変革
俺の名前は佐渡宮真一。
職業は不登校。趣味はネットサーフィン。
典型的なダメ人間である。
今宵も2chにアクセスを開始する。
「ピーンポーン」
インターホンが鳴った。
俺は今アパートを借り一人暮らしをしているのでいるのは俺だけ。
こう言う面倒いのは無視に限る。多分また担任が俺を説得しに来ているのだろう…そう思った。
「ピーンポーンピーンポーンピーンポーン…ピピピピ」
誰だようるせーなー。どんだけインターホン鳴らすんだよ。諦めろって。今頃インターホンが最後まで言えなくて泣いてるよ。
俺は仕方なく出ることにした。
「はい、何でしょう」
俺の前にいたのは、担任でもなく宗教の勧誘の人でもなく大きなカバンを背負った美少女が立っていた。
「お邪魔します」
そういうと、その後は俺の部屋に無断で上がってった。
「ちょっと待て!何ナチュラルに入ろうとしてんの?」
「小さいことを気にする方ですね、だから大きくならないんですよ」
俺の下半身を見てそういった。
「全然小さいことじゃねーし!ていうか俺の下半身じょうを語られたくないっつの」
何で俺のが小さいこと知ってんのこのこ…。
見ただけでわかんないよね…大丈夫だよね。
「で、お前誰?」
私の名前は三崎鏡花。真一様にある提案があってこちら生あった次第です」
「提案?ていうか何で様付け?」
「何となくです」
「何となくかよ、で、提案って何?」
「まず上がらせるのが家主の心遣いって言うもんじゃないですかね…これだからダメ人間は」
ムカつくが上がらせることにした…だって可愛いもん。なんかあるかもしれないしね!
お茶を入れ今の椅子に座ると彼女はこう続けた。
「今から私の説明をよく聞いていてくださいね。真一様には今からこのゲームにはいって主人公と戦ってもらいます」
そう言うと彼女は大きいカバンから器物を取り出した。
「ゲームの中に入る?主人公と戦う?お前何いってるの?て言うかこのでっかい機械何?」
「いいから私の話を最後まで聞いてください。だからダメ人間なんですよ」
「おい!今何つった」
「……何も」
「嘘つけ!今ダメ人間って言っただろうが」
「聞こえてたんなら、シリアスな雰囲気出して言わなくても良かったじゃないですか『おい!今何つった』だって、プププですね」
恥ずかしー!
「まず、ゲームの中に入っていただいてそのゲームの主人公と戦ってもらいます。例えば学園ものだったら主人公より先にヒロインを落とすとかですかね。一回のゲームにつき3回のコンテニューが許されます。その中で一回でも勝てたらクリアです」
「俺がそれをやるメリットは?」
「単純に賞金がもらえます」
「どのくらい?」
「一回クリアにつき一億くらいですかね」
「一億!?」
「ええ」
「何でそんなもらえんの?」
これはいはば、貴族たちの娯楽なのです。真一様がゲームをやっているのを観戦し、その気分次第で金を落とすんです」
変態な貴族もいたもんだな。暇なんだね…彼ら。
だがこれは楽して稼げるチャンスかも。
「ですがもし三回やって一回も勝てなかった場合真一様が大切になさっているものを我々が破壊します。例えばプレミヤがついたゲーム機だったり、あなたにとっての大切な人だったり……」
「おい!と言うことはもしかして、俺が失敗すればあいつが死ぬかもしれないってことか?」
「はい、死にますね。何を奪うかはルーレットで決めさせてもらいます」
「冗談じゃない!やってられるか!」
「いいんですか?この誘いを放棄しても…考えて見てくださいよ、親には学校に行っていると嘘をつきいつも学校にもいかず、勉強もしないでゲーム三昧の日々、あなたが大切に思っている三上京子さんに、家事や炊事洗濯を任せていて、自分では何もやろうとしないクソ野郎のままで…」
こいつの行ったことはまぎれもない真実で揺らぎようのない現実だ。
「何でお前がそんなこと知ってんだよ」
「あなたのこと、あなたの周りのこと全部調べましたから」
もしかしたら変わる時なのかもしれない。俺はきっかけを探していたから、変わることのできるきっかけを……。
「……わかっよ、主人公だろうと何だろうと俺が倒してやるよ」
「待っていましたよその返事。では今からゲームの世界へ行きましょうか」
「さらっととんでもないことあったよね……今、そんなゲーム機まだ発明されてねーぞ」
「裏にはあるんですよーただ、二億くらいかかりますけどね」
あ、なるほど。
「ではこのゲーム機に手をかざして見てください」
「おう」
緊張するななんか、おれ、初めてだからね。
「それでは呪文を唱えます、私の後に続いてください」
疑問に思ったが、またなんか言われるかもしれないので黙って指示に従う。
「おっぱいがいっぱい!」
「おい!嘘つくじゃねーよ、何だよその呪文。それただの卑猥な言葉だよね」
「失敬な。立派な呪文ですよ。まさか照れてるんですか?」
「べ、別に全然照れてなんかないしー」
ほんとはめっちゃ恥ずかしい!
「では行きますよ、おっぱいがいっぱい」
「お、おっぱいが、いっぱい!」
やっぱり恥ずかしい。
すると身体がゲーム機の中に吸い込まれていくのが見えた。
「うおおおおおお」
「つきました。ここがゲームの中です」
「なんか気持ちわりー」
「では説明します。このゲームは学園を舞台にした典型的な学園ラブコメゲームです。敗北条件は、主人公にヒロインを落とされること。勝利条件は、その逆です」
多少アニメで見たくらいで、学園モノなんてやったことねーぞ…俺。
「ちなみに負けたら最初っからになりますんで、そこんとこご理解の上頑張ってくださいねー。それと、これが本作のヒロインと主人公になります」
そう言って三崎は、写真を見せる。
「名前は、川島岬と、飯田天理ですね」
主人公名前かっこよ!
「案外普通の顔なのな。川島さんって子は可愛いけど」
「そうですね。それよりこれを見てください」
鏡らしきものを渡され、自分の顔を見る。
「誰だこいつ?ブサメンじゃね?」
「そうです。一回負けるごとに真一様のステータスが上がっ行きます。つまり攻略難易度が下がると言うことですね」
「なるほど、そう言う仕組みになってんのか」
「ちなみに私はどこかで見守ってますから」
「おう」
「あ、もう運命が動き出しそうですよ」
そう言って三崎が指差す方向を見て見ると、川島さんと飯田君がぶつかっていた」
「あたたたたた、だ、大丈夫?」
「うん、ヘーキ」
まずい、パンをくわえた美少女ヒロインが主人公とぶつかっている。
阻止しなければ。
俺は奴らの元へと急ぐ。
「君ここら辺の高校生?見ない顔だね」
「私、転校してきたばかりなの」
裏の組織が作った割には俺でも知ってるようなベタベタな展開だ。
主人公たるものラッキーすけべをやればヒロインのハートを鷲掴みできるってもんだ。
「あ、ごめん足が滑ったー」
俺はそういい、ヒロインの胸元はダーイブ。おっぱいを鷲掴みにする。
モミモミモミ。
何と言う弾力、これがゲームで再現できるとは、さすがは二億するゲームや。さいこー!
「キャー!死ねや変態」
彼女は冷たい眼光で俺を一瞥すると持っていたカバンで俺の頭をぶん殴った。
これでもかって言うくらい殴られた。多分はたから見たら女の子にいじめられている可哀想な子。とうつっただろう。
「死ね」
最後にそう吐き捨てるとヒロインはいってしまった。
普通今のは「キャー佐渡宮さんのエッチ!」て言うだけだろ……マジで引かれてしまった。
「大丈夫かい?」
主人公は俺に手を差し伸べる。……優しいやっちゃ。
「……君、初対面の女の子に対してよくそんなハレンチなことができるね……この分だと僕の勝利は確実かな」
そういってからは去っていった。