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第187話 お姉ちゃんを助けれるのはミリちゃんだけ

 ――――場面変わって、城内の入り口付近ではミリちゃんと姉のマリの戦闘が続いていた。



「流石、ミリちゃんね。魔法の勝負なら私が負けそうね。でも、いいのかな? お姉ちゃんに逆らって。お姉ちゃんの言う事は聞くものよ」


「…………」

「フフフ」

「駄目ですミリちゃん! 今のお姉様は魔王から精神支配を受けています! 言う事を聞いてはいけません!!」



 ポンタはゴーレムと戦いながら、ミリに声を掛けた。



「ゴーちゃん、早くそいつを倒すのよ。いいえ、数分押させておくだけでいいわ」

「ゴーレムを倒さないと、ミリちゃんの手助けは出来なら倒すまで!」



 すると、ポンタは早く決着をつけようと、次々と魔法を繰り出した。



「流石、ミリちゃんのアニマね。このままだとゴーちゃんが負けそうね。でも、いいわ。ミリちゃんさえ倒せば、フィルリアル様も喜んで下さる。さぁー! そのまま大人しくしていなさい!」



 マリは魔動砲を打つ構えで、魔力を高めていくが、ミリは下を向いたままだった。



「フフフ、いい子ね。魔動砲!!」

「うぅっ」



 マリが放った魔動砲はノーガードのミリに直撃して、吹っ飛ばした。



「ちゃんとお姉ちゃんの言う事が聞けて偉いねー」

「ミリちゃん! 何てことを! 吾輩が助けに行きます!」

「そう簡単にゴーちゃんを倒せないよ」


「吾輩の素材は職人によって精巧に作られた。そして、ミリちゃんのアニマよって生命が与えられた吾輩が、負けるはずがありません!」



 ポンタは杖を取り出し剣にデザインし、魔力を纏わせた。



「一気に方を付けさせてもらう!」

「うそー、そんなことまで出来るの? 流石ね。いいわ、こっちもケリを付けてあげる。ゴーちゃん!! 20秒でいいわ! 押さえておきなさい!」


「20秒あれば十分!!」



 ポンタは高速移動で一気にゴーレムの間合いに入った。そして、フェンシングのように剣を突き刺した。



「早くしないと不味いわね。ミリちゃん! こっちに来なさい! 魔動引力!!」



 すると、倒れ込んでいたミリを、魔力でマリの方まで強引に引き寄せた。



「ミリちゃんに触れるのは危険ね。魔動砲で終わりにして上げるわ」

「ミリちゃん! 防御して下さい!」

「フフフ、大人しくしていなさい」


「吾輩も最大の魔力で挑みます!!」



 剣に纏った魔力が上がり、強い光を放った。ポンタはさらにスピードを上げ、何度もゴーレムに剣を刺した。ゴーレムの方は、完全にポンタの動きについていけず、どんどんと崩されていった。


 そして、その間マリは魔力を最大限に高めていき、至近距離で魔動砲を打つ準備を終えていた。

 しかし、それでもミリは蹲るだけで、防御も何もしなかった。



「ミリちゃんは本当いい子ね。苦しまないように一瞬で終わらして上げるわ。魔動砲!!」

「……」



 ドーーン!!



 マリの放った魔動砲で、周囲に煙が立ち込めた。



 バターン!



「えっ!? ゴーちゃん?」



 さっきまでポンタと戦っていたゴーレムは、ボロボロになって倒れてしまった。




「あなたの手を掴みました」

「な、何の真似!? ボロボロじゃない」

「ポンタちゃん……」



 ポンタはマリの魔動砲をミリから守るため、自ら身を乗り出し、まともに食らってしまった。それはもう見るからに半分以上破損していた。いや、焼けてしまって焼失してしまった。


 つまりそれは、損壊率が半分を超えると、もう2度と復活出来ないということだ。

 しかし、ポンタは何故かマリの手を掴み、さらにミリの手まで掴んで放さなかった。



「吾輩の魔力を全開にしてガードしたのですが、どうやら駄目だったようです。すみません、ミリちゃん。吾輩はここまでのようです」


「駄目! ポンタちゃん、ミリの傍にいて!」

「驚いたわね。これだけ破損してもまだ、こんな力が残っているなんて」



 ミリは、ポンタの手を両手で握り、泣き崩れた。



「泣かないで下さい。ミリちゃんにはまだやる事があります。あなたのお姉様、マリ様を助けるのです。ミリちゃんの魔法『アニマ』で生まれた吾輩は、魔力の親和性が高いです」


「ま、まさかそれで手を!? は、放しなさい!!」



 マリは必至にポンタの手を振り解こうとしたが、全く動じなかった。



「吾輩はマリ様を絶対に放しません! ミリちゃん! 吾輩を魔力伝導にしてマリ様の魔力に干渉して、魔王フィルリアルによって魔力操作を解除するのです!!」


「駄目、ポンタちゃんのアニマも解除されてしまう」

「どの道、吾輩はもう持たないでしょう。その前にやるのです」


「そ、そんなことさせないわよ!」



 すると、ポンタはマリの方に振り返った。



「マリ様、吾輩の主様、ミリちゃんをよろしくお願いします」

「えっ!?」



 ポンタはマリに頭を下げた。突然の出来事にマリは理解が追い付いていない。そして、再びポンタはミリの方を振り返った。



「ミリちゃん、お姉ちゃんを助けてあげて下さい」

「ポンタちゃん……」

「元主の真由様たちのことも頼みます。ご一緒出来て吾輩は楽しかったです。ありがとうございました。さぁー! ミリちゃん、やるのです!!」


「うん!」



 ミリちゃんの魔力が高まると、諦めたのかマリは抵抗するのをやめた。

 そして、ミリが放った魔法によって、一瞬白い光に包まれた。



 その瞬間、ポンタのアニマも解除されてただのヌイグルミに戻り、ミリとマリの手から放れ、地面に落下した。


 そして、マリも気を失い、ミリの方に倒れそうになったが、ミリが一歩前に出て支えた。



「お姉ちゃん、もう大丈夫」



 ミリはマリを抱きしめ、ポンタの方に視線を向けた。



「ポンタちゃん、ありがとう」


お読み頂き、ありがとうございます。


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