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はじめの一歩

 休日、俺たち一家は、またしても車に乗っていた。

 今度は本当にお出かけだ。

 今日は、灯里のファーストシューズを買いに来たのだ。

 灯里がつたい歩きをし始めたし、俺の腕の痛みもなくなったので、翠先生の休みに合わせて出かけたのだ。

 そして……。

 俺は、ちらりと後部座席を見やった。

 またしても、おばあちゃんが急に予定が入ったとかで、荘太も一緒だ。

 だが、前回車酔いをしていたが、荘太は今日は大丈夫だろうか?

『おい、笹岡、ちゃんと前見て運転しろ』

 今のところは大丈夫そうだ。


 靴売り場についた俺たちは、各々に靴をもって灯里の前にやってきた。

 俺は、灯里にぴったりの、リボンとフリフリのついた可愛らしい靴を持ってきた。

 翠先生は、シンプルな靴だ。

「翠先生、灯里がこんなにかわいいのに、こんな何もついてないシンプルな靴でいいわけないじゃないですか!」

「明くんの方こそ、そんな、フリフリの靴、趣味悪いし歩きにくいでしょうが!」

 店員さんが、言い争い始めた俺たちにおろおろしている。

 そんな俺たちの前を小さな影が通り過ぎた。

「灯里ちゃん、これ、どうかな?」

 そう言って、灯里に、小花柄の靴を差し出した。

 確かに、これなら、フリフリが邪魔じゃないし、シンプル過ぎないし、灯里によく似合う!

 灯里が嬉しそうに、荘太の差し出した靴を指さした。


 支払いを終えると、灯里が「ママ!」と言って、手を上げた。

 ママ抱っこアピールだ。

「よし、じゃあ、灯里、おいでー!」

 翠先生も、ママと呼ばれると、うれしいのか、これをされると必ず抱っこする。

 目的を果たした俺たちは、車に戻って行った。

「あれ?荘ちゃん、そういえば、今日は、車酔い、大丈夫そうだったね」

 灯里をチャイルドシートに乗せながら、翠先生が言った。

 そう言えば、今日は顔色は悪くない。

「慣れたみたいです」

 そう言って荘太は微笑んだ。

 そうか、高級車ばかりに乗っていても、慣れたら、普通の車も平気なのか。


 家に着くと、ちょうど、雅之と有希ちゃんがやってきた。

 この二人も、灯里の魅力にメロメロのようで、休日によく我が家にやってくる。

 何でそんなにメロメロかと言うと、

「まーちゃ!」

「ゆーちゃ!」

 灯里が笑顔で名前を呼んでくれるからだ。

 ちなみに、ちゃと言えるようになったのがうれしいのか、俺のことは「とーちゃ」と呼んでいる。

 俺と二人きりの時には、恥ずかしいのかあまり呼んでくれんないが、父さんでも、父ちゃんでも、好きに呼んでくれていいぞ!


 全員でリビングに集合し、とうとう、灯里のファーストシューズのお披露目だ。

 小花柄の可愛らしい靴は、今日の灯里のお出かけ用の服にもピッタリで、灯里によく似合っていた。

「灯里、かわいい!」

「この小花柄が、また、女の子らしくていいですね!」

「ボクの姪っ子は可愛いなぁ」

 そして、大人たちと荘太による撮影大会が始まった。

「あれ?灯里、ほとんど一人で立てるね」

 灯里を後ろで支えていた翠先生がそう言うと、灯里が「とーちゃ!」と言った。

 俺、呼ばれたってことは、こっちに来るのか?

 俺は、いつ灯里が飛び込んできてもいいように、身構えたが、灯里は、荘太の方に最初の一歩を踏み出していた。

 うん、まあ、心と裏腹に体が動いてしまうこともあるから、致し方ないな。

 一歩歩いたところでよろけた灯里を、荘太が無事にキャッチしていた。

「とーちゃ!とーちゃ!」

 灯里がはしゃぎながら、俺を読んだ。

 いや、あの、うん、荘太といちゃついてるところを俺に見とけってことか?

 灯里は小悪魔だなと感じた瞬間だった。

 ちなみに、一部の読者様にばらしましたが、前話での荘太の車酔い騒動は、車酔いではなく、注射打たれたくなくて顔色が悪かっただけです。

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