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第78話 安楽死!?真由のある決断!!

俺は衰弱していくアルシアに、頭をフル回転させても、助ける方法が思い付かなかった。

 

 このままアルシアを死なせてしまったら……くそー! そんな事を考えてどうする! 

 助かる方法を考えないと。


 そうだ! 俺の魔力を送って、アルシアの魔力が活性化させれば、なんとかなるかもしれないんじゃないか!?



「アルシア待っててくれよ! 今魔力を送るから!」



 俺はアルシアの手を握って、魔力を込めた。

 でもこれでちゃんと送れているのか? 

 

 しばらくしてもアルシアに何の変化も無かった。

 駄目だ! どうすればいいのか分からない!!



 それでも俺はアルシアに魔力を送り続けた。それが最善の方法なのか分からないが。

 


 しばらく魔力を送り続けていると、遠くの方から急速で接近してくる魔力を感じた。


 何だ? 何か来る?



「元主!!」

「えっ!? ポンタ?」



 遠くの方に魔力を感じたと思ったら、もの凄いスピードで、ポンタを先頭に、ミリちゃんを抱っこしたミルネもいた。


 なんでこんな時にミリちゃんを抱っこして来たかは分からないが、今はそんな事はどうでもいい。

 とにかくみんなが来てくれて、俺は安心した。


 ミリちゃんならなんとかしてくれるだろう。Sランクだもんな。



「良かった! いいところに来てくれた! アルシアが重傷を負った!! すぐに手当してくれないか!?」



 ミルネは到着すると同時にミリちゃんを降ろし、膝と両手を着いて、かなり疲れているようだった。 

 そして、すぐに状況を察したのか、ミリちゃんとポンタはアルシアの方に駆け寄った。

 

 すると、ミリちゃんは俺が握っていた反対の手を持ち、何時にない真剣な表情でアルシアをじっと見た。



「ミリちゃん……」



 今の俺にとってミリちゃん達が、救急車でやって来た救急隊のように見えた。



「ミリちゃん、アルシアの傷は治せそうか?」

「……」



 しかし、ミリちゃんはアルシアの手を持っただけで、特に魔法といったことはしないし、俺の問いにも答えてくれなかった。ただ、アルシアの方を見つめていた。



「ミリちゃん?」



 俺の再度の呼びかけにも答えてくれず、ミリちゃんはゆっくりとアルシアの手を放した。



「え?」

「真由ちゃん……」



 アルシアの方をずっと見つめていたミリちゃんが、ゆっくり俺の方に振り向くと今にも泣きそうな顔をしていた。



「ど、どうした……の?」

「真由ちゃん……もう助けられない……」

「え?」

「もう助からない……」


「ち、ちょっと待って、アルシアは重傷だけど、まだ息があるんだぞ! ここが無理でもテレポートで学園に戻って、回復室に連れて行けば」



 ミリちゃんはそのまま下を向いて、泣き崩れてしまった。



「何でだよ! 俺が重傷の時は治ったじゃないか! きっとアルシアも!」



 その様子を黙って見ていたミルネも、状況を理解したのか泣き崩れてしまった。しかし、何か色々試したわけでもないのに、何でそんなにすんなりと諦められるのか、俺には分からなかった。



「おい! まだアルシアは生きているんだ! なんで何もしないうちに諦めるんだよ!」

「元主……吾輩が答えましょう」



 二人が泣き崩れているのを見て、代わりにポンタが答えようとした。



「元主よ、アルシア様の魔力が完全消失しています。ほんの少しでも魔力があれば活性化させて、治癒することが出来ます。しかし、ゼロになってしまわれては、いくら魔力を送ってもゼロのままで、活性化することは出来ません。つまり……」


「つまり何だよ!? このまま見殺しにしろというのか!?」

「それは……」



 ポンタはそれ以上何も言わなかった。俺も馬鹿では無い。その先の事は想像つく。 

 だからと言って、このままアルシアが死んでいくのを黙って見届けるなんて、あまりにも残酷過ぎる。



「ぐっは、はぁはぁはぁ」

「あ、アルシア! 大丈夫か? おい」

 


 突然、アルシアの呼吸が荒くなり、血の気が引いていくのが分かった。そして、泣き崩れていたミリちゃんが、顔を上げて手で涙を吹き、何かを決意した表情でアルシアを見た。



「真由ちゃん、ミリがやる」

「やるって何をだよ」

「ミリはSランクの魔法使い。だから、ミリがやる」

「お、おい、まさか安楽死させる気じゃないだろうな?」



 ミリちゃんはそれ以上話さなかった。そして、アルシアの方に手をかざし、魔力を溜め始めた。

 その様子を見ても、ミルネもポンタも止めようとはしない。本当にもう助からないんだろう。


 でも、俺は納得出来なかった。



「やめろ!!」



 俺は魔動砲を打とうしているミリちゃんの手を、掴んで制止した。



「真由ちゃん! アルシアちゃんが苦しんでる! 放して!」

「駄目だ! 駄目だ! 駄目だ!! そんな辛い役はさせない!!」

「だ、駄目だよ真由ちゃん!」



 再びミリちゃんは、その場で泣き崩れてしまった。俺はミリちゃんの手を握って考えた。


 この魔法の世界では、魔力を完全消失すると、魔力で治癒が出来なくなり、その状態で深い傷を負うとそれは死を意味する。だから安楽死させるのが最良の方法になるようだ。


 でも!! それはこの魔法の世界のお話だ!!

 

 俺の世界では、魔力があろうが無かろうが医療というもので治せる!!


 

 俺はアルシアを助ける一つの考えが浮かんだ。でも、それを実行すれば俺の正体がバレる事になる……。

 でも、俺はアルシアを助けたい……。



「ミリちゃん、ミルネもポンタも聞いてくれ! アルシアを助ける方法が一つある!」

お読み頂き、ありがとうございます。


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