二十七首目から二十九首目
二十七首目、中納言兼輔
『みかの原 わきて流るる いづみ川 いつ見きとてか 恋しかるらむ』
藤原兼輔、三十六歌仙の一人、紫式部の曽祖父の作品です。
この歌は普通に訳して大丈夫です。
『わきて流るる』は分けると湧くの二つの意味を持たせています。
彦星と織姫の気分でしょうか?
『いづみ川』と『いつ見きとてか』がかけてあります。
一番の問題は、一度も見ていない人物への恋歌であると言う事です。
百人一首に選ばれるぐらいですので、当然ながら一度も見ていない女性が君主の治世を乞うと言う意味で歌われています。
百人一首に選ばれ、紫式部の血縁でなければ、この訳し方には気が付けなかったでしょう。
源宗于朝臣
『山里は 冬ぞさびしさ まさりける 人目も草も かれぬと思へば』
光孝天皇の孫。三十六歌仙の一人。
『冬』は百人一首に選ばれるぐらいなので、普通に死を暗示しているととって大丈夫でしょう。
『山里』はやはり昔の朝廷の事でしょう。
『人目も草も』ですが、ここが本題でしょうね、『くさ』にはスパイと言う意味も有ります。
そして『かれぬと思へば』、『枯れる』と訳される事が殆どですが、『狩れる』の方で使われている様に思われます。
凡河内躬恒
『心あてに 折らばや折らむ 初霜の 置きまどはせる 白菊の花』
『初霜』が有る事から冬であると示しています。
そして『心あてに』は当て推量でと言う意味す。
『白菊の花』は『菊の御紋』であると思われます。
そして『白菊の花』が『まどはせる』。
と言う事で、クーデターを考えている歌であると言うのは間違いないでしょう。
仲間との意思統一が出来なかったとか、迷っていると言ったあたりでしょうか。
『白菊の花』が思いとどまる理由として使われている様に見えます。
『白菊の花』が男性の君主を指すのか、『白菊』の『花』で女性の事を指しているのかも微妙な所です。