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突然始まる育休ライフ

 大変申し訳ありませんが、「こんにちは赤ちゃん(特に2」を読んだことのない読者様には大変わかりにくい話となっております。

 なるべくうっかり見つからないように、小説家になろうの検索から除外しようかとも思ったのですが、実際さっきまで除外してたのですが、今後のことを考えて、開示する設定に直しました。

 念のため、あとがきに登場人物の解説をしようとは思っておりますが、うっかりこの作品で初めていときりばさみという存在を見つけてしまった人は、見なかったことにして引き返してくださいませ。

「笹岡さん、昼休憩行ってくださいね」

 日比にそう言われて、俺は、ロッカーに向かった。

「あら、笹岡君も、これから休憩?」

 猫なで声でそう言いながら俺の前を通り過ぎたのは冴木主任だ。

 冴木主任は、リボンとフリフリが大量にあしらわれた小ぶりのカバンを持って「先に行ってるわね」と、休憩スペースに入っていった

 最近やたらと冴木主任が俺に話しかけてくるし、話し始めるとすごく長いのだが、どういう風の吹き回しなのだろうか?

「笹岡さん、この前、纐纈先生と同級生だってうっかりしゃべったから、最近やたらと冴木主任に絡まれてますね」

 そう言いながらやってきたのは黒川だ。

「あー、別にそんなに仲良くもなかったけどな」

「それ、最初に言っておかないとダメですよ」

 黒川は呆れた顔をしている。

「そうなのか?」

「まあ、冴木主任にいまさら言ったら激怒しそうですね」

 黒川は、他人事のように笑っている。

 まあ、黒川からしたら、確実に他人事なのだが。

「冴木主任に言っても言わなくても、一時間冴木主任の高周波マシンガントークに付き合わされるのは間違いないですね」

「……確かに、黒川は、売店か?」

「食堂に行くにきまってるじゃないですか」

「黒川様!お供させてください!」


 そして、俺は、黒川と一緒に食堂にいた。

 食事を乗せたトレイを持った黒川が席に着くと、俺は自分の弁当を開け始めた。

「それ、翠先生の手作りですか?」

 黒川が俺の弁当をのぞき込んで聞いてきた。

「いや、自分で作ってるけど?」

 翠先生の分も、もちろん家に置いてある。

「あれ?里穂じゃん?」

 見たことのあるナースが俺たちの席へやってきた。

「あ、ヨネ、ここくる?」

 黒川が俺の隣の席を指さした。

「あれ?見たことある顔だと思ったら、翠先生の旦那さんじゃないですか?」

 俺の隣に座ったナースが言った。

「産婦人科看護師の米田です」

 あ、黒川と一緒で昔問題児だった、あの、米田か。

 とは思ったものの、以前に黒川にその話をしたら、黒川の中ではかなりの黒歴史だったらしく、コテンパンにされたことを思い出し、俺は、口をつぐんで、自分の食事に集中することにした。


「でね、三人も辞めちゃうからもう、どうしようって今なってるんですよ!」

「へえ、大変だね」

 今日の煮物は、我ながらなかなか出来栄えがいいな。

 そんなことを考えながら黙々とご飯を食べていると、不意に、二人の会話が途切れた。

「笹岡さん?」

 黒川に言われて顔を上げた。

「今の話、聞いてました?」

「いや、全然。今日の煮物の出来栄えについて考えてた」

「笹岡さんの煮物の出来栄えとか正直どうでもいいです」

 黒川はいつだって俺に辛辣だ。

「大事な話なので、もう一度言いますね」

 米田が、にこやかに言った。

 なぜか、そのにこやかさに、俺は寒気を覚えた。

「今度、産婦人科で仕事のできるお医者さんが三人も辞めるんですよ」

「新しい先生は入ってこないのか?」

「入ってきますけど、こないだ見たんですけど、なんかこういまいちな感じがするんですよね」

「そうか、大変そうだな」

「ね?大変でしょう?」

 大変そうなのはわかるが、俺は産婦人科医じゃないし……。

「ヨネ、笹岡さん、察することはできないタイプだから」

 黒川がそういうと、米田がため息をついた。

「だから、笹岡さん、奥さんの代わりに育休とってもらえませんか?」

「え?俺?」

 でも、この前、入院してて二か月くらい休んでたばかりだし。

「笹岡さん、料理とかできるし、家事とかできそうじゃないですか?」

 畳みかけるように黒川が言った。

「確かに、家事は俺の担当だけど」

「じゃあ、問題ないじゃないですか?」

「いや、でも、急に俺が抜けたらNICUが……」

「大丈夫です、笹岡さんの代わりはいくらでもいます」

 黒川の言葉が俺に突き刺さった。

「井澤看護師長にはもう打診してありますし、翠先生にも連絡しますので、笹岡さんからも説得してくださいね」

「大大大好きな灯里ちゃんと四六時中一緒にいられて幸せじゃないですか」

 まあ、それは、否めない。


 かくして、俺は、半強制的に育休を取らされることになったのだった。

いときりばさみの逆に混乱する登場人物紹介

・笹岡…一応主人公のはずの人。赤ちゃんの想いが『声』として聞こえる。それはさておき、存在感が薄い。

・日比…NICUのスタッフ。抱っこすると赤ちゃんが大体泣き止むので、ゴッドハンドと呼ばれている。

・冴木さん…NICUの主任。このポジショニングは、世に言うお局様というやつなのかもしれない。どこから出しているかわからない金切り声がチャームポイント。纐纈先生が大好きすぎていつも金切り声がヒートアップしちゃう。

・纐纈先生…小児新生児科のイケメンドクター。注射が不得意。

・黒川…NICUのスタッフ。元ヤンだが、現在のNICUの看護師長に説教され更生。今では笹岡よりもできるスタッフ。

・米田…産婦人科病棟のスタッフ。黒川と一緒に説教されて更生した。

・翠先生…産婦人科の敏腕ドクター。産休中。

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