第184話 魔王軍討伐開始!!
何だこの状況? 俺が3人いるぞ。
ミルネはそのままだがら、あの2人はアルルンとミリちゃん!?
「こんな時に何やっているんだよ!!」
「真由ちゃんに変身した」
「いっしっしっしー! アルルンは魔法じゃないわけですね。だから、絶対にばれないわけですね」
「喋り方!」
アルルンはいいとして、ミリちゃんの変身魔法はかなり魔力を消費するんじゃなかったか? これから魔王軍と戦うのに何やっているんだよ、本当……。
「マユリン、会いたかったよ。やっぱり、本物はいいね」
「こらっ、抱きつくなー!」
「ミリも」
「しょうがないですね」
「お前らが抱き着いたら、もう訳が分からんわー!!」
これ傍から見たらどう映るんだろう……。
「お前達、もういいか?」
「はい、すみません」
やっぱりライムさん、呆れているな。当然だが……。
俺はこの後、2人に説教をして……いや、それは無理だったが、アルシアが代わりにやってくれたので、2人は元の姿に戻った。
そして、さっきライムさんが話した作戦を伝えると、今度はポンタがここまでの状況をライムさんも含めて説明した。
すると、呆れていたライムさんも、魔物人間の魔王軍派がこっち側についたことと、アルルンやラクセルが参戦することが分かると、目の色を変えて喜んだ。
一応、期待以上の仕事はしてきているんだよな。
こうして、もう一度仕切り直して、魔王軍討伐準備に入った。
魔王城は周辺はオーガの隊列を作り、どんどんと集まり数を増やしている。向こうも迎撃態勢を着実に整えているみたいだから、これ以上時間を与えてない方がいいだろう。
そして、ライムさんはオリンさんとメルリさんに合図見たいなもの送ると、二人は豪快に魔動砲を連打で撃ちまくった。
「よし! 突撃するぞ!!」
ライムの掛け声で一気に魔王城に向かって走った。
ラビットちゃんを護衛するように、周囲にベルリア学園の討伐隊が囲んでくれたので、これなら何もしなくても、魔王城に到着出来そうだ。
しかし、ライムさんの言った通り、地面からオーガが突き破るように現れた。
「ヤバいぞ! 止まれ!」
地上にいるオーガは襲い掛かって来ても、オリンさんとメルリさんの援護射撃で問題無くクリア出来たが、流石に突如地面から出てくるオーガは無理がある。
すると、ミリちゃんが突然何か魔法を掛ける動作をした。これは今までの経験で分かる。
「ミリちゃんが何か凄い魔法をやるぞ! 危ないからミルネの後ろに隠れろ!」
「あたし!?」
「うん、そこが一番安全だからな」
みんなは、ミリちゃんのことをよく知っているのか、速やかにミルネの後ろに駆け寄った。
「ふんっ」
ミリちゃんが「ふんっ」と言った瞬間、以前に聞いた空間が裂ける音が響き渡り、地面をえぐりながら城に向かって衝撃波が走った。
「これで大丈夫」
確かに地面ごと攻撃すれば、中に居たオーガも一緒に殲滅出来ただろう。
「流石だな。驚いたよ。これで一気に城まで行けるぞ!」
ライムさんも驚いていたが、すぐに切り替えて前に進んだ。しかし、目立ってしまったせいか魔王軍幹部達に注目を浴び、一斉に集まってしまった。
集まった幹部は4人で、その内2人は以前にバーに遭遇した、ドラキュラみたいな風貌の剣士と、イフリートの幹部だった。残りの2人は初めて見るが、頭に一本角があり、背中に腕のようなものが2本あるやつと、頭から立派な2本の角がある人型の怪物だ。
「いきなり、ザイロンが登場するとはな。次こそ止めを刺してやる」
「そう簡単にはいかんぞ。わし達には魔王フィルリアル様がいる。それより、ラクセル! 魔王軍を裏切るつもりか!?」
どうやらこの角が2本ある男が、元魔王のザイロンみたいだな。
「裏切った? 先に見捨てたのは魔王軍の方でしょう! それに私はミリの力を思い知らされた。この戦いこちら側が勝つとみている」
「生意気なやつじゃ。わしらの力を侮るではないぞ」
「ミリじゃなくて、ミリちゃん」
「お前は変なところで会話に入るなー!」
相変わらずミリちゃんはマイペースだが、こんなくだらないことでも2人とも注目するんだよな。
その様子を見たライムさんは、振り返り俺に話しかけてきた。
「真由、ここで俺とカリバーはザイロンを倒すから、先に行ってくれないか?」
「分かった」
「フェルティングスは一本角のエレクドリアを頼む」
「任せておけ」
その時、ミルネは俺の方に駆け寄った。
「ねぇ、マユリン。あたしもここに残って戦ってもいいかな?」
「ミルネ、大丈夫なのか?」
「うん、私も役に立ちたい」
確かに幹部4人相手なら、もう少し戦力が欲しい所だと思う。それにこの先、マリさんにはミリちゃんとポンタが対応して、魔王フィルリアルにはアルシアと俺が対応するから、その方がいいかもしれない。
「幹部がみんな集まってしまったから、助かる」
「あたしは、あの剣士さんと戦うよ」
「ふん、小生意気な小娘だ。一瞬で終われせてやろう」
剣士同士だからミルネの方がいいかもしれないが、あいつはバーで凄い斬撃を飛ばしてきたガウロだろ? 大丈夫かな? でも、フォローする余裕もないし、いざとなればカリバー達が助けに入ってくれるだろう。
「では、私達はイフリートを倒しましょう」
「いよいよ、アルルンの出番なわけですね!」
「よし! ここの幹部達もオーガも任せておけ! 君たちは先に行ってくれ!」
「分かりました! ミルネ気を付けろよ!」
「マユリンもね!」
これでアルシア、ミリちゃん、ポンタと俺だけになったが、ミリちゃんのおかげで、城までの安全な道が出来たので、俺達はひたすら走って向かった。
しかも、オーガが襲って来ても、すぐにメルリさんやオリンさんの魔動砲で撃退されていく。
そして、以前に突撃した城の入り口まで行くことが出来た。前回はミリちゃんが門を蹴破ろうとしたから、俺が止めようとした結果、俺一人が突撃する羽目になった。
だが、今回は突撃が目的だからミリちゃんに遠慮なくやってもらおう。
しかし、何故かミリちゃんは俺を盾に、い、いや、俺の後ろに隠れるようとしていた。
「ミリちゃん、どうしたの?」
「……」
なんかあまり乗る気じゃないのかな? それとも中にミリちゃんも恐れるような敵がいるのか!?
すると、魔王城の扉がゆっくりと勝手に開き始めた。
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