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第41話 ざまぁ! ダンロッパ!

 俺はマイクみたいな物に魔力を送ってみたり、色々試してみたが全く拡声してくれず、傍から見れば緊張して動揺しているように見えるだろう。


 その様子を見て、アルシアが台まで駆け込んで来た。



「真由、貸して」

「うん」



 アルシアはマイクに魔力を込め、俺の方に差し出した。

 


「ありがとう」

「頑張って」



 俺はアルシアにマイクを持ってもらって、笑え声が響く中スピーチをすることにした。でも、さっきのブーイングに比べれば、こうやって笑ってくれる方が全然やりやすいぞ。


 それなら今度は、笑われるのではなく、笑かしてやるか。

 俺はわざとマイクに向かってお辞儀をした。

 

 ゴン!


 俺は、お凸にマイクをぶつけるベタなボケをかました。

 

 すると、予想以上に受けが良かったので、さらにお凸を押さえて痛がるオーバーリアクションでさらに笑いを誘った。

 またその中には「可愛いー」という声も聞こえてきた。

 

 ただ、アルシアだけは、少し顔を赤くしながら「真由、落ち着いて」と心配していたが、ミルネは大爆笑していたのは言うまでもないだろう。


 でもこの状況は悪くない。俺が仕掛けて、それにみんなが反応したと言える。

 つまり、ちょっと大袈裟だが、みんな俺のペースにはまってきたという事だ。


 そして、話す内容だが遮断されないように、ダンロッパの事をベタ褒めしてやろう。そうすれば遮断するタイミングを失うだろう。後は勢いで、ひっひっひー。



「えーと、まず、私みたいなCランクの者でも、実力を評価して頂き、討伐隊長に任命して下さった、偉大なる魔法使いダンロッパさんに深く感謝します!」



 俺はダンロッパの方に向かって、お辞儀をした。周囲は笑いから、一瞬で静かになった。恐らく、どう反応していいのか分からないのだろう。

 ダンロッパとモリモンも、周囲を見渡し、少し動揺してるように見える。



「そうこれは、Sランクでなくても討伐隊長になれるチャンスが、ここにいる全員にあるという事です!」



 この俺の発言から、ダンロッパの顔がだんだん険しくなっていくが、講堂内の雰囲気は俺の話を真剣に聞くような流れになってきた。



「これからは実力があれば誰でも出来るのです! ランクや魔力なんて関係ありません! 実力です! 私でもなれたのですから! だからこそ! こういう流れに変えてくれたダンロッパさんは偉大なのです!」



 ダンロッパは今にも俺のスピーチを遮断してきそうだが、完全にタイミングを逃しているようだ。講堂内は完全に俺のペースにはまっている。

 

 ダンロッパは自分中心の階級で、絶対的な立場でより強化していこうとしている。

 だから、俺のこのスピーチは完全に逆だから、不愉快でしょうがないだろう。 


 でもCランクの俺を討伐隊長に任命したのはダンロッパで、絶対的な階級を自ら否定したわけだからな。

 

 

「私はダンロッパさんの期待に応えて、今回の任務を成功させて、Cランクでも出来るという事を証明します! これからは実力が重視される時代です! 実力なのです!」



 するとダンロッパは席を立とうとした。俺は遮断されるかもしれないと思いスピーチの閉めにかかった。



「これで私の挨拶は終わらせて頂きます! 最後に偉大なる魔法使いダンロッパさんに拍手をお願いします!」


 そう言うと講堂内に拍手と歓声が上がり、ダンロッパは何も出来なくなり、ただ歓声に手を挙げて、苦笑いをしながら答えるだけだった。

 俺はダンロッパに向けられた拍手と歓声に便乗して足早に退場した。


 俺がダンロッパの方に手を挙げると、ダンロッパは今にも飛び掛かりそうな勢いで、それをモリモンに押さえられている状況だ。

 

 かなりご立腹のようだ。


  ざまぁ! ダンロッパ!


 

 でも、今はまだ嫌がらせ程度だが、そのうちお前の闇を粛正して本気の『ざまぁ!』を見せてやるから覚悟しておけよ。ミルネを泣かしたことは許さん!



 そして、俺達は講堂から外に出た。すると、みんなが一斉に俺に話しかけてきた。



「きゃはっはー、マユリン面白い!」

「まだ笑っていたのかよ! 言っておくけど、最初以外はわざとだからなっ」

「真由ちゃん、可愛いかった」

「真由、素敵なスピーチだったわ」



 もし、さっきのが男だと可愛いと思われないが、この美少女真由の場合は、失敗しても微笑ましく、可愛いと見られる。

 

 うーん、やっぱり美少女はお得だな。



「マユリン、なんかモフモフしたくなったー!!」

「真由ちゃんはミリのもの」



 お得なのかな……。




 こうして、俺達は講堂を出て、集合してた時の控室から荷物を取り、この学園の門の所まで行った。

 

 相変わらず天候は雨で、アスファルトでもコンクリートでもない、ただの土の道は、ぬかるんでいて、かなり歩きづらそうだ。


 しかし、俺以外の3人は足早に門を出て、荷物が入った鞄を、コンパクトに魔法でデザインして持ちやすくしていた。

 

 さらに、魔法で頭から肩辺りに透明な傘があるような感じで、雨を凌いでいる。

 これがこの世界の傘なんだろうか? というか、魔法だろうけど。


 そして、移動方法は、以前にミルネとネスタリア街に向かった時に、魔法で移動していたあれをやっている。魔力で身体を少し浮かして移動する魔法だ。


 俺も勉強して使えるようにはなったけど、慣れない上に魔力がどんどん削られる。      

 だから、魔法が未熟な俺にとってはかえって疲れるのだ。身体を宙に浮かす時に無駄な魔力を使っているせいだろう。

 

 初めて自転車に乗る時に、バランスを取るために無駄な力を入れているような感じかな。



「真由、どうしたの?」


 

 おっと、ちょっと考え込んでいたら、アルシアに心配された。俺も行くか。



「いや、何でもないよ。今行くよ」



 俺はリュックをそのまま背負い、水色の折り畳み傘を広げ、水たまりバシャバシャと踏みながら、何食わぬ顔で歩いた。


 それにしても、ゴスロリの服装に、登山に使いそうなリュックを背負い、可愛い傘を差しながら魔物を討伐する……。


 どんな討伐隊やねん!!  

お読み頂き、ありがとうございます。

書籍で言えば、ちょうど一巻が終わった感じになります。


ここからは毎日1話投稿になりますので、よろしくお願いします。



あと、もし気に入って頂ければ、ブックマークや↓の☆をクリックしてくれますと、モチベーションが上がります!

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