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第4話 可愛い真由は異世界任務へ

 今日はいよいよ異世界に転移する日だ。当然だか、朝になっても戻る事はなく美少女のままだ。

 

 朝の目覚めは昨日よりいいし、身体も軽い。まぁ、実際軽いんだが……。


 結局、任務の準備や情報収集出来ず、ぶっつけ本番で臨むことになりそうだから不安しかない。

 例えるなら学校の定期テストで、勉強せずに山勘で勝負するような感じだ。


 まぁ、これから組織が作ってくれた異世界の学園の制服に着替えるから、本当にそんな気分になりそうだ。


 制服は紺のブレザーに紺のスカート、赤いリボンでとてもシンプルだ。しかし、これもまたスカートが短い。早々「生意気だ」と絡まれないだろうな。


 俺は昨日あいみからもらった可愛いパジャマから制服に着替えた。



 それにしても、真由って可愛いよな……。

 ブラウスのボタン3個外し、リボンを緩めてだらーんとさせて、鏡に自分の姿を見た。


 あ、これエロいなぁ。

 

 また少しポーズを変えて、映る姿を楽しんでいると……。



 ぴんぽーーーん



 げっ、もうお迎えが来たのか!? 早過ぎるだろ!

 女の子の支度は時間がかかるのに。


 とは言っても、髪は形状記憶になっているから、乱れてもすぐに整ったツインテールに戻るし、リボン付けて終わりだ。

 荷物も昨日、あいみが買って貰った物だけだから、思ったよりは時間は掛らなかった。



 

 ――そして、車で組織に到着し、無垢郎の部屋に向かった。どうやらここから、カリバーのテレポートで異世界に行くみたいだ。

 俺が無垢朗の部屋に入ると、無垢朗、和田司令官、あいみ、そして、カリバーがいた。

 


 何か雰囲気的に俺待ちだったのかな? すると、和田司令官が、リュックを持って俺に話しかけてきた。



「このリュックを持っていけ。保存食用の乾パンと調味料、LEDライト、ナイフ、ライター、スライド式竿と釣り具、救急箱などが入っている」


「ありがとうございます。サバイバルですね」



 俺は「このタブレットに異世界の情報が入っている。それから、護身用の拳銃も持って行け」みたいな感じを期待していたんだが、山に行く訳じゃないのにサバイバルグッズって……。


 それとも、武器やハイテク機器の技術を流出する事を警戒しているのかな?

 でも、相手は魔法使いだから、護身用の何かは欲しい所だ。ここは無垢朗に期待するか。



「これを君にあげるよ。役に立つかもしれない」

「ありがとう。なんだろう? 軽いけど結構大きさがあるな」



 無垢朗がくれたのは、両手で抱える程の大きな箱だった。これは期待出来そうだ。



「その制服も似合うね。あいみも必要になりそうなものをそのリュックの中に入れといたよ。無事に帰ってきてね。あっ! この水筒も持って行って。肩に掛けてあげる」


「遠足か!? まぁ、でもありがとう」



 また可愛い水筒……必要か……?

 そして最後にカリバーが傍に寄って来た。



「準備はいい? 簡単に説明するよ。テレポートと同時に、向こう側に魔力結界を張って、他の魔法使いに察知されないようにするからね。これが出来るのは極一部の魔法使いだけなんだ。また、テレポートは魔力を多く消費するから、異世界と繋がった状態のままにして、君を送って僕はすぐに戻るからね」


「うーん、何かよく分からないが了解だ」


「向こうに着いたら、ネスタリア学園に行くんだ。数百メートルしか離れてないから、分かると思うよ」


「ネスタリア学園か……」



 というか異世界の情報を何も知らないが、大丈夫だろうか……。

 

 なんか大事な事を忘れてるような気もするが、まぁいいか。今更どうしようもないだろう。

 俺は軽くお別れの挨拶をして、テレポートに備えた。



 向こうの世界はみんな意思伝達を魔力で理解出来るみたいで、言語の問題は気にしなくていいようだから、現地で慣れていくしかないなぁ。



「じゃあ、行くよ! うおおおお!」

「気合入れてるなぁ。よほど魔力を使うみたいだ」

「テレポート!」


 

 すると、俺とカリバーの周りが白く光り始め、目も開けられない程の強い光になった。そのせいで周りが全く見えない。そんな状態でカリバーが、辛そうに話かけた。



「この石を持っておいて……。これがあれば、正確な場所に『テレポート』が出来るから」

「ああ、分かった」



 それは半分に割れた手のひらサイズの石だった。これがあれば迎えに来る時に、いつでも俺が居る場所に行けるんだろう。逆に、石同士の移動なら、こっちからもここに戻れるという事になるのかな?



「大事なことを言い忘れたけど……学園に入学するには……最低でも『Cランク』の魔法使いにならないといけないから、これからその魔法試験を受けて合格して……あ、もう魔力の限界……」


「えーーー!? そんな大事なこと今頃言うなー!」

「ごめんね……君ならなんとか……なるよ」

「なるかー!!」



 カリバー消え、それと同時に白い光もゆっくりと消えてゆき、視界も戻ってきた。



 するとそこは森の中のようで、生い茂るようなものではなく、木との間隔が広い大きな公園の中の森林みたいな感じだった。

 俺は、しばらく茫然と立ち尽くした。

 

 ここが異世界……魔法の世界か……。


 俺は森の中の道を歩き、しばらく行くとカリバーの言った通り、数百メートル先に学園らしき建物を見つけた。


 あれがネスタリア学園か……。

 あのネトゲ廃人め、最後に重要な事をさらっと言いやがって。


 あの学園に入学するには『Cランク』の魔法試験を合格しないといけないとか無理だろ! そもそも俺、魔法なんか使えないし、それに魔力を発動させるには……ん?


 俺は今凄い大事な事を思い出した。



「あ!!!! 俺まだ魔力を『起動』させてもらってねーー!!」



 という事は、魔法使いに魔力を起動させてもらうまで、俺は魔法を一切使えない!   

 

 それで魔法試験に合格しろというのか!? しかも! 試験内容もさっぱりだ!!


 もし合格出来なければ入学すら出来ず、即終了! 


 それにあのネトゲ廃人今頃ゲームに没頭して、気付いてないだろうし。

 仮に気付いたとしても、無垢朗が「問題無いさ、浩二君だったら上手くやるよ」とか言いそうだ。


 自力で帰るには『Sランク』の魔法使いに『テレポート』を頼むか、それとも俺が『テレポート』をマスターするか……いや魔法が使えないんだった。


 そうなると魔法の勉強とか、調査とか言ってられないぞ。この魔法の世界で魔法が使えない、家もない、帰るに帰れない……マジで野垂れ死んでしまうかもしれない。


 やばい……もう帰りたくなった……。

 ついさっきまであった当たり前の日常が、今はすごく遠くに感じる……。


 なんかだんだん切なくなってきた……。

 

 ……。

 ……。


 うーん、俺はスパイ、潜入調査をしに来たんだ。

 別に正々堂々と試験を受ける必要はないよな?


 

 ふぅー、よしっ!


 魔法は使えなくても、いんちきでも何でもして合格すればいいだけだ。


 俺が持ってきた荷物に役に立ちそうなものがあるかも……あ! そうだった。無垢朗が俺にくれたものがあった!


 あの無垢朗だから、何かチート的なものに違いない。わざわざこんな大きな箱を持たせるわけだからな。よし、箱を開けるぞ!


 この大きな箱を開ければ……まぁ、なんということでしょう!

 中にはなんと! 可愛い兎のヌイグルミが入っているではありませんか!

 

 美少女に兎のヌイグルミで、可愛さが際立ちます……。



「やかましわ!! 異世界でそんなボケはいらねよ!!」 



 マジか……ちょっと期待していただけに……。

 いやいやちょっと待てよ。一見ただのヌイグルミだけど、あの無垢朗の事だ、何か隠し機能があるかもしれない。


 このヌイグルミの中にチャックみたいなものがあって……そこから何か必殺の……。



「って!! 本当にただのヌイグルミじゃあねーか!!」


 

 しかも名前が『ポンタ』って……。

 ……。


 どうでもいいわ!!

お読み頂き、ありがとうございます。

プロローグはこれで終わりになります。



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[良い点] 形状記憶の髪とは…? [一言] 星だ!受け取れ!
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