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第39話 考察と反撃の戦略

 俺はこれから明日に備えて就寝するところだが、ここ最近の展開が早すぎて気持ちが追い付かない。

 そのせいか、いまいち明日討伐隊としてこの学園を出るのに、実感が沸かなかった。

 


「マユリン、早く寝よ」

「あ、うん」



 俺とミルネは一緒に寝るわけだが、いつもなら抱きついてくるのに、今日のミルネは天井の方を見ていていた。

 窓から魔力で発光する草木で、なんとなくいつもと違う表情をしているのが分かる。

 

 やっぱり不安なのかな?

 まぁ、無理もないか……。

 

 いくらミリちゃんやアルシアがメンバーになったとはいえ、不安はあるだろう。

 ここは一つ声を掛けておくか。



「どうしたミルネ、眠れないのか?」

「うん、だって……」



 ミルネは天井を見たまま視線を変えず、何か考え事でもしているように見えた。



「明日の討伐隊のことだろう? 不安になる気持ちも分かるよ」

「違うよ、マユリン」

「へ?」



 そう言うとミルネは俺の方に振り返り、真剣な表情で俺を見た。



「ミリちゃんに、マユリン抱き放題の約束したから、あたし当分抱いて寝れないと思って」

「早く寝ろっ」

「マユリン! これは一大事だよ!! だから今日は、いつもより強く抱きしめて寝る!!」

「ぐぇ」



 うん、この子強い!

 こんな状況でも、動じないメンタル持っている。きっと立派な魔法剣士になれると思うぞ。


 しばらくするとミルネは、俺を強く抱いたまま眠ってしまった。ミルネの寝顔は可愛いし、癒されるから……まぁ、悪い気はしないんだけどね。


 俺もこのまま寝たいところだが、明日出発だし、今後の事を考えておきたい。

 最近、バタバタしていたし。

 


 まず討伐の依頼だが、実害が無いスネークドラゴンという最強クラスの魔物を、討伐して意味があるのだろうか?

 

 ミリちゃんやアルシアが入ったことで、恐らくダンロッパは別の手を考えているだろう。しかし、こっちもそろそろ反撃した方がいいんじゃないか。

 

 魔王軍まで関与するつもりはないが、ダンロッパの闇ぐらいは粛正して、アルシアやミルネが安心して志を遂げれるような学園にしてあげたいと思う。

 

 ダンロッパの闇が完全に粛正されて、次に代わるトップがアルシアみたいな人物だったら、この学園は絶対良くなると思う。そして、魔王軍は討伐隊が協力して倒すのが理想だ。


 そう考えれば今回の依頼は、余計に意味を見い出せない。だから俺は依頼を受けつつも、ダンロッパの闇を粛正するための行動を起こしたいと考える。


 ダンロッパの体制を崩すには直接倒すか、ダンロッパより魔法使いとしての地位を超えるかの2つだと思う。

 

 この世界というかこの学園の社会は、階級が全てだから、不正を皆に訴えたところで、どうしょうもない。

 

 という事で、何をやるにしろ協力者がもっと必要だ。そこで俺は、ダンロッパが敵視するベルリア学園に協力して貰えないかと考えている。


 あの闇深いダンロッパが批判しているわけだから、その逆で考えればベルリア学園はホワイトという可能性が高い。

 

 もちろん、ダンロッパと同じ闇という事もある。


 だが、こればかりはベルリア学園に行ってみないと分からないだろう。ここにある資料や情報誌は、ダンロッパの都合のいいように改変されてるからな。


 それからもう1つ、組織に侵入して逃げたSランクの魔法使いの件だが、ベルリア学園のSランクの可能性もある。それらを踏まえて今回の依頼を受けつつ、ベルリア学園に行こうと思う。

 

 でも、そんな事を提案したら、みんな納得してくれるかな……。

 色々考えてたら、俺も眠くなってきた……。

 俺も寝るとするか。




 そして翌朝、いつものように俺が先に起きて、着替え等の支度してからミルネを起こす。もし、ベッドに入っている状態で起こすと、必ずと言っていい程ミルネは俺を抱こうとするからだ。


 俺も学習したものだ……はぁ。



「おい、ミルネ起きろ! 今日は冒険に出発する日だぞ!」

「……う~ん……マユリンも一緒に寝よ……」

「電撃」

「うぇっ!」



 電撃というのは、電気ショックを与える魔法で、俺がやると静電気ぐらいの威力しかない。両手に魔力を纏わせて、それを合わせたら何故か静電気みたいなものが発生する。

 もっと効率の良いやり方があると思うが、今は適当にやっている感じだから、これが精一杯だ。

 

 やっぱり、素人ほど発動時間、無駄に魔力を消費する上、周りに魔力を余計に感じさせてしまうから、Sランクはその辺りが上手いんだろう。

 

 デザイン魔法もそうだ。イメージまで完璧でも、いざ魔法を発動させてもなかなか思い通りにはならない。これは絵を描くのと同じかもしれない。

 

 さらに、魔力の高さや技術で魔法使いとしての階級が決まってくる。

 この学園もベルリア学園も、魔力の高さ、魔法技術の総合的なバランスを重視して階級を決めているらみたいだ。


 そして、それに反発している専属魔法団は、特定の技術を重視している。

 魔法で社会が形成されいる以上、魔法に関して色んなイズムがあるという事だな。

 

 うん、最近思うのだが、俺も大分この世界に馴染んできたんじゃないか。

 あと馴染んだと言えば、この身体もか……はぁ。



「マユリン?」

「……ああ、ごめん。考え事してた。早く準備しようぜ」

「当分、この部屋ともお別れだね」



 まぁ、準備と言っても、物が無いから5分もかからないだろう。持って行くのは、ここに来るときに持ってきたリュックだけだからな。


 そうだ! このリュックの中にはアレが入っていたよな。

 そう、ブルマとスク水だ。

 

 さすがに女子のスク水を着るのは、抵抗がある。しかもミルネに好奇な目で見ている前なら尚更だ。

 これは男としての威厳が無くなりそうだ。


 よし、これは置いていこう!

 未然にトラブルは防ぐのが一番だ! うん。



「マユリン?」


お読み頂き、ありがとうございます。


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