第2話 朝起きたら美少女に!?
俺の住んでいる都内のマンションは、14階建ての最上階の2DKで、家賃17万円の部屋でそこそこいい暮らしをしている。社会の『闇』を粛正する仕事は、なかなか待遇はいい。
そして、俺は東の窓から朝日を浴びながら目を覚ました。人間は太陽の光を浴びると、自然に起きれるようになっているらしい。
だから、俺は目覚ましが無くとも、自然に目覚めて快適に起きる事が出来る……。
の、はずなんだが……。
今日は何か変だ。
しかも、なんでこんなに目覚めが悪いんだ? 身体も軽いし……軽い?
それに俺のベッドこんなに大きかったかー?
目覚めも悪いし、まだ寝ぼけているだけかもしれない。とりあえず、顔を洗いに行こう。
俺はいつものようにベッドを降りて、洗面台に行こうとした。すると!
「あっ! いってー!!」
俺はベッドから降りようと足を置いたら、いつもとベッドの高さが違う感じがして、思わず転んでしまった。
何だ!? どうなっている!? なんか服もぶかぶかだ。それに床に金髪みたいなこれは何だ!?
俺の髪の毛か!?
何か尋常でない事が、俺の身に起こっているんじゃないのか!?
俺は鏡で自分の姿を確認する為、洗面台まで向かった。
う~ん、何かおかしい……いつもと同じ部屋なのに……なんだこの違和感は?
視線が低い……のか?
服がダボダボで歩きにくい……。
胸の辺りが膨らんでる気がする……。
とりあえず、顔を洗って目を覚まそう。
今チラッと鏡に女の子が見えた気がするが……。
おいおい朝から幽霊かな……ははは……。
俺の手こんなに小さかったかな……。
しかも肌がプリンプリンだ……。
もう自分の身体が、別人になっていたことに気付いていたのだが、確認するのが怖かった。
俺は洗面台の鏡の前まで行くと、鏡を見ずに下を向きながら深く深呼吸をした。
確認するのは怖いが、ここは覚悟を決めるしかない。
「ふーーーーう」
よし! 驚く準備は出来た! 確認するぞ!!
俺はゆっくり鏡の方を見上げた。
「俺、かわええぇぇぇーーー!!!!」
何が「俺かわえぇ」だよ! 思わず言ってしまったけど、どういう事だよ! おい! やばいな! ど、どう理解したらいいんだろう!
と、とりあず落ち着こう!
本当に今のは俺なのか? 知らない女の子がいたって感じだ。
もう一回見てみようかな。
「あ! ど、どうも初めまして……」
そこに映るのは、驚いた表情した美少女だ。鏡を見れば普通、いつもの自分の姿が映るのが当たり前だから、そこに美少女が映ると別人にしか見えない。
あれが俺!? いやいやいや、そんなはずは……ない。俺の身長は185の男だぞ。なのに少女? 結構なロリだぞ。
俺は鏡の前で色んなポーズをとり、鏡に映る女の子とポーズが一致することで、ようやく自分であることを認識した。
なんで俺は女の子になっているんだ!?
しかも、かなりの美少女だ!
身長は……140……ないか?
髪型は、何も止めてないのに、綺麗な黄金色の『ツインテール』になってる。
顔は西洋人の童顔だ。お人形さんみたいだ。しかも胸もそこそこある。
肌は白く、もの凄く艶があって、赤ちゃんみたいだ。触り心地も最高だ。
俺の女性の好みは、年上で金髪のナイスバディーなお姉さんだが、この美少女も幼女体型ながらもなかなかだと思う。
もう少し詳しく調べる必要があるな。調べると言っても服を脱いで、色々と確認するだけだ。
って、色々ってなんだよ?
……30分経過。
色々と確認にしていたら、結構時間を費やしてしまった。
ただ一つ分かった事がある。それは、この身体は間違いなく女の子だ。
しかも、計算されたかのような美しいボディーラインで、すべすべ肌。さらに、髪をいくら触ってもすぐにツインテールに戻る。
うーん、何かそういう設定にしたような、なんか趣好みたいなものを感じる。
これは冷静になって、なぜこのような状況に陥ったのか、マジで考えた方がいいだろう。
うーーん、美少女になるというファンタジックな事が出来そうなのは、やっぱり異世界人の魔法使いが濃厚だが、動機が全然分からない。
俺の同僚で薬剤担当の無垢郎は、研究所に美少女フィギュアを一杯飾ってある程、美少女が大好きだ。だから、動機は十分ある。
しかし、当然だがそんな技術は無い。もし仮にあったとしても、真っ先に自分で試すだろう。そういうやつだからな。
とりあえず、無垢朗の事なら本人に聞いた方が早いか。
俺はスマホを取り出し、無垢朗に電話で聞いてみる事にした。
「はい、もしもし?」
今の俺の声は女の子の声だよな?
いくら俺のスマホだからと言って、この声で応答しても分からないんじゃないのか? まだ無垢朗が犯人かどうか分からないし。ここは慎重にいくべきか……。
「もしもし? どうした浩二君!? 美少女にでもなったのかい?」
「やっぱりお前かーーーーい!!」
「浩二君なのかい!? という事は成功したんだね! やったあーー!!」
「やったあ、じゃないよ! どういう事だよこれ!?」
「あ~なんて、可愛い声なんだ~。最高だよ!」
聞いちゃあいない。俺が美少女になった事がそんなに嬉しいのか!?
「おい! いい加減にしろよ! どういう事か説明しろ!!」
「本当に凄いよ! 成功したんだよ! ついに僕の夢が! 美少女になる夢が! 浩二君のお蔭で僕の夢が叶うかもしれない」
「知らんがな! そんな夢! これも異世界の任務に関係あるのか!?」
「関係無いよ」
「無いんかい!!」
じゃあ、無垢朗の夢の為に俺が美少女になったというのか? なんか急に疲れてきた。
「でも、僕も試したけど、何も変化しなかったんだ。だから、スタミナドリンク薬剤を入れて浩二君で試してみたんだ。なぜ浩二君は成功したんだろうね?」
「そんな事分かるか! それより明日異世界に行くのに、どうしてくれるんだよ! 戻せるんだろうな!?」
「後でちゃんと説明するよ。その身体だと通勤出来ないと思うから、迎えの車をまわすよ。それから浩二君!?」
「何だよ」
「最後にその声で僕を罵倒してくれ」
ピッ
俺は電話を切った。
なんて事だ! 俺はあいつの夢の為に美少女になってしまったのか!? 任務に関係ないなら元に戻してもらわないと、こんな可愛い状態で異世界に行くなんて無謀すぎる!
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