表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

64/202

第64話 交代で見張り

 そろそろ就寝したいとこだが、マジックテックの襲撃も考えて、交代で見張り役を一人立てようと思う。

 

 見張りの順番は、ミルネとミリちゃんが眠たそうだったので、先にアルシアと俺がやることになった。

 2人が俺と一緒に寝たいと駄々をこねるから、アルシアが先で、俺、ミリちゃん、ミルネの順だ。


 この2人がちゃんと見張り役として務まるかどうかは、疑問だが……。



「じゃあ、アルシア任せるけど、どのタイミングで交代にするんだ?」

「それはこの『魔力感知炎』を使いましょう」



 するとアルシアは天井に向かって、軽く人差し指を差すと、オレンジ色の火の玉のようなものが飛び出した。どうやら、火のように見えるが、燃えたりするようなものではないようだ。



「この魔力感知炎が部屋の天井をゆっくり、端から端へと移動するから、その時に交代しましょう。魔力を感知すると、この炎の色が青くなるから、注意して」


「おお、これなら分かりやすくていいな」

「マユリン、早く寝よ」



 俺ら3人が先に寝る為、部屋の明かりを少し暗くした。そのせいで、魔力感知炎が豆電球に見える。

 


「それじゃあ、すまんがアルシア頼む」

「うん、ゆっくり休んで」

「じゃあ、端で寝るするか」



 この布団は、2枚の布団と合体していて、そこそこの大きさがあり、俺は端を選んだ。



「駄目! マユリンは真ん中で寝るの!」

「なんでだよ!」

「ミリちゃんとそう決めたから」



 なんかもう勝手に決まってしまっている。しかも、拒否権も異議申し立てをする権利も無さそうだ。



「マユリンはあたしの隣で寝るの!」

「真由ちゃんはミリの隣」

「ほら、一致しているよ」

「お前ら2人だけだろうが!!」



 しかし、こんな事でぐだぐだやって早く寝なかったら、アルシアに怒られそうだな。

 どうせ逃れられない運命だったら、この2人を刺激せずに早く寝てもらうのが一番かもしれない。



「分かったから、大人しく寝ろよ」

「わーい、マユリンと一緒に寝るの久しぶりだから、嬉しい」



 俺はミルネとミリちゃんに挟まれる感じで、寝ることになったが……。



「マユリン、こっち向いてよ」

「駄目、ミリの方に向いて」

「お、おい、顔を引っ張るな」



 3人一緒に寝たのはいいが、今度は俺がどっちの方に向いて寝るのかを、ミルネとミリちゃんが揉め始めた。

 仕方ないので、俺は上を向いて寝ることを提案して、なんとかその場を収めることが出来た。

 本当、この2人からは緊張感が全く感じられない。


 しかし、両サイドから絡んでくるから、俺は身動きが取れずマグロ状態で、ただ天井の魔力感知炎をずっと眺めていた。



「マユリン……好き」

「ぐえ、体重をかけるな! 苦しい」

「真由ちゃん」

「ぐぉお、口の中に指を入れるな!」



 お、俺はこんな状態で寝れるのか? きっとアルシアは呆れた顔で、こっちを見ているんだろうなぁ。


 俺はアルシアの方をそーと見ると、意外に羨ましそうな表情をしているように見えたが、まぁ、薄暗いし、俺の気のせいだろう。



 

 ――そして、どれぐらいの時間が過ぎただろう。

 魔力感知炎が部屋の端まで移動し、交代の時間がやって来たが、俺はミルネとミリちゃんに挟まれた状況で、あまり眠れなかった。

 だからと言って、交代しないわけにはいかない。



「アルシア、そろそろ交代しようか?」

「真由、起きていたの?」



 アルシアは、俺が起きていた事を少し驚いていたようだ。



「交代して大丈夫? もう少し寝る?」

「いや、大丈夫だ。それより、俺にしがみついているこの2人を外すのを、手伝ってくれないか?」

「ふふふ、分かったわ。真由も大変ね」



 アルシアに俺の苦労が分かってくれたのかなぁ。

 

 アルシアは一つ一つ俺に絡まった物を丁寧に外して、俺と入れ替わった。



「アルシア、そこは色々と危ないぞ! 端で寝た方がいいぞ」

「大丈夫よ」



 アルシアがそう言うと、ミルネとミリちゃんの頭を優しく撫でた。

 すると、2人は俺の時みたいに無理に絡むことは無く、寄り添うようにアルシアにくっつき、それは天使のような寝顔だった。



「お前らどういう仕組みやねん!」

「真由、大きな声を出したら起きてしまうわ」

「あ、ごめん」

「真由、あとは任せるわね」



 アルシアは仰向けになり、二人を両手で抱えるような体勢で眠った。今日は運動量が激しかったから特に疲れたであろう。

 俺も今日は疲れたから、ぐっすりと眠りたいが、あの魔力感知炎が端に行くまでの辛抱だな。

 それまで暇だから、今日実戦で使ったアグリケーション バージョン2の反省でもするか。

 

 MPCシステムで殴って、拳が当たる瞬間にMPCシステムで魔力も集中させる方法は、少し無理があった。

 魔力のタイミングを合わせようとすると、つい力が入ってしまい、魔力のコントロールが出来ずに一気に暴発してしまった。


 これはもっと練習をすれば改善出来るかもしれないが、そんな余裕は無い。だから、もう少しやり方を変える方がいいだろう。


 タイミングを合わせるのは難しいから、今まで通りに一度MPCシステムで殴ってしまう。そして、その後に魔力を集中して、魔力を爆発させる。

 

 一回でパンチが2回当たるような感じになるが、今日みたいな失敗はしないだろう。


 この二段構えの技を『アグリケーション バージョン3』にしよう。

 これなら出来そうな気がするぞ。


 ふぅー。


 ……。



 さてと、感覚的に30分ぐらいは経った気がするが、魔力感知炎はまだ1/4ぐらいしか移動していない。ということは、大体あと90分ぐらいは起きていないといけないのか……。


 あの炎を見ていると眠気が来るから、あまり見ないようにしていたが、流石に眠たくなってきたな。

 でも、耐えないと……。



 ……。



 あと半分……。


 ……。


 ……。


 あともう少し……。


 ここまで来ると眠気マックスになってきたが、俺は気持ちを奮い立たせて、なんとか魔力感知炎が端に行くまで耐えた。


 残り30分ぐらいが危なかったが、ようやく交代出来るぞ。

 次はミリちゃんだけど……大丈夫かな?


 俺は、アルシアに寄り添うように寝ているミリちゃんの傍に行って、ミリちゃんの肩を撫でて起こそうとした。

 すると、ミリちゃんは目を閉じたまま顔をゆっくりと上げた。


 な、なんだよ。凄い怖いんだけど……。



「ミリちゃん、交代の時間だよ」



 俺がそう呼びかけると、ミリちゃんのまぶたが少し開いたと思ったら、白目を俺の方に向けてきた。

 これはやばい。なんか凄いやばい気がする。しかも、魔力感知炎が青色に変わった!



「ミリちゃん、あの……ん? うわ!」



 突然ミリちゃんから、魔力弾? みたいなものが俺の方に飛んで来た。

 

 俺は間一髪でかわす事が出来たが、これ以上ミリちゃんを起こすのは危険と判断して、起こすのを諦めた。時には諦める勇気も必要だろう。


 もしかしたら、これは敵から身を守る為の防衛システムかもしれない。一応、ミリちゃんなりに警戒しているのかもしれないが、俺に攻撃する事はないだろ!


 でも、次の交代まであと2時間あるって事だよな?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ