死ぬことが出来ない世界になって231年目
戦場で友を亡くした男が言った。
「神よ!あなたは残酷だ!」
病気で母を亡くした女が言った。
「神様!どうしてこんなひどいことをなさるのですか!?」
好きピにフラレてヘラ期だった神はキレた。
この世から死を無くしたのである。
神が気まぐれで死を許可した生物だけが死ぬことが出来る世界の誕生だった。
「……殺して」
死に至る病と怪我を20持ち、ほとんどの皮膚と肉が削げ落ちた200歳の老婆がそう呟いたが神には届かない。
「殺せえぇ!」
生きたまま焼かれ、灰になって100年の男が叫んでも神は耳を傾けない。
「うぐおええ!」
ビルから飛び降り自殺して肉体がミンチになった少女の祈りも神には届かない。
そもそも何を言っているか分からない。
2◯◯◯年。人間達は戦争を始めた。
「いや!流石に草生えるは!」
これには神も驚いた。
どれだけ撃ち合おうが、爆弾を落とし合おうが地球が滅びようが死ねないのに殺せない殺し合いをしている。
「あいつらゲェジちゃうんか。おっ?」
「……神様。どうかこの子を殺してあげてください」
強い祈りに思わず神もその夫婦を見てしまった。
血だらけの夫婦の前には安楽椅子に座る赤ん坊。
らしきもの。
頭部がハートマークの様に腫れ上がり、顔面は潰れ、皮膚の色は紫。
神が死を無くしたせいで産まれてしまった赤ん坊。
涙は流れているが、もう泣く力も無いのか唇をプルプルと震わせている。
「この子は産まれてくるべきではなかった。神様。どうかどうかこの子をあなたの下へ」
「ぽ……ぽまえら」
流石の神も悩んだ。
そして決断した。
「大丈夫!まだイケる生ける!命は大事にしとこ!」
夫婦と赤ん坊がいる部屋に狂犬病60年目のベテラン犬たちがなだれ込んだ。




