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第30話 銀髪の美少女ミリちゃんは突然やって来る!?

 どれぐらいの時間が経ったのだろう。今は夕方か……。

 俺は目を覚ました。

 

 ここは……あの保健室の中にある回復室かな。

 そういえば、身体が大分楽になっている。あの時アルシアさんが、ここまで運んでくれたんだろう。

 

 あとで、ちゃんとお礼をしないとな。


 俺は顔を横に向けると、ミルネが椅子に座って、うとうとしながら眠っていた。もしかして、ずっと看病してくれていたのかな?

 

 でも、ミルネの顔を見るとほっとするな。

 俺は、ミルネの無邪気な寝顔を眺めていた。そして、しばらくすると、ミルネは目を覚ました。



「うーん、ん?」

「よう!」

「マ、マユリンが起きた! 良かったよ!」

「抱きつくのはストップ!」

「ああ、そうだったね。ははは」



 なんか久しぶりにミルネと会うような気がする。

 それもそのはず、俺は丸一日眠っていたらしい。

 うーん、結構危なかったみたいだな。

 

 ミルネから聞いた話によると、アルシアさんもずっと見守ってくれていたそうだ。恐らく、ダンロッパから俺を、護衛も兼ねていたかもしれない。

 

 その時にミルネとアルシアさんは一緒になり、今は仲良くなったらしい。


 まぁ、そんな事をミルネが嬉しそうに、アルシアさんの事を色々と話してくれた。でも、この2人が仲良しになってくれて、俺はなんか嬉しいぞ。



 そして、ミルネと長々と話していたら、部屋にアルシアさんが入って来た。



「あー! 真由、起きたんだね。調子はどう?」

「ありがとう。大分良くなったよ」

「アル姉!! マユリン元気になったよ!」



 どうやらミルネはアルシアさんの事を「アル姉」と呼んでいるみたいだけど、アルシアさんはAランクだぞ。いいのか?

 


「アルシアさん、なんか色々と世話になったみたいで、ありがとう」

「ううん、礼なんていいわ。私のことは呼び捨てでいいわよ」

「そうか、じゃあアル姉?」

「それは駄目。そう呼んでいいのはミルネだけなんだから」

「えっへん!」



 なんでミルネがドヤ顔なんだよ。てか、なんで俺がそう呼ぶのが駄目なんだ?



「なんか私よりしっかりしてるから、なんか違和感があるのよ」

「そうか、ミルネは子どもだからな」

「むっ! 見た目ならマユリンの方が子どもだもん」



 ミルネのむすーっとした顔は、子どもっぽくて可愛いんだよな。



「アルシアさん……じゃなくてアルシアは何才なの?」

「私は18才よ」

 

 

 そうかあいみと同い年か1つ下か……。

 俺は15才設定らしいけど(明らかにそれ以下だろ)中身は21才だから、精神的にはアルシアの方が年下だ。


 だから、俺がアル姉と呼ぶのは違和感があるかもしれないな。



「あたしは15才だよ! そういえばマユリンは?」

「15才です」

「じぃぃいいい」

「15才……いや、本当だから」

「……」



 15設定なのに疑われているぞ。ミルネの15歳も怪しいのに。



「じゃあ14?……13? えっ? 12!? まだ下!?」

「じぃぃいいい」

「おいおい!」



 ううっ、やっぱりそれぐらい下に見られてたか……。



「でも、大分良くなったみたいね。明日の夕方には完治するわ」

「凄いなこの.....装置? 魔法? たった2日で治るんだから」

「凄いのは真由よ。回復魔法は相手の魔力を活性化させて、自身の魔力で癒していくんだから」

「それって! 俺って凄い魔力を秘めているのか!?」



 実はまだ実力を発揮していないだけで、やっぱり凄い魔力を秘めていたんだな。

 俺もSランクになれるかも知れない。



「違うと思うわ。私も分からないけど、身体が強いのかな.....」

「ううぅぅぅ……」



 何だよ! 期待したのに……身体が丈夫なだけとは……はっはっははは。



「そう言えば、ダンロッパはもう完治したのか?」

「まだ3日以上はかかると思うわ」

「ってことはあいつは身体が弱いのか?」

「いいえ違うわ。ダンロッパさんの傷は物理攻撃によるものだから」

「うーん」



 物理攻撃の怪我と魔法の怪我は、なんか違いがあるのか? これを聞いたら、アホな質問になるかな? 



「物理攻撃だと治りが遅いのか?」

「ひっひっひー、マユリン、そんなことも知らなかったの?」

「う、うるせい!」



 聞くんじゃなかった。

 

 それだったら、本気で倒したい敵が現れたら、あえて魔力を纏わない方がいいかもしれないな。

 でも、魔法の世界で、魔法を習得する身にとっては、凄く微妙だけど。



「あ、そろそろ夕食の時間だわ。私とってくるよ」

「やった! Aランクの夕食だ! 良かったね、マユリン!」

「どうせジュレだろ」





 ――こうして俺はアルシアとミルネのおかげで、翌日の夕方には無事に完全回復し、久しぶりに寮に戻ることになった。

 

 そして、回復室を出る時は3人一緒だったが、途中でアルシアと別れ、今はミルネと一緒に部屋に戻るところだ。


 何となくミルネがウキウキしているのは気になったが、久しぶりで嬉しいのか、また前みたいに、部屋を魔法でデザインしたのか分からないが。



 そして、部屋の前に到着しドアを開けると、明かりがあるのはもちろん、壁の色が白色に変わってたりして、質素だが以前の牢獄のような雰囲気は無くなった。



「ミルネ、どんどん凄くなっていくな」

「えへへ、マユリンが喜んでくれると思って」

「うん、嬉しいよ」



 久しぶりにこうして、この部屋で何気ない会話が出来るのはやっぱりいいな。 

 俺とミルネはしばらく話し込んでいたが、そんな楽しいひと時も、長くは無かった。



 バアーーーン!!!!



「えっ!? びっくりした!!」

「きゃっ」



 突然部屋のドアがもの凄い勢いで開き、ドアの向こうに銀髪のゴスロリの格好した、とても可愛らしい女の子がいた。

 

 身長も雰囲気も俺に似ているなぁ、どこかで見たことがある子だ。



「マ、マ、マユリン、あの子ミリちゃんだよ!!!」

「ミリちゃん!?」



 ミルネがミリちゃんと呼んだ子は、俺だけをジト目で見つめていて、それで俺はミリちゃんを思い出す事が出来た。


 そう、ダンロッパの出迎え式で俺のことを、ずっと見ていたあのヤバそうな子だ。


 でも、ミリちゃんってSランクだろ? なんでこんな所に……。

 するとミリちゃんは、無表情のまま、ずかずかと歩いて俺の前まで来た。



「ミリの部屋まで来て」

「はい?」

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