オートセーブ
リリーは学生の中で1人地下に連れて来られていた。
坑道をつくるために、こどもしか通れなさそうな地下を掘り進めてほしいらしい。
ランプや掘り進めるために必要なある程度の装備は与えられたが、見通しも風通しも悪く、確かにこれはすぐに人が死にそうだ。
ゴードンとの交渉は思いのほか有利に進み、65万の月給を確約させた。3年間の労働賃金だけで無事に魔法学校の費用は稼げそうだ。生き残ることかできれば、だが...
じっとりと暗い地下道を一人で掘り進めながら、地図を作成し可能であれば採掘をするように、とのお達しである。肉体労働と無縁なリリーが一人でこなすにはかなり厳しい作業である。ゴードンから水筒と保存のきく食料を渡され、休憩は適宜取れと言われた。もしかしなくても遭難したらこれで食いつなげという事なのかもしれない。
(でもまぁ鉱石も集め放題ではある)
「いのちだいじに行こ...」
暗闇というのは時間感覚を失わせる。無理せず、のんびりを意識してちょうどいいくらい、の、はずだ。
すべり出しは順調だった。鉱石もゴードンに渡す分とポケットにしまう分をある程度は確保しつつ掘り進められた。ゴードン達があらかじめ下調べしてくれていたようだ。体感2~3時間くらい過ぎた頃だろうか。
幼い体に疲労がたまったのか、なかなか進まなくなってきた。順調に進んできたこともあり、つい、苛立ちにまかせてしまった。
「あっ...!」
無理に掘ったせいで、天井部の土が崩れた。
パラパラとかいう可愛いレベルじゃなく、今まで掘ってきた数メートル先までヒビが入っている。
生き埋めだ、死ぬな、これ。
終わった。
交通事故の次は生き埋めかぁ...と諦めた時、目の前が真っ白になった。
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「まぶしっ」
(あれ、生きてる...?)
「そろそろ休憩か?」
とゴードンの部下...もとい実習教員に声をかけられハッとする。リリーは地下道の入口付近に座り込んでいた。地下の暗さに慣れていた目は、地上の明るさに対応しきれず、目があけられない。
「あ、はい...」
「その辺で好きに休め」
「ありがとうございます...」
(絶対に死んだと思ったのに...)
狐につままれたような気持ちになる。そういえば集めていた鉱石はどこだ?こっそりポケットを覗くと鉱石が1つ残らず無くなっていた。
「え...!?!?」
(ど、どういうこと...?)
いや、鉱石が無いということは魔法を使ったという事だ。
(つまりここまでの移動が魔法...!?)
命の危険があると、周りの鉱石を消費して自動的に魔法で対処されてる、のか。
(1回目は交通事故、2回目は生き埋め...交通事故の時は何が消費されたのか分からないけど...)
何はともあれ命がある事に感謝して、鉱石採掘に戻り、1日の労働を終えたのだった。




