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三十六首目から三十八首目
三十六首目、清原深養父
『夏の夜は まだ宵ながら 明けぬるを 雲のいづこに 月宿るらむ』
『夜が明けた』と危機が去ったととれる言葉ではありますが、『月が宿る』とする事でまだ安定には程遠いと言う意味になります。
女性の君主になっていないのに歌われるのはとても不思議ですが。
三十七首目、文屋朝康
『白露に 風の吹きしく 秋の野は つらぬきとめぬ 玉ぞ散りける』
『玉ぞ散りける』は玉璽を持つべき人と言う意味で女性の君主でしょう。
三十八首目、右近
『忘らるる 身をば思はず 誓ひてし 人の命の 惜しくもあるかな』
忘れ去られる女性を想いながらも、『ひと』現状の君主の命も惜しいと思ってしまう。