三十三首目から三十五首目
三三首目、紀友則
『久方の 光のどけき 春の日に しづ心なく 花の散るらむ』
『春』が訪れたのに『花』が散る。
『花』は『高嶺の花』で女性の君主の事でしょう。
ただ、女性の天皇がこの時代には居ません、不審死の事か内乱の事かも歴史と照らし合わせないと判明しないでしょう。
宮中での撲殺事件、左遷した臣下と関連付けられた呪い、更には話し合いで終わらずに内戦が幾つか、特定するのは難しいでしょうが。
三十四首目、藤原興風
『誰をかも 知る人にせむ 高砂の 松も昔の 友ならなくに』
普通に翻訳すると、友が亡くなってしまった、これからは誰を友とすれば良いだろうか?と言った内容です。
ただ、百人一首に選ばれた事と、他の歌を読むと、仲間探しをしていて誰を仲間に引き入れるべきか悩んでいる様に見えます。
知識の継承者や歴史の継承者探しと言った意味があるようです。
『ひと』をどう解釈するかは悩みどころです、次の天皇を育てると言う意味があるのかどうか。
三五首目、紀貫之
『人はいさ 心も知らず ふるさとは 花ぞ昔の 香ににほひける』
『故里』は字の意味通り滅んだ昔の日本を、『高嶺の花』の匂いがするのなら、何か吉兆が有ったと思っていいでしょう、少なくともこの方は感じていたようです。
問題は『人はいさ 心も知らず』なのですが、そのまま天皇の心積もりは分からないが、と取るのが自然でしょう。