに肉やったのよ。お礼ぐらいいいなさいよねー! 」

「えーっそーなのかーっ? ! 」

「僕は魚をあげたぞーっ」

「私はクッキーっ」

「感謝しろーっ! 」

みんながいっせいにわめきだす。

「みんなありがとう! ごめん! 」

「バカッ! 」

ハボが怒鳴る。

「私だってあんたにお礼しなきゃなんないのよ!この前だって変なチンピラから私を助けてくれたじゃない! 」

「俺は凧を直してくれたーっ」

「ルキくんのお陰で捨て猫がたすかった! 」

「ありがとう! 」

みんながいっせいにお礼を言う。

「みんな……」

「あとこれーっ」

ハボが大きな袋をルキに投げる。ルキは風の魔法で袋を取る。

「ああ?なんだこれ? 」

「食料と水よー! わたしたちからー! 」

「エエーッめしーっ? ! 」

「バカッ!今食うな! 」

袋ごとかぶりついているルキをハボが叱る。そして、

「ちゃんとリウちゃん連れて帰ってきなさいよーっ! 死んだらころすからー! 」

「ああ? お前何言ってんだ? 死んだ人間は殺さねえぞ。バカか? 」

「お前に言われたくないわ! 」

フォークはどんどん離れていく。

「ルキーッ北よ! 北に行くのよー! 迷子になっちゃダメだからね!

「おう! ところで! 」

「なにー? 」

「北ってどっちだー? ! 」

「バカーッ! その方向であってるからー! とにかくまっすぐ言ってよー! 地図持ってるでしょー! 」

「おう! ありがとなー! 」

「バカね」

「ほんとバカだな」

バカと言ってる人も目にうっすらと涙を溜めている。

「みんなー! ありがとーっ! またなーっ! 」

「早く帰って来いよーっ」

「待ってるからねーっ! 」

ルキとハボ達はお互いが見えなくなるまで手を振ったのだった。


「ついに、俺の冒険が始まったのか。そーだなまずは……」

フォークに乗りながらルキは袋をチラッと見て、

「よーしまずは腹ごしらえだー! 」

と叫んだ。

「そーだな、まずはは仲間がいるよなー」

肉を食いながら考えるルキ。ルキの冒険が始まったのだった。

つづく




見てくださった方、ありがとうございます!

また書きますのでよろしくお願いします!

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