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第65話 絶対に眠ってはいけない

 アルシアと交代してから、どれぐらい経ったのであろうか?

 ようやく、ミリちゃんの分まで見張り役を成し遂げることが出来た。


 もう限界だ……。

 今なら寝るのに1分もかからないだろう。


 魔力感知炎も端まで移動し、折り返した。

 よし、ミルネと交代だ。俺はミルネを起こしに傍まで寄った。



「ミルネ、起きろ。交代だぞ」



 俺はミルネの身体を揺すって、起こそうとしたが、ミルネは爆睡中なのか起きる気配が全然無かった。



「おい、ミルネ起きろ!」



 俺はさらに激しく揺すったが、ミルネは幸せそうな顔をしながら、尚も爆睡中だった。



「おい、嘘だろ! ふざけるなよ!」



 今度は頰っぺを叩いてみたが、まるで反応が無い。呼吸はしているから死んではいないようだが。



「マジか! 頼む起きてくれー」



 ここまでやって起きないとは……そもそも、ミルネに早起きさせるなんて無理があった。

 でも、これ以上ミルネを起こそうとすると、アルシアが起きてしまう。


 うぅぅ、さらに2時間ぐらい起きていないといけないのか!?

 いや、無理だろう。どうする……。


 うーん……。


 こういう時は、明日の予定を具体的に考えて、少しでも頭を使おうか。


 明日は女将を問い詰めて、ベルリアがなぜ討伐隊マジックテックを送り込んで来たのかを聞き出そう。そして、こちら側に敵意が無いことを示して、友好的に話し合う。


 それから、ベルリア学園に向けて出発して……。

 行き方は、アルシアが知っているから、ナビは要らないだろう……。

 よし、車で行けばそんなに時間はかからないぞ。

 

 


 ……。


 ……はっ!


 もしかして今寝ていたか? 

 なんか車でベルリア学園に行こうとしていたなぁ。

 なんでこんな変なことが起きているのに、夢だと気付けないんだ!!


 まぁ、それを言い出したら、美少女になって異世界で冒険してる、この現実も夢でもおかしくないが。


 ていうか、俺は男に戻れるんだろうか……。

 このまま美少女のままだったら……。

 ミリちゃんと一緒に生活して……。

 ミリちゃんがバイトして俺は寝る……


 ……。


 ……。




「真由、起きて」

「うーん、ん? へ?」



 俺はアルシアに起こされた。ということはいつの間にか寝てしまっていたみたいだ。

 気付けば、部屋は朝日で明るくなっていた。


 ミルネとミリちゃんは、アルシアに起こされたようで、目を擦りながら布団の上に座っていた。どうやら、俺が一番爆睡していたようだ。



「真由、みんな寝ていたけど大丈夫?」

「えっ! あ! いや俺は結構頑張ったと思うが……そうか」



 アルシアから見れば、ミルネとミリちゃんが起きなかった事を知らないから、俺が単純に見張り中に眠ってしまったと思ったんじゃないか。


 これは誤解を解かないと……。



「違うんだよ! ミルネとミリちゃんが全然起きなかったんだよ!」



 俺が弁解すると、ミルネとミリちゃんは意外にも反論をしてきやがった。



「ミリはポンタちゃんに任せていたから」

「あたし、起こされてません」

「なぬ!」



 すっかりポンタの存在を忘れていたが、それならそう言えよ! って、ミリちゃんに言うのは怖いから止めておこう。

 一応、見張ることを考えていたみたいだし……ん? 待てよ。


 ポンタはもし眠る必要が無く、ずっと見張ってくれていたなら、俺のあの努力は一体.....。

 なんかどっと疲れてきたわ。


 はぁ~。



「ミリちゃんは自分の役割をポンタに任せていたから、まだいいとして、ミルネの言い訳はなんだ? 俺は身体を揺すって、起こしたんだぞ」


「だって、全然知らないもん」

「アルシア、俺はあの時どうすれば良かったのだろうか?」


「私を起こしてくれれば良かったのに。誰か起きてないと、敵の襲撃があったら大変な事になっていたわよ」



 確かにそうだよな。俺は一応隊長だから、みんなの安全を第一に考えて行動しないといけなかった。

 あの時は、アルシアが疲れただろうから、あまり起こしたくないと思っていたからな。



「元主よ、報告したい事があります。重要な話ですのでもう喋っても構いませんか?」

「ああ、それはもういいよ。話してくれ」



 実は、ポンタに俺は人前では動いたり、喋ったりすることを控えるよう指示していた。俺は、初めからこの宿泊の話は疑っていたから、敵の罠にかかっても、全滅を避けるために保険を掛けていた。

 

 恐らくポンタの存在は知らないはずだから、いざと言う時にポンタに助けてもらう事も出来るし、敵に不意打ちを食らわす事だって出来る。


 しかし、そのせいでポンタの存在をすっかり忘れてしまったが。

 それにしても、重要な報告があるという事は、もしかして、俺が寝たあとに敵襲でもあったのかな?



「元主が眠った後の出来事です」

「やっぱりか。ちなみに俺がミルネを起こしているを見ていたよな?」

「はい、元主が言うように身体を揺すって起こそうとしていました」



 バシッ



「いたー! マユリン痛いよ」

「それで勘弁しといてやろう。すまん、ポンタ、話を続けて」

「はい、元主が眠った後、敵襲に遭いました」

「やっぱりか」

お読み頂き、ありがとうございます。


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