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第72話 小屋で二人きり

 俺とアルシアは第一中継ポイントである小屋に到着した。

 

 小屋は、よく登山客が休憩する小さな山小屋みたいで、ドアと窓が一つあるだけでとてもシンプルなものだった。

 一応これも魔法でデザインしている。この辺りは自然の魔力が強いみたいだからデザインもキープされるんだろう。



「小屋の周辺に魔力を感知する結界を張っておいたわ」

「ありがとう。もしかして今まで寝る時に、結界を張っていてくれたの?」

「ええ、もちろんよ」



 俺がミリちゃんに襲われて、その様子をミルネが楽しんでいる間、ちゃんとそういう事をやっていてくれたんだな。

 俺は討伐隊としてちゃんとしたいが、いつも変な流れになる。

 もうちょっと、俺も積極的に討伐隊として行動したいぞ。



 そして、小屋の中に入ると、8畳ぐらいの部屋で、テーブルに椅子が2つあって、布団が敷いてあるシングルベッドが置いてあった。



「真由、夕食にしましょう。座って待っていて」

「うん……」

「どうしたの?」

「いや、またジュレかと思って」

「携帯用は質が悪いかもしれないけど、美味しくテイストするから我慢してね」



 そういう意味では無いんだけど……そろそろ日本食が恋しくなると態度に出てしまう。でも、ここではこのジュレが普通なんだから、嫌がってばっかりだと変だと思われる。

 


 しばらくすると準備を終えたアルシアが、テーブルの上にジュレを並べた。



「お待たせ、早く食べよう」

「ああ、ありがとう」

 


 携帯用のジュレは恐らく、色んな色のジュレが混ざっているから、灰色で見た目はあまり良く無い。

 味もなんとか食べれるレベルだけど、アルシアのテイストが無ければ、きっと不味いだろう。



「あの2人もちゃんとやっているかしら?」

「大丈夫だよ。ポンタがいるから」



 もしポンタが居なければ不安で仕方ない。

 ポンタは俺を魔王軍から助けてくれた実績があるし、性格もしっかりしている。とてもミリちゃんからの魔法で生まれたとは思えないのだ。

 


「でも、突然のミリちゃんの行動にはポンタも手を焼いているかもしれないな」

「ふふ、そうかもね。でもあの2人は真由が思っている以上にちゃん討伐隊しているわよ」

「えぇぇぇぇぇぇ!! そうなの!?」



 いや、それは流石に言い過ぎだろ! これまでの討伐隊の活動で、そう思わせる事ってあったか?

 それとも俺が知らないだけなのか……。でも、アルシアが言うからにはそうなんだろう。



 ――そして食事も済ませ、あとは寝るだけになった。



「そろそろ寝る用意をしましょうか? あっ、本部の報告はどうするの?」

「うーん、明日に連絡しよう。その方が今夜は安全に過ごせる。状況が分からなければ、ダンロッパも下手に仕掛けて来ないだろう」


「そうね、分かったわ。明日ならまた全員揃って安全ね」



 逆に今までちゃんと報告をしていただけに、今回それが無いとキメラでやられたと思うかもしれないな。

 それにしても、やることが単純というか、芸の無いやつだ。魔物を送り込むのはこれで3回目だぞ。



 さてと、アルシアも寝る用意を始めたみたいだし、俺も寝る用意をするか。


 まず着替えだが、ジャージの上着は燃やされたので、下とTシャツはなぜか行方不明。だから、今着ている制服(今はゴスロリにデザインされている)をデザインでパジャマに変えるしかない。

 

 でも俺にはそんな器用なことは出来ないが、ミリちゃんが予めデザインしたものなら切り替えるぐらいは出来る。ただ、凄く可愛いお嬢様が着るような薄い水色のワンピースになっているのが問題だが。  


 ううっ、普通にジャージで寝たい……けど、ミリちゃんには逆らえない。 


 俺は可愛いワンピースのパジャマにデザインを切り替えた。するとなぜかアルシアと目が合ってしまい、思わず逸らしてしまった。


 こんな格好を見られるのは、やっぱり恥ずかしい。



 そして、俺はベッドをクリーンの魔法で綺麗にして、寝る準備を整えた。



「綺麗にしたし、一緒に寝ようか? アルシア」



 俺がベッドに入り普通に誘ったら、アルシアは持っていた寝袋を落とし、顔を赤くして俺を見つめた。

 

 しまった!


 なんか一緒に寝るのが当たり前になり過ぎて普通に誘ってしまったが、アルシアは寝袋を持っているから、別に一緒に寝る必要無かったじゃないか!

 

 俺としてしまった事がうかつだった。ミルネやミリちゃんのせいで、いつの間にか俺まで感覚が変になっていた。



「いや、ごめん。俺が寝袋で―――」

「うん、いいわ。一緒に寝ましょう」

「えっ」



 俺は訂正しようと思ったら、アルシアはOKの返事をしてしまった。なんか俺の方が、一緒に寝たい流れになってしまったけど。

 

 

「いや、無理にはいいよ。俺、寝袋で寝るし」

「駄目よ! もう一緒に寝るんだから!」

「あ、はい」



 アルシアはさらに顔を赤くした。もしかして、アルシアはミルネとミリちゃんみたいに、一緒に寝たいのか!? それともあの2人に感化されてしまったか!?


 アルシアは俺の手を握って、一緒に布団の中に入り、抱くまではしなかったが、お互い近距離で向き合うような体勢になった。


 しかもアルシアの胸は大きいから、俺の胸に当たりそうだ。この感じはミルネやミリちゃんには無かった。確実にあの2人より大人びたアルシアだと、流石の俺も緊張してしまう。


 やばい、心臓がバクバクしているかもしれない。

 


「真由は可愛いね」


 

 いやいや、アルシアも可愛いよ。なんかちょっとエロいし。

 それにしても、未だに女の子から「可愛い」と言われるのが慣れない。

 それに恥ずかしい……。

 これで眠れるのか俺……。

お読み頂き、ありがとうございます。


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