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第48話 白馬の王子様!?

 俺のこのピンチに誰かが助けに来てくれたみたいだが姿が見えない。紳士的なイケメンボイスだけが後ろから聞こえてくる。



「魔法解除! 魔動暗黒! そして、魔動分身! 撹乱!」



 すると、俺にかかっていた圧が消え、視界が目を閉じたような真っ黒の世界になり、あちらこちらで魔力が入り乱れているような気配を感じた。


 しかし、身体が固まったように動けないのは、そのままだった。



「元主よ! あとはこの吾輩にお任せ下さい」

「あ、はい」



 誰だが分からないが、このイケメンボイスに任せるしかないだろう。しかし、本当に白馬の王子様現れたよ。美少女万歳!!

 

 うーん、でも少し後ろめたいなぁ。御姫様抱っこされているが、見た目は完璧な美少女でも、中の人は男ですからね。


 視界が真っ黒の状態では、どういう状況なのか分からないけど、追ってくる気配は無さそうだ。ただ、この王子様は俺の事を「元主(もとあるじ)」と呼んでいたが……どういう意味だろう?


 しばらくすると、真っ黒だった視界が消え、俺は抱えられながら林の中を走っていた。視界が復活した俺は、すぐに俺を抱えている王子様の方を見た。

 

 すると! そこには誰も居なかった!

 あれ? どういう事?


 もしかして、ミリちゃんが俺をお姫様抱っこしたように、魔法で宙に浮いているような感じになっているのか? 

 そうかそうか、俺の体勢はお姫様抱っこだが、恐らく王子様は万歳した状態で俺を運んでいるんだろう。だから姿が見えないわけだ。


 ということで、王子様は下を覗き込めば分かるはずだから、俺は下の方を覗き込み姿を確認した。しかし! そこにいたのは!


 なぜヌイグルミ!?

 しかも、見たことあるぞ!?

 もしかして、俺がミリちゃんにあげた兎のヌイグルミのポンタじゃないか!?


 うーん、まずどこからツッコミを入れたらいいのだろう? 色々謎が多過ぎて何も突っ込めない。

 

 人は選択肢が多いと、何を選んでいいか分からなくなり、結局何も選べなくなるという『決定回避の法則』というのがあるが、そんな状態だ。


 しばらくすると、林の中の薄暗い所で王子様? ポンタ? 謎のヌイグルミは立ち止まり、俺を下に降ろしてくれた。

 


「元主よ、ここで魔王軍の追跡がないか、ここで待って確認します。皆の所に戻るには安全と判断出来た時にしましょう」



 この得体の知れない者、いや物? は、ごく自然に会話をしている。



「元主よ、お怪我は大丈夫ですか?」

「いや、まずお前が誰やねん!」

「はい、吾輩はポンタでございます。我が主のミリちゃんの命により、あなたをお助けに参りました」 



 そう言うと、ポンタは杖を左腕に掛けて頭を下げた。


 確かにこいつは、ミリちゃんに上げた兎のヌイグルミのポンタだ。ただ、それが喋ったり、動いたりする仕様は無かったはずだし、ましてや魔法使ったりするのは。



「とりあえず、お前の生い立ちから説明してくれないか?」


「はい、分かりました。吾輩は日本の職人によって製造されました。それから、初代主の無垢朗様によってご購入され、あなたにプレゼントされました。そして、今度はあなたがミリちゃんにプレゼントした事で、現在の主はミリちゃんという事です」


「お前が、意外に高級品だったぐらいしか分からないぞ! そんな事より、なんで動いたり喋ったりするのかを教えろ!」


「はい、それは『生命を与える』と言われる、ミリちゃんの魔法『アニマ』のおかげでございます」

「ミリちゃんの魔法だと!?」



 おいおい、これって! 

 もし、大仏や巨大ロボみたいに、大きな物にその魔法を掛けたら最強じゃないのか? もしくは、何十体にも出来るなら、ミリちゃんの軍隊も可能って事になるぞ。



「てか、そんなチートな魔法聞いたことが無いぞ」

「はい、この魔法を使えるのはミリちゃんと、その姉のマリさんだけでございます」

「姉のマリ!? まさかと思うが、マリってさっきの魔王軍の幹部じゃないだろうな?」

「そうです。あのお方はミリちゃんの姉です」



 どうりで目の辺りが似ていると思ったぞ。あの時感じた妙な感覚これだったんだな。しかし、これはこれでまた新たな疑問が増えたぞ。

 

 なぜ、ミリちゃんの姉ちゃんが魔王の幹部で、ミリちゃんを殺そうとしていたんだ? 

 それからマリって、2年前にカリバーとベルリアの討伐隊で魔王軍と戦って、そのあと遭難した人だろう? 偶然同じ名前とかで無ければ。


 それに、魔王軍と戦った人間がなぜ魔王軍幹部になっているのか? マリがそうだったら、カリバーも魔王幹部ではないか? という可能性も浮上してくるぞ。


 それから、幹部達はミリちゃんの情報を欲しがっていたが、魔王フィルリアルはミリちゃんの事には一切触れず、俺が異世界から来たことを見破り、俺の世界の情報を知りたがっていた。

 

 つまり魔王は、異世界の存在を把握しており、もしその異世界というのが俺の住む世界だったら、かなりまずい事になる。


 そうなるとカリバーが魔王の命令で調査しに来たとも考えられるからな。それで調査しているうちに、ネトゲというものを発見し、そして、ハマってしまった。

 だから、魔王が怖いから姿を隠しているという説も考えられる……。


 いや、魔王軍を倒すために、上手く騙して潜入しているという可能性も否定出来ないな。

 マリとカリバーが協力して、マリが魔王軍の内部で、カリバー異世界で魔王軍を倒す方法を探しているとか……それでネトゲにハマって廃人になった説……。


 しかし、カリバー達が戦った魔王は、ザイオンという名前で本には書いてあった。


 また捏造かもしれないが、2人の魔王が存在するという事になる。少なくとも魔王フィルリアルは、この目で確認している以上、間違いはないが。


 でも、ポンタってどれぐらいの知識を持っているのだろうか? もしかして何か知っているのかもしれない。


 

「お前の知識ってどうなっているんだ? 色々知ってそうだけど」

「はい、吾輩の知識はほぼミリちゃんと同じで、製造してくれた者の知識も多少はあります」

「ほう、なら2年前のカリバーとマリの話は知っているか?」

「はい、ミリちゃんの知る範囲になりますが」

お読み頂き、ありがとうございます。


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