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【間話】初めての友達①

 私、籠屋日南が初めて朧月志乃に出会ったのは、幼稚園入学の時である。

 その時はこんなに綺麗な女の子と大親友になるだなんて微塵も予想していなかった。


***

「日南、今日は入園式だな! お父さんは日南が幼稚園に行く姿を見られてとっても嬉しいぞぉ!」


 その日は雲ひとつない、綺麗な青空が広がっている日だった。ニコニコ顔の父と7歳、9歳も歳の離れた龍司兄さんと清司兄さんと一緒に幼稚園に向かっていた。

 私は今と同じように明るい茶髪の三つ編みをぶら下げて、ウキウキと父と手を繋いでいた。兄さんたちは私とは違い漆黒の髪で、龍司兄さんは短く切り揃え、ぴょこんぴょこんとくせ毛が目立つ髪型、清司兄さんは長い髪を1つにまとめていた。父も黒髪で目に前髪がかかってはいたが、清潔的でちらりと間から見える目は理性的に見えた。


「日南ぃ〜お前そんなんで友達できんのかぁ?」

「ムッ日南、友達できるもん! りゅーじおにーちゃんこそ、学校で友達いないんでしょ!」

「いるし〜俺なんか秒で友達できたもんな」

「ふふ、こらこら、こんな良い日に火花飛ばさないの」


 龍司兄さんはまぁ簡単に言うとオラオラ系ですぐに挑発してくるタイプ。清司兄さんは何事も冷静で落ち着いたタイプ。私はというと昔から喧嘩っ早い考えるよりも先に手が出るタイプであった。父は私と兄さん2人にはいつも優しく笑いかけてくれて、楽しくて、頼れる、かっこいい人だった。

 

 母は私を産んだ時に籠屋の呪いで死んだ。

 当時の私は何のことだか全くわからなかったけど、母と言う存在がいなくても父が、兄さんたちがいたから寂しくなかった。


「でも、父さん、良くあいつを説得できたよな……幼稚園に通うとか前代未聞なんじゃね?」


 龍司兄さんが思い出したかのように、口に出していた。私は何のことかわからず、聞き返そうとしたが、清司兄さんに先を越された。


「こら、龍司。その話は今はしないよ。せっかくの良き日なんだから、そんな不浄なものの話はしないって言う約束だったじゃないか。ねぇ父さん?」

「父さん、清司に言いたいこと全部言われて立つ瀬がないよぉ……でもその通りさ、龍司、そのことは今日は忘れよう。父さん、いっぱい写真撮るからねぇ! 日南ちゃん!」


 父さんは少し落ち込んだり喜んだり、忙しそうだなぁと当時の私は思っていた。そして幼稚園に着くと門の前には人だかりができていた。


「あちゃー、こりゃ撮影待ちの列かなぁ。今から待ってたら式始まっちゃいそうだね。帰りに撮ろっか」


 そう言って、門を潜ろうとした時、3歳児にして小学校高学年顔負けの大きな子供が後ろから走ってきた。本人は興奮しきっている様子で、おまけにそれを止めようとする親もいなかった。


「日南っ危ない!」


 龍司兄さんが咄嗟に前に出ようとしたが、間に合わず、ぶつかる、と思った時だった。


「コラァッ! 走ったら危ないでしょーが!」


 甲高い女の子の声がしたと思い、目を開けると、大きな男の子が尻餅をついていた。その後ろに彼女はいた。それがファーストコンタクトだった。


 綺麗な長い黒髪は編み込んでまとめ上げられ、紫の瞳がキラキラと輝いていた。


 私は幼いながらにその女の子を見て、

(お姫様みたい……)

 と思っていた。


 そのお姫様は尻餅をついている男の子のことはほったらかし、私に近づいた。


「ねぇ大丈夫? 何にも怪我してない?」


 お姫様は私のぎゅっと固く握った右手を優しく包み、その綺麗な瞳で私のことをじっと見てきた。

 私が惚けていると、尻餅をついていた男の子が泣き出し、それに乗じて親と思われる人物がやってきた。男の子は泣きながら立ち上がると、親に今の状態を説明したらしく、何も知らない親がお姫様に対して激怒する。

 私は怖くて何もできなかったが、お姫様は怖がる様子もなく、だた怒れる大人をじっと見ていた。


「だから、その子が1人で走ってきて、うちの子に激突しそうだったんですよ! この子が止めなければ、どうなっていたことか! こんなに大きな子がうちの子にぶつかったらどうなるかぐらい分かるでしょう!?」


 父が男の子の親に対してどれだけ説明しても、全く聞く耳持たず。父も私も兄さんたちも困り果てていた時、声が響いた。



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