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第186話 剣士対決!ミルネVSガウロ 

 ――――場面変わって、ミルネは真由達が城内に進んで行った後、魔王軍幹部の剣士ガウロと戦っていた。



 ミルネは腰に掛けていた聖なる大樹ホーリーを手に取り、剣にデザインし、魔力を纏わせた。すると、それを見たガウロは驚いた表情を見せた。



「ほほう、その素材は大樹ホーリーだな。人間がそれを持つとは珍しい。どうやって入手した?」

「マユリンがくれたんだよ」

「真由か……やはりあいつは只者では無さそうだ。お前もそれを扱えるなら大したものだ。これは小娘だと侮ってはいけないという事だな」


「でへへへ」



 ミルネは褒められてデレデレだが、ガウロは真剣な表情で、腰に下げていた1メートルぐらいはある棒を手に取った。



「ジェネラルソード! 魔動転化!」

「おお!」



 ガウロもミルネよりも、一回りも二回りも大きい剣に変えて魔力を纏わせた。その見た目からしてもミルネの剣よりも圧倒していた。



「いくら大樹ホーリーでも、俺の剣の前では無意味。魔力も俺の方が断然上だ」

「戦ってみないと分からないよ」

「すぐに分かるさ」


 

 ガウロは、青白く揺らめく光を剣を大きく振り上げた。



「魔動斬撃!!」



 ガウロが剣を振りかざすと、魔力による衝撃波が斬撃となってミルネに襲い掛かった。しかし、ミルネも魔力を纏った剣を大きく振り上げた。



「魔力全開で行くよ!」



 ミルネも同じく剣を振り下ろすと、青白い魔力の斬撃がガウロの方に走った。

 そして、ガウロの斬撃とミルネの斬撃が衝突を起こし、雷が直撃したような轟音が響き、爆発した。 



「何!? 俺の魔動斬撃を正面から止めただと!? そんな馬鹿な! どこにそんな力がある!? 聖剣ホーリーの魔力とあいつの魔力の相性がいいからかっ」


「でへへへ」



 ミルネは褒められたと思ったのか、照れていた。



「フフフ、笑っていやがる。余裕だな。しかし! パワーは同格でも技ならどうだ!?」



 ガウロはミルネの方に高速移動で接近し、もの凄いスピードで剣で何度も攻撃を仕掛けた。

 しかし、ミルネは動じることなくかわし、応戦した。



「何!? 一発も当たらないだと!? 魔力感知も優れているのか!?」

「違うよ。あたし、魔力感知は得意じゃないから、身体で避けた」

「身体で!? 何を言っているんだ?」


「師匠に教わったんだよ。無心になれば、そよ風が吹くように避けるって」

「何を訳の分からいことを言ってやがる。しかし、魔力感知が苦手とは致命的だったな」 



 ガウロは挑発するかのように、構えを解いた。



「かかって来いよ! 魔力感知が苦手なお前と、優れているこの俺の差が、戦いにおいてどれだけの致命的なのかを教えてやるよ! そして、絶望するがいい!」


「あたしも向こうで修行したんだら、簡単にはやられないよ!」



 今度はミルネが、高速移動でガウロに接近し、剣を振り下ろした。



 グシャ!



「ぐはっ」



 ミルネが剣を振り下ろす瞬間に、ガウロはカウンターを狙ったかのように剣をなぎ払った。



「フフフ、これが優れた魔力感知だ。つまり、お前が魔力での攻撃しようとする時に発生する、僅かな魔力を俺は感知して、攻撃が来る前に分かるんだよ」


「うぅ……痛い」

「にしても、その程度の傷ということは、ギリギリで回避しやがったな」

「えへへ」


「しかし、これで分かっただろう。お前の攻撃は俺には当たらない。そして、お前は俺の攻撃を食らい続けることになる。フフフ、これから時間を掛けてお前を切り刻んでいくということだ。はっはっはー!」



 ガウロは既に勝ち誇っていた。しかし、ミルネはガウロに切られた傷を手で覆いながら、辛そうな表情だった。



「確かに、このまま普通に戦っても、あたしに勝ち目は無さそうだ」

「何だ? その言い方は? まるで秘策でも隠しているような言いぐさだな」

「まぁーね」



 ミルネは剣の魔力を解除して、さらにデザインも解除して腰にしまった。



「ん? 何故解除する?」



 ミルネは一呼吸して、腰に掛けてあった名刀(邪威帝龍)《じゃいていりゅう》の柄を握った。その瞬間、ミルネの表情は真剣なものになり、先ほどのデレデレ感が消えた。


 そして、鞘から刀を抜くと、少し小さくしていたデザイン魔法を解除して、本来の大きさに戻った。



「何だ!? それは!? デザイン魔法? いや、違う! ただ素材? 魔力を全く感じない!」

「名刀邪威帝龍」

「じゃいていりゅうだと? 何だこの剣は? 魔力は無いのに、何か違ったヤバさがある」



 ガウロは初めて見る日本刀に動揺した。



「ま、まさか、こ、この俺がビビってる? あいつの魔力感知は劣るし、俺の魔力感知で攻撃は当たらないんだ! 何も恐れることはない!」



 ミルネは刀を構えたまま、ピクリとも動かず、ただ鋭い目つきでガウロを放さなかった。



「くそー! 舐めやがって! すぐに恐怖面に変えてやる!」



 ガウロは魔力を高め、ミルネに襲い掛かった。



「はっはっはー! 魔力感知が出来ないなら、最高の魔力を纏って葬ってやるぜ!!」



 ガウロが剣を振りかざすと……。



「何? こいつ微動だにしない!?」



 バァーーン!!!



 ガウロの一撃で、周囲に風圧で砂煙を巻き上げた。



「避けれたか? あ、あいつはどこだ?」



 ガウロは周りをきょろきょろさせて、ミルネを探した。



「居た! あいつ何ここから立ち去ろうとしているんだ?」



 ガウロがミルネを発見した時、ミルネは刀を降ろし、ゆっくりと歩いて立ち去る後ろ姿だった。



「あいつ、後ろ姿を見せやがって。しかも、構えまで解いている」



 砂埃が落ち着いてくると、段々と全貌が見えて来た。




「逃げるな! 待て! ん? あの剣……血まみれになっているじゃないか? 一体、なにが……」



 バターン



 ガウロは突然倒れた。



「何故だ? 何で俺は倒れるんだ? 何で俺の身体は動かないんだ? 何で……い、意識が……遠のいて……いくんだ……なぜ……」


「でへへ。あたしの勝因は褒められたからだよ」



 ミルネは意気揚々とその場を去った。


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