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第60話 魔水浴に仕掛けた罠

 ミルネとミリちゃんの組み合わせは、相乗効果のせいと言うべきか、明らかに変なスイッチが入っている。

 俺は抵抗も出来ずに倒れ込んでしまい絶体絶命だったが、救世主が現れた。



「ちょっと、2人とも!! 真由が嫌がってるでしょう!!」



 アルシアの声を聞いたミルネとミリちゃんも、慌てて俺を襲うのを止め、不味いと思ったのかその場から逃げ出した。



「ある姉だ!! 逃げろー!!」

「おーー!」

「ちょ、ちょっと2人とも!」

「アル姉、先に部屋に戻るね。おほほほ」

「戻る。おほほほ」



 ミルネとミリちゃんは、完全に逃げるようにその場を離れた。

 

 それにしても、ミルネもそうだけど、ミリちゃんまで女将の真似をするとは少し驚いた。恐らく、楽しくてしょうがないんだろう。



「もうしょうがないんだから! 真由、大丈夫?」

「ああ、大丈夫……げっ!!」



 アルシアの格好は、一応タオルで隠しているけど、裸だ!



「解除! これで動ける?」

「ありがとう、アルシア」



 アルシアが魔法を解除してくれたおかげで、俺にかかっていた拘束魔法は解けた。  

 そして、倒れている俺に手を差し伸べて起こすのを、手伝ってくれた上に、髪の毛に付いた埃を優しく手で取ってくれた。


 本当、アルシアは優しい女の子だ。



「はい、タオル」

「あっ」



 アルシアは、あの2人に剥ぎ取られた俺のタオルを拾って、俺の身体に巻いてくれた。



「真由大丈夫? 2人には後で注意しておくわ」

「俺は大丈夫だから、あの2人には何も言わなくていいよ」

「どうして? 今のはやり過ぎだと思うわ」

「あの2人、今日で一気に仲良くなったと思わないか?」



 アルシアは、少し意外そうな表情をした。



「そうね、急にどうしたのかしら」


「ミリちゃんはあれでもSランクだから、ミルネにとって気軽に話しかける存在ではないし、ミリちゃんは自分から話しかけるタイプではなかったから、2人は交わることはない。けど『俺』という共通の話題が出来た事で、2人の距離が一気に縮まったんじゃないかなぁ。だから、今は楽しくてしょうがないと思うし、あまり水を差したくない」


「ふふ、そうかもね。分かったわ」



 アルシアは、納得してくれたのか笑顔で答えてくれた。でも、アルシアに「あの時、注意してもらっておけば……」と、後悔する日が来そうで恐い。



「真由、せっかくだから一緒に入りましょう」

「うん、え?」



 突然のアルシアの提案に思わず乗ってしまったけど、いいんだろうか?

 俺は男だぞ……。


 しかし、アルシアは俺の手を引いて、湯船の方へ向かった。



「アルシア、俺やっぱり……やめとくわ」

「真由って、女の子同士でも裸を見られるのが嫌なんでしょう?」

「え? いや……うん、その」



 そう言うわけじゃないけど……そう言う事にしといた方がいいのかな? 


 でも間違ってはいない。男の時は、女の子に裸を見られても平気だったが、真由になってからは恥ずかしい気持ちになる。特にミルネやミリちゃんみたいに、好奇の目で見られると。 


 

「心配しないで、タオルを巻いたままでも大丈夫だから」

「そうなのか? だったら、アルシアも巻いたままでお願いします」

「ふふ、分かったわ」



 これでアルシアの裸を見なくて済みそうだぞ。いや、本当は見たい気持ちがあるけど。いやいや、後の事を考えたら、こうするのが一番だろう。


 俺とアルシアは、一緒の浴槽に入った。

 お湯は濁りも無く透明で、温度もちょうどいい感じだ。これはもう温泉だろう。


 でも、このお湯は自然に湧いたものなのか? 魔力で熱されたものなのか? 



「あぁ~、気持ちいいね、真由」

「う、うん」



 ちょっと緊張するなぁ。

 アルシアは、ミルネやミリちゃんよりも大人びてるし、胸もあるから目のやり場に困る。いや、あの2人が子ども過ぎるかもしれないが。

 

 真由もあの2人みたいに幼い身体だから、あまり言える立場ではないか。でも、変態無垢朗のせいで、胸があるというオプション付きだけどね。

 


「真由って幼いのに大人だよね」

「えっ!? 大人?」

「うん、私より大人のような気がするわ。それに男の人のようなたくましさと、頼りがいがあるから、あの2人も、つい甘えたくなるのよ」


「そんな事ないよ」



 アルシアは「男のような――」というけど、まさに男なんだよな。しかもアルシアより年上だし、大人と言われても当然かもしれない。


 なんか色々と騙しているみたいで、心が痛い……。いや、実際騙しているんだけど。


 

「真由!!」



 突然アルシアが立ち上がり、俺を呼んだ!



「うーん、え? 何!?」

「魔力を感知したわ!! 何かの魔法を仕掛けられている!」

「魔法だと!?」



 俺も慌てて立ち上がり、アルシアと周囲を警戒した。すると、入口の方から湯気で見づらいが、人影が見えた。



「アルシア! 入口に誰かいるぞ!」



 その人物は、ゆっくりと近づいて来て、何やら話を始めた。声からして男だ。



「ひゃっひゃっひゃあ! やったぞ! ついに捉えたぞ!! ひゃっひゃあ! 湯船は油断するやつがいるからな!! ひゃっひゃあ!」


「捉えた? 真由!! それ!」

「え? なんか俺の周りに魔力を感じるなぁ。拘束魔法では無いようだ」

「ひゃっひゃあ!! もう遅いよ」


お読み頂き、ありがとうございます。


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