第74話 放置プレイ?
この何もない丘の小さな小屋には、髪がサラサラのセミロングの美少女が、金髪ツインテの幼い美少女をベッドの上で拘束して、何かを企んでいました。
うーん、これが今の俺の状況だけど、一体アルシアは何をするつもりなのか?
「アルシアさんこれは一体?」
するとアルシアは、何かを疑うような表情でさらに顔を近づけた。
「真由、前から気になっていたけど、基本的な魔法が全然使えないんじゃないかしら」
「ギクッ」
俺はアルシアから目を合わせれなかった。なぜなら図星だから。
「こんな拘束魔法に掛ってしまうなんて……」
「うっ……」
アルシアは一旦、顔を引いて俺の肩を握った。
「よく聞いて。真由が強いのは認めるけど、もし敵にこの魔法を掛けられてしまったら、何も出来ずに終わってしまうわよ」
「はい、仰る通りです」
俺もそれは分かっていたけど、マスターするには時間が無さ過ぎる。
「この学園のランク試験も、試験科目だけ出来るようにして合格したんでしょう?」
「うっ……はい」
「それは生産部がやる方法で、戦士部はやるのは良く無いわ」
説教するなら、この拘束を解いて欲しいんだが……。
なんかそういうプレイ……いやいや、俺は何を考えているんだ!?
アルシアは真剣に俺を心配してくれているのに。
ふぅー。
やっぱり拘束されたこの状態で説教されると、なんだか変な気分になってしまう。
「あのー、分かりましたので、そろそろ自由にしてもらえないでしょうか?」
「ふぅー、仕方ないわ。私が基本的な魔法を教えるから、分からない事があったら遠慮なく聞いて」
「え! いいの? やった!」
今まで、アホがばれないように一人で勉強してきた。聞きたい事があっても、その質問がアホな事かもしれないと考えてしまって、なかなか出来なかった。
でも、これから堂々とアルシアに聞けると思うと嬉しくなる。
「ありがとう、アルシアこれから頼むよ」
「私は出来るまで教えるからね。覚悟してよ」
「はい、師匠!」
「じゃあ早速やるね。その拘束魔法を自分で解析して、解除しましょう」
「はい?」
こんなぎちぎちにかかった拘束魔法を、自力で解除出来るのかよ! いや無理だろ!
「拘束魔法を解くには、誰かに魔法解除してもらうか、術者を倒す。あとは自分でやるしか無いわ。本来、拘束魔法は相手を弱らせてから使うものよ。今の真由なら、魔力を抑えられた状態でも、少しの魔力で少しずつ解析する事は出来るわ」
「そんな事出来るかな……」
「集中して魔力の流れを感じるの、真由なら出来るよ。私が掛けた拘束魔法はシンプルなものにしているし」
アルシアがそう言うと、ベッドから起き上がり、ドアの方に歩いて行った。
「その間、ちょっと外の空気を吸ってくるね」
「えぇー!! ちょっと!」
「真由、さっきはありがとね」
そう言ってアルシアは外に出て行った。
うーん、これはあれだな……放置プレイというやつか。
魔力の解析って言ってたけど、いきなり難しいなぁ。魔力の流れなんて全然分からないし。とりあえず、身体をくねらせてもがいてみるか……。
おらっ、よっ、ほっ、うーん。
駄目だ、全然解ける気配が無い。やっぱり、解析しか無いか……。
でも、成功すれば今後、絶対に役立つから頑張るしかない。
俺はしばらく魔力を解析してみたが、やはり駄目だった。
ふぅー、ちょっと休憩。
それにしてもこんな拘束された状態で、強姦魔が入って来たら終わりだな。精神的ショックで立ち直れない自信がある。外にアルシアもいるし、大丈夫だと思うけど。
ガタッ
「アルシアー!!!」
何か物音がしたから、思わず叫んでしまったが、風がなんかだろう。でも、アルシアは近くにいないのかな? 結構叫んだと思うけど。
ガタガタガタ!
「アルシア!!!! 助けて!!!! ん?」
またもや物音がしたので、叫んでしまったけど、どっから入って来たのか分からないが、リスのような可愛い小動物が床にいた。
なんだリスか……リスだよな? 怖い魔物じゃないよな? 別に問題無いよな?
拘束されているせいで、凄いビビッているな俺。それにしても、これ以上無いくらい叫んだけどアルシアは来なかったな。
俺をこんな状態で、出掛ける事はしないだろうし。
うーん、ちょっと心配だな。
俺も早くこの拘束を解こう。
俺が魔力の解析を始めようとすると、床でうろうろしていたリスがジャンプして、ベッドに上がって来た。
「びっくりした! あっちいけ! しっし!」
俺は追い払おうとしたが、あろうことかそのリスは、俺の服の中に飛び込んで来た。
「おい! こらー! そこは駄目だ! やめろ! いやあ! あー! このエロリスめ!」
このけしからんリスは、俺の服の中に入って出られなくなったのか、あちこち動き回った。まるでミルネかミリちゃんの刺客みたいだ。
しかし、何も抵抗出来ない俺は、身体をくねらせ耐えるしか無かった。しかし、もがき過ぎてそのままベッドに落ちてしまった。
ドスーーン!!
「痛て!! もう駄目だ! アルシア!! マジで助けてくれ!」
俺はアルシアに助けを求めたが、返事は無かった。
本当に心配になってきた。
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