要検討事項
自動的に魔法が発動されて命が助かると分かると、気が楽になり、緊張感なく働くようになった。
何日か過ぎた昼休みにレイモンドが思い出したように話をしだした。
「そういえばリロ、ゴードンから革袋貰ってるよな?」
「水筒のですか?はい」
「お前初日以降もあの水飲んでただろ」
「?はい」
「お前はガキだから知らないかもしれないが、鉱毒っていうものがあるんだ、あんなもの毎日のんだら死ぬぞ」
「あ...」
ファンタジーの世界観ですっかり失念していたが、そりゃあ鉱物があるということは鉱毒もあるのか。オートモードで命が助かっていたお陰で腑抜けていた。救命措置は身体の内側からの危機に働くのだろうか?何か対処をしなければ...
「ありがとうございます...?」
「大事な弟に死なれちゃ困るからな」
そういって笑いとばすレイモンドの眼は今日もギラついていた。リリーへのケアは細やかにしてくれるつもりらしい。
(レイモンドは私の雇い主を平民でも気にしない奇特な貴族と思っているようだけど...)
レイモンドの期待を考えると紹介すべきはプリシラなのだろうが、正直あの心優しいお嬢様をこの猛獣の王のような男に紹介するのは、なんだか...こう...猫にネズミを引き合せるみたいで抵抗があるというか...。それに対してセオドアは、疲れきったサラリーマン感が否めず、プリシラにお願いして取り次いで貰っても音沙汰無さそうな気がする。あの日以来姿を見ていないのだ。
(どっちを紹介したらいいのだろう?)
あと約2年のうちに決めておかねばならない。
(あとは毒とか内側からの生命危機の対処...)
毎日”整容”はかけているが…
(あれ?)
そういえば初日の”整容”で、多大な体力と引替えに、「日本のシャワー後の身体」を手に入れて、毎日メンテナンスしている、という事は...
(”整容”が内部疾患の対処になっている可用性がある?)
いやそれなら加齢しないのか、とか18歳の身体の筈だ、とか気になる事はいろいろあるけど...
”整容”はかけ続ける、追加で身体の内側だけを「日本にいた頃」に戻す魔法もかけておこう。ポケットを覗いて大きめの鉱石が残っている事を確認する。
(あれ、これを他の人にできたら治癒魔法になるのでは...?誰かに試してみる?いや、宝石魔法を使える事が知られたらどうなるか分からないし、そこまでのリスクをおかせないや。魔法学園に入ったら練習してみよう)
鉱石学校にいる間はひたすら自分で試すほかないのだ。




