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第9話 異世界の授業

 生産部は男が多いのか? まぁ、こんな所に美少女が来たから、テンション上がるのは無理も無い。

 

 俺は女子ばっかりよりかは、こっちの方が落ち着くんだが.....女の子として見られてしまうと、なんかやりにくい。


 とりあえず空いてる席に座るか……。


 うーん、周り男どもはチラチラと俺を見てくる。


 自然を装っているつもりかもしれないが、こうやって見ると何となく分かるな。

 よし、ちょっとだけサービスして上げよう。

 

 俺はわざと見えるように足を組んだ。

 あっ、あいつ絶対見たな。他の男も振り向き率が上がったぞ。どこの世界も男はこんなのばっかりか。



 カーン、ポーン、キーン



 この適当チャイムはどこから聞こえるんだろう? 

 毎回少し違うような気がするが……。

 

 チャイムが鳴ったと同時に、全員が着席し、先生が来るのを待った。


 ……。


 ……。


 遅いな……。


 ……。


 感覚的に10分ぐらい経つと、先生が教室に入って来た。

 30代後半ぐらいの男性だ。



「へぇー、私は元Aランク魔法使いのへーラスと言います」



 元なんだ。先生ならみんなSランクと思っていた。



「へぇー、それでは授業を始めたいと思います。へぇー『魔動鉱物の基礎』という事ですが、へぇー『魔動鉱物』は簡単に言えば、へぇー、魔力を持った『魔動石』のことです」

 

 

 「へぇーへぇー」うるさいな。



「へぇー、昔は魔力探知で魔動鉱物を見つけ出し、へぇー、そこから魔力を採取して、私達の生活に役立ててきました。へぇー、近年では魔物の家畜化で、へぇー、毎日安定した魔力を供給されています」


 魔物から『魔力』を吸収して生活に役立てるのか?



「へぇー、魔動鉱物は種類によって魔力を溜めることが出来、へぇー、それを貨幣として取引され、へぇー、また魔力の伝達とテレポートをより正確な位置で出来るようになります」


 

 あのネトゲ廃人がくれたあの石が、そうじゃあないのか。

 魔力は金になるのか……。


 

「へぇーー」



 ……。


 ……。


 

 

 『魔動鉱物の基礎』の授業は終わったが、先生の「へぇー」が、今でも耳に残る。


 続いて、『素材の基礎』の授業を受ける為、別の教室に移動して空いてる席に座った。

 やはり相変わらず男子が多い。

 

 生産部は男子の方が多いのかなぁ。

 でもそれだと戦うのは、女子の方が多いという事になる。



カーン、ポーン、キーン


「はい、どうも!」



 ビックリした!

 今度は適当チャイムが鳴った瞬間、急に教室に先生が入って来た。

 

 しかも、まだ教卓に着いてないのに喋りだし、授業が始まった。50代ぐらいの男性だ。



「今日は『素材の基礎』を頑張っていきたいかなっと思います。私は『元Aランク』のコーレスといいます。」



 また『元』だ。ということは今は引退したのか? B以下なってしまったのか? どちらだろう?



「みなさんご存じのように『素材』は、魔法の『デザイン』をする為の元になるものですね。素材がよりデザインされた後の物に近い程、魔力が少なく、シンプルにデザイン出来ます」



 うーん、魔法で形を変えるには、ある程度原形が近い方がいいという事か。

 そういえば、朝にミルネが持っていた『木の枝』て、まさかあれも『素材』で何かに変わるのかな?

 


「そうしますと、いい素材を作る為に鉱物や木材等の原料を調達して、魔法で加工していくわけですね。でも実際は、デザイン屋から『こうしてくれ。あーしてくれ』の注文が多いんですねこれー」



 ん? なんか愚痴モードになってきたぞ。



「そうしますと、素材屋も調達屋に短納期で注文をお願いしないといけない場合が出てきますからね、これー。そうしますと、素材屋は板挟みになることがよくあるんですね、これー」



 愚痴モードになると、やたら「これこれ」言うな……。



「そうしますと、これねー」


 ……。


 ……。



 後半はほとんど愚痴で終わってしまったが、これで前半終了。

 

 それにしても、この学園は出欠確認とか何もしないんだなぁ。

 しかも、何年何組みたいなクラス分けがないから、友達も作りづらい。

 


 えーと、次は『討伐隊の基礎』だな。魔法戦士部の専門科目だけど大丈夫かな……。

 魔法戦士部の教養科目が少ないんだよな。



 俺は次の教室に入ると、今度は8割ぐらいが女子だった。

 そしてまたしても注目を浴びてしまった。


 席に座るまでにひそひそと聞こえてきた会話が「あの子可愛い。今年入って来た子かな?」「あの髪のデザインが可愛い」「ミリちゃんみたい」だった。

 

 正直、女の子から「可愛い」と言われるのは、なんか恥ずかしいなぁ。それと、ミリちゃんって誰だ? 


 そして、俺は席に着こうとしたが、なぜか前の方が一杯だったから後ろの席に着いた。


 

 カーン、ポーン、キーン



 また、適当なチャイムが鳴ると、前の方に座った女子達がざわめき始めた。

 なんだろう? 凄い先生でも来るのか……。


 しばらくすると、教室に入って来たのはここの学生服を来た20才ぐらいの女の子だった。

 すると周りから『黄色い声援』が飛び交った。



「皆さん落ち着いて下さい。授業始めますよ」

「はーーい!!」

 

 

 この生徒? 先生? はとても人気がありそうだな。



「私はSランクのケイトと言います。今年入って来た生徒さんは『なぜ生徒が教師をしているのだろう?』と思いますが、Sランクになると魔法の研究や、討伐の編成と戦略、そして、教壇に立つこともあります」



 この世界ではSランクは特別な存在なんだろう。



「前の方に座ってるAランクさんやBランクさんは、よーく、ご存じだと思いますが」


「ケイトさんの授業は全部出たいです!」

「もう、そんな事をしても討伐隊の人選には影響ありませんからね」



 討伐隊に選ばれるのは名誉な事なのかな。それともSランクになるには、ヨイショしないといけないのか?


 

「それでは『討伐隊』について説明します。討伐隊の役割は『魔物討伐』と、ライバル校の『ベルリア魔法学園』の対決、そして、敵対関係の『専属魔法団』そして『魔王軍』の討伐があります」



  専属魔法って俺が面談で聞かれたやつだよな。確か『サイレント魔法』がどうのこうの言っていたような気がする。

 

 『魔王軍』と「魔物』はなんとなく想像が付くが、ライバル校の対決ってどういう事だ?



「まずは魔物ですが魔物にもランクがあります。例えば『S級』の魔物にはSランクの魔法使いだと倒せますが、Aランク以下は難しいでしょう。この辺りはほとんどC級しかいないので大丈夫だと思いますが、油断はしないでね」


 

 じゃあ俺は、C級の魔物しか倒せないのか……いや、魔法が使えないから無理か。



「続いて『ベルリア魔法学園』は、政策やルール等を決める時に対立した場合に、お互いの討伐隊同士で戦って決着させます。しかし、殺したり、総力戦で戦う事の禁止等のルールがあります。理由はあとで説明しますね」



 この世界の政治ってどうなっているんだろう? 王政なのか? それとも最強の魔法使いが仕切っているのか? 分からないな。



「『専属魔法団』は、ある魔法の能力だけを特化した集団で、中には禁止されている殺すことを目的とした『殺人魔法』を使う凶悪な団もいます。そういう凶悪団の討伐するわけですね」



 なるほどね、それで試験の時に『専属魔法』か聞かれたのか。

 

 もしかしたら、俺の事を疑ってマークされてるかもしれないな。そんな感じ無かったが、一応用心はしておくか。



「最後に『魔王軍』ですが、皆さん覚えておいて下さいね。魔王軍は、私達人間を滅ぼそうとしています。そして、全討伐隊を以ってしても勝てません」



 マジか……今そんなヤバい状況なのか。



「しかし、ベルリア魔法学園の全討伐隊が加われば、勝てると予想されています。そのこと知ってか魔王軍も最近攻めてきたりはしていません。だからベルリア魔法学園との全面対決は避けなくてはなりません」



 それで討伐隊のルールがあるのか。まぁ、Cランクの俺には関係ない話だろう。



「魔王軍はいつも私達を監視しています。もし内部抗争が激しくなれば魔王軍に攻め入る隙を与えてしまいます。だから協力関係が必要になってきますね」



 協力関係は必要なのに、討伐隊で勝負させたりするのは……仲が悪いんだろうね。



 カーン、キーン、ポーン


 

 ――こうして、討伐隊の授業も終わり、残すは『体力トレーニング』だけとなった。この授業はグラウンドで行われるみたいで『動きやすい服装』っと、掲示板に書いてあった。

 

 確かリュックの中にあいみがくれた袋に、この前出掛けた時に買った服や小物類があったよな。

 俺は一旦、軽装になるための服を取りに寮に戻った。


 そして、袋を取り出し中を開けた。すると、自分が買った物もあれば、絶対に買っていない物が入っていた。

 

 それは、可愛らしいハンカチと水色の折り畳みの傘……。

 そして、ブルマと、昔のスクール水着……。



 悪意しか感じない。

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