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第31話 ミリちゃんの謎の世界観 その①

 いきなり、Sランクのミリという銀髪のゴスロリ美少女が現れた。

 俺に部屋に来るように誘われたのだが、一体何の用事だろう……。



「えーと、ミリさんでしたっけ……用件はなんでしょう?」

「違う、ミリちゃん」

「へ?」

「マユリン、ちゃんと『ちゃん』付けで呼ばないと」



 この学園ではこいつを「ミリちゃん」と呼ぶのが常識なのか……。



「じゃあ、ミリちゃん、俺に何か用でも? ここじゃあ駄目なの?」

「駄目、今から一緒に来て」

「今からねぇ……これからミルネと夕食をとりに行きたいところだし」

「駄目、部屋に行くの」


  

 ミリちゃんは俺の手を繋いで、強引に連れて行こうとした。俺に拒否権は無いのか?



「マユリン、Sランクの言う事は聞かないと」

「これ、命令なのか?」

「そう、命令」



 確かに上位ランクの言うことは、聞かないと駄目みたいな事は言ってたけど、職権乱用のような気がしてならない。



「真由ちゃん、早く」

「分かった、部屋に行くよ」

「ミリについて来て」



 自分自身には「ちゃん」は付けないんだ。どうでもいいけど。



「そういう事だから、ちょっと行ってくるわ。夕食は先に食べといて」

「うん、分かった」



 俺はミリちゃんの部屋に行く事にした。

 

 ミリちゃんの手に引っ張れるような感じで、廊下を歩いて階段を降り、時折後ろを振り返って俺の顔を見た。

 

 そして、ようやくS、Aランクの寮館に着いた。最近、ボロい寮に慣れてきたせいかS、Aランクの寮はもの凄く豪華に感じる。

 最初に見た時には、そこまで豪華には感じ無かったのに。


 ミリちゃんの部屋は最上階にあるらしい。きっとダンロッパの部屋のように、広くて豪華なものなんだろう。

 俺はそう考えていたが、実際に目にすると……。



「まぁ、なんて可愛いお部屋」



 ミリちゃんの部屋は、ダンロッパの部屋程大きくは無かったが、それでも俺の部屋より10倍以上の広さはあった。

 

 そして、部屋の壁とじゅうたんはピンクを基調に可愛くしてあり、それはお姫様の部屋のようであった。

 

 でも意外にもヌイグルミは1つも見当たらない。凄い持ってそうなイメージだったんだが……。 

 

 俺は部屋の中を案内され、なぜか大人4人は寝れそうな程大きなベッドに連れて行かれた。



「ベッドの上に乗って」

「え?」



 するとミリちゃんはベッドに乗るよう指示してきたが、一体何をする気だ? 

 まさかこんな幼い子が変な事しないよね? 俺は言われるがままベッドの上に乗った。



「そこで座って」

「はい!」



 なんとなく正座をしてしまったが、説教でもするのか?

 

 そして、ミリちゃんは両手に箱のような物を持って来て、俺の目の前で正座し、箱の中から何かを探していた。


 この状況は何だろう? ま、まさか、ダンロッパ絡みじゃあないよね?



「あのー、これから何をするんでしょうか?」

「……」



 無視かい!

 

 ミリちゃんは、俺の問いに気にも掛けず、箱の中から『素材』らしきものを取り出しては、俺の方を見るなり、また箱に戻したり、布団の上に並べて置いたりを繰り返していた。

 

 そんな状態がしばらく続き、俺には何がしたいのかさっぱり分からなかった。



「あのー、もう帰ってもいいですか?」



 俺がそう言うと、ミリちゃんはピタッと作業をやめ、少し怒ったような感じで、俺の方をまたジト目で見つめだした。


 そして、俺の方に人差し指を指し、指をくるりと回した。



「ふんっ!」

「え!! 魔力!!?」



 すると、俺でも分かる強い魔力が、身体を覆被るような感じがしたと思った瞬間に手に強い力がかかり、後ろ手にまわされた。


 しかも、それはまるで魔力で縛られてるような感覚で、身動きが取れなくなってしまった。



「お、おいなんで拘束するんだよ!」

「静かにして」

「はい」



 俺はすぐに大人しくした。今度は喋れなくなる魔法でも掛けられたら嫌だからな。 

 それに、何気に足も拘束されている。

 

 それにしてもこの状態は色んな意味でヤバいなぁ。


 これ、傍から見ればゴスロリと学生服の美少女が、ベッドの上で向き合うように正座して、一方が手足を拘束されて身動きがとれない状況だろ。

 

 これから何が始まるんだよ!


 そしてもう一つは、もしミリちゃんがダンロッパの刺客だったら、俺はなんの抵抗も出来ず殺されてしまうという事だ。

 

 まぁ、その可能性は低そうだけどね。このミリちゃんが誰かの言うことを聞きそうなタイプじゃあないだろう……多分。


 しかし、ミリちゃんは目を閉じて、人差し指を俺の胴体の方に向け、魔力を溜め始めた。



「おいおい! 嘘だろ!!」



 こんな無防備でこの距離で攻撃されたら、確実に死んでしまう。とにかくこの拘束を解かないと!


 俺は手をごそごそさせて、拘束を解こうとしたが、そう簡単に解けそうになかった。今度は足を動かしてみたが、これも解けそうになかったが、前に出すことは出来た。

 

 今の俺の姿勢は、手は後ろに組んだ状態で、体育座りをしている。拘束されていても、この姿勢だったら『MPCシステム』を使ってドロップキックが出来るんじゃないか。

 

 俺は両足にパワーの集中を始めた。


 ミリちゃんも指先に白い光を放ち始め、かなりの魔力を溜めたようだ。そんなに俺を確実に仕留めたいのか!?


 俺もドロップキックの準備が出来た。そして、ミリちゃんは目を開けた。


 いよいよ攻撃が来そうだが、ここで重大なミスがある。

 それはのドロップキックの射程距離が短くて届かないということだ。

 

 2人は至近距離にいるのになぜ届かないのか? 

 その答えは、正座から体育座りにした時に、後ろにずり下がってしまったからだ。


 ということで、結局俺は何も抵抗出来ずに、ミリちゃんの攻撃? を食らうことになった!

 


「あああああああああ!!!」

お読み頂き、ありがとうございます。


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