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第68話 討伐隊本部より第2の依頼

 早朝にアルシアから、本部からの依頼が入ったという連絡を聞いて、俺は急いで起きた。



「マユリン……だめ……もっとこっち」

「こら! 放せ!」


「真由、手伝おうか?」



 その様子をアルシアが苦笑いをしながら、俺に手を差し伸べた。

 


「いや、いいよ。こっちはなんとかするから、アルシアはミリちゃんを起こして。みんなで話を聞く方がいいだろう」


「分かったわ。頑張ってね」

「アルシア、気を付けろよ! 寝起きのミリちゃんは何をするか分からないぞ!」



 アルシアは俺の言ったことに少し微笑み、ミリちゃんの寝る寝袋の方に行った。

 ミリちゃんを起こすことに比べれば、ミルネはまだましのような気がする。


 さて、俺に絡みついたこいつを解くと同時に、叩き起こしてやるか? この状態なら逆にこっちから絞めてやるか。



「そんなに抱き締めたいのなら、抱き締めるがいい! 俺もきつーーく抱き締めてやるからよ」



 俺はミルネを瞬発的に力を入れて抱き締めた。



「ぐえ! マユリン、く、苦しい!」

「素直に起きるか?」

「分かったよ、起きるよ」



 本当にミルネは朝が弱いよな……ん? いや待て。

 

 俺とミリちゃんが一緒に寝た時は、寝顔を見たいが為に、俺より早起きしていた事があったよな?

 つまり、興味がある時は、ちゃんと起きれるということか。ふぅー。

 

 ミリちゃんの方は、アルシアに対して理不尽な事はしてないようだ。もしかして、俺だけが特別なのか?


 

 そして、4人揃ったところでアルシアが、次の依頼の話をしてくれた。その内容はこうだ。



(太助さんが率いる討伐隊『ストレングス』と合流し、ベルリア学園に向かえ。

 尚、ストレングスは魔王軍の領域で監視活動を行っているので、連絡は取れない。よって、2名がストレングスを呼び戻し、残りの者は先に第一中継ポイントの小屋まで行って欲しい。

 ただ一つ問題があって、小屋周辺にアンデッドが発生しているので、アンデッドを討伐して欲しい。次の指示は第一中継ポイントで知らせる。以上)


 

 俺は思っていたより、まともな依頼で少し驚いた。

 まぁ、理由は分からないが、この依頼をそのまま従っても、ベルリア学園に到達出来そうだ。


 太助さんの討伐隊って確か、俺達より先に行った「ゴッスン、ゴッスン」うるさかった討伐隊だよな。もし一緒にベルリアまで行けるのなら、それは心強いが、ダンロッパとつるんでいたら最悪だ。


 うーん、ダンロッパ目線で今回の事を考察してみるか。


 この依頼のポイントは、俺達を二分させている所で、それはこちら側の戦力ダウン、もしくはミリちゃんを避けたいとかだろう。

 

 しかし、その場合だったら指名してきそうだが、今回は2名としか指示していない。誰がどちらに行くか分からないのに、何か仕掛けてくるだろうか?


 それから太助さんとの合流だ。

 仮に太助さんがぐるだとして、わざわざ魔王軍の領域まで来させるメリットが無い。そんな所で戦闘にもなれば、魔王軍も黙ってはいないだろうし。


 もし、仕掛けて来るとすれば、道中に以前のようなS級の魔物を仕向けてくるとかだろう。とりあえず、この依頼の目的地がベルリア学園なら、目的地としては合致する。

 まさかベルリア学園に根回ししたんじゃないだろうな?



「真由、どうする?」



 アルシアは少し不安そうな表情で俺に聞いて来た。ミルネやミリちゃんは、興味が無いのか、またはよく分かってないのか、眠たそうだった。

 これは俺とアルシアで決まってしまいそうだが、一応聞いておこうか。



「俺は、目的地が一緒なら依頼を受けてもいいと思うが、みんなはどうだ?」

「あたしはマユリンについて行くよ」

「真由ちゃんがミリのものなら、どっちでもいい」



 まぁ、予想通りの反応だ。とにかくミリちゃんは俺をもっと可愛くして、モフモフしたいだけだ。

 あとはアルシアだ。



「私も真由の決定に従うわ。でも、二手に分かれるから、誰かを決めないと」

「そうだな……」



 そう、問題は誰と誰が、どっちに行くか? だよな。

 単純に依頼内容だけで判断せず、ダンロッパの罠もあることを考慮しなければならない。


 俺がメンバーを決めに悩んでいると、ミルネが勢いよく手を挙げた。



「はい! あたし、お化けが苦手だから、魔王軍の領域でストレングスと合流する方がいい!」



 そう言えば、ミルネは苦手だったよな。アンデッドがどういうものなのかは、分からないが、ゾンビみたいなものか?

 そして、次にゆっくりと手を挙げたのは、ミリちゃんだった。



「魔力が乱れるから、ミリも合流の方がいい」

「へ? どいうこと?」

「吾輩も同じく」



 相変わらず訳が分からない事を口走ると思ったら、ポンタも同様の理由だった。という事は、これは俺が無知なだけで、みんな納得しいるかもしれない。

 

 しかし、この状況をポンタが察してくれたのか、続けて理由を説明し始めた。



「元主よ、アンデッドは死体や死骸に、自然の強い魔力によって蘇った魔物です。蘇ったと言っても、意志や記憶、魂と言ったものはありません。この現象は、吾輩のように主の魔法『アニマ』と通じるものが有り、アンデッドのいる所では吾輩の魔力は乱れるでしょう。そして、主もアニマの魔法を使うのが難しくなるという事です」


「なるほど、そういう事か。でも、これで自然とメンバーが決まってしまったな」



 ミルネとミリちゃんが、魔王軍を監視している討伐隊『ストレングス』を呼び出して、俺とアルシアが第一中継ポイント周辺のアンデッドを討伐する。


 ミルネとミリちゃんだけなら不安しかないが、ポンタも一緒なら安心だ。

 戦闘面ならミリちゃんは最強だし、ミルネは本人が思っている以上に強いだろう。


 もし、不測の事態が起きても、Sランクのミリちゃんなら『テレポート』で脱出する事が出来る。


 しかし、魔王軍領域での強い魔法は、魔王軍に察知される可能性がある為、極力魔力の使用は避けた方がいい。


 問題は俺とアルシアだ。

 この組み合わせは、ダンロッパに最も恨みを買うコンビだからな。


 しかも、ミリちゃんとの戦闘はダンロッパもしたく無いはずだから、仕掛けるならアンデッド討伐の方だろう。


 うーん、何か対策を考えたいところだけど、今は何も思い付かない。

お読み頂き、ありがとうございます。


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