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第50話  ミリちゃんはドS!?

 ミリちゃんの可愛い寝顔の前で俺は咳き込んでしまい、マシュマロみたいな唇の周りに血が飛び散ってしまった。

 

 やばい! このまま朝になったら面倒な事になりそうだ。

 俺は指で血を拭き取る為、ゆっくりと人差し指をミリちゃんの頬に持って来た。


 いや、この顔の距離だとペロリと舐める方が早いかもしれないが、流石にそれは不味いだろう。

 

 よし、バレないようにゆっくりとなぞるように……。

 ああ、ふにゃふにゃでしっとりとした張りのあるミリちゃんの肌の感触が、指から伝わってくる。



 俺はこの調子で唇の周りの血を拭き取ることが出来きだ。

 あと残すは上唇に付いた血だけだ。

 

 あともう少し……。

 これがミリちゃんの唇……ほんと可愛いなぁ……よし、こんなものかな.....。


 しかし! 順調にミリちゃんの唇を指で、血を拭き取っていたら、突然ミリちゃんの眼が開いた!


 うわっ!


 俺の中ではもう無事に片付いたものだと安心し始めていたから、完全に意表を突かれ、指を引っ込めるのを忘れてしまった。


 

「い、いや、これは何と言うか……その……」

「真由ちゃん、明日してあげるから、ミリはもう寝る……」

「明日も!? いや、いいです! 本当に吐いちゃうんで!」



 口の奥に指を突っ込んでくるという、ミリちゃんの謎の行動の一つだが、さっきの俺の行動のせいでやって欲しいという誤ったメッセージを送ってしまったようだ。



 それにしても、ミリちゃんの寝顔を見ていると、過去にあった話が嘘のように思える。ミリちゃんは、お姉ちゃんが魔王軍幹部だと知っているのかな……。


 でも、魔王軍幹部はみんな強かったし、魔王なんて手も足も出なかった。

 

 俺のMPCシステムも有効性は高いが、長期戦になると対策されそうな気がするし、魔力を纏ってさらに攻撃力を上げても効果があまり期待出来なかった。

 というより、ハイブリッドカーのように体力の消耗を魔力で補っただけと言った方がいいか。


 なんかMPCシステムと魔力攻撃が上手く使いきれてない気がしてならない。

 もっと相性良く合わせる方法があると思うのだが……。

 

 うーん、これはもっとお互いの長所を活かした『アグリケーション バージョン2』を開発しないと、この先大変かもしれない……。


 はぁー。


 俺も寝るとするか……今日は色々あり過ぎて流石に疲れた。


 

「うーん、真由ちゃん」

「きょえぇぇぇぇぇー!!」



 そろそろ寝ようかと思った時、突然ミリちゃんが俺をぎゅっと抱きしめた。

 しかし、魔王軍との戦いで負傷した俺の身体に、そんなことをされると激痛でしかなく、たまらず変な叫び声を上げてしまい、ミリちゃんの眼が再び開いてしまった。



「そんなに強くしてない。真由ちゃん大袈裟」



 今回ばかりは、ミリちゃんの反応は真っ当だが、しかしここは誤魔化して、抱くのは止めてもらう必要がある。



「いや、さっきちょっと道で転んで、怪我をしたから……抱くのはちょっとね」

「……」



 するとミリちゃんはジト目で俺を見つめた。



「な、なに?」



 うーん、経験からして、この感じは何かしてきそうな感じだ。

 これの怖いのは、どのタイミングで何をしてくるか? という予想が全くつかない所だ。


 このまま大人しく寝てくれればいいんだが……。



「分かった」

「おお、意外! 分かってくれたんだ。いやー、本当によかっ!! きょえぇぇぇぇぇー!!」



 理解してくれたと思ったのは束の間で、ミリちゃんは再び俺を抱きしめて、さらに脚まで絡め、おでこを俺にくっつけた。

 とにかく密着出来る所は、全てそうしたという感じだ。


 こいつは鬼か!! いや、ドSか!! 全然分かってねぇーじゃないか!!



「うぅぅぅ、痛い」

「……」



 駄目だミリちゃんの瞳は閉じてしまった。終了……。

 

 俺は抵抗してこの呪縛から逃れようとしたが、反って痛みが激しくなるので、何もしないで、ただ朝が来るまで耐えるしかなかった。


 こんなんで絶対眠れんわ!!



 ――そして、朝が来た。

 

 えっ!! 朝が来たの!? いつの間にか周りは明るくなっていた。どうやら寝てしまったようだが、よくあの痛みで眠れたな……俺。


 というか、痛みが無い.....。

 うーん、一晩寝たから治った?

 いやいや、そんなはずはない。


 依然ミリちゃんは俺を抱いた状態で、可愛い寝顔で寝息を立てている。

 このまま黙っていてたら、ただ可愛い生き物なのになぁ。


 

 ガサッ



 ん? 誰かいるのか?

 

 近くから何か物音がしたので、顔を上げてみると……そこにミルネがしゃがみ込んで、こっちをじっと見ていた。



「マユリン、おはよう」

「ああ、おはよう。何しているの?」

「マユリンとミリちゃんの可愛い寝顔を眺めていたよ」



 寝顔を見られてしまったか……いや、その前にミルネが俺より先に起きてるなんて珍しいこともあるんだなぁ。


 あっ


 ミルネの後ろにアルシアが少し横目に立っていて、少し顔を赤くしてこっちを見ていることに気付いた。なるほど、アルシアが起こしてくれたんだな。納得。

  

 よし、俺も起きるとするか。



「げっ!痛い」



 俺が起きようとすると、ミリちゃんがしがみ付いたままで離れず、強引に引き離そうとすると、昨日の怪我が痛み始めた。

 どうやら、治ったと思ったは気のせいだったかもしれない。それでも昨日よりは少し良くなった気がするが……。



「ミルネ、ちょっと手伝ってくれ」

「いいよ、引っ張ってあげるよ。ほら」

「ぎょえぇぇぇ!! そんな急にやるなよ! もっと優しく」

「ん? 寝違えたのマユリン?」



 今ので、ミリちゃんが目を覚ましてしまった。



「駄目! 真由ちゃん持って行ったら」



 ギュウゥゥゥウ



 ミリちゃんは、誰かに俺を奪われると思ったのか、きつく抱きしめて抵抗した。



「痛てぇぇぇ! ミリちゃん離してくれ!」

「マユリン、こうなったら力ずくだよ!」

「お、おい! 止めろー!」




 昨日の魔王軍のことはまだ秘密だから、怪我のことも秘密にしておかないといけないが、これは想像以上に厳しいぞ!!


お読み頂き、ありがとうございます。


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