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第182話 ミリちゃんの平和的交渉??

 ――――場面変わって、時は遡り、ベルリア学園を出発した日の夜に、魔物人間が住む『タカチカオ』にミルネとミリとポンタ達は、到着していた。


 ここは魔王軍領域と隣り合わせの場所で、魔王軍派の魔物人間が村を塀で囲んでいる。そして、ベルリア学園側には人間派の村がある。



「ミリちゃん、ここがアルルンがいる村だよ」

「アルルンちゃんにちゃんと謝る」

「そうだね。この大きな扉の中にいるはずだよ」

「分かった」

「我が主をお待ち下さい!!」



 バーーン!!



 ポンタはミリを止めようとしたが、間に合わない。ミリは魔法で外敵から守ってる大きな扉を吹っ飛ばした。



「敵襲だー!!!」

「各自配置につけー!!」



 当然ながら、魔物人間達は大騒ぎになった。



「アルルンちゃんどこ?」

「なんか騒がしいくなっているね」

「主たちよ、攻撃に注意せよ」

「ミリは謝りに来ただけ」



 ミリの想いは届くはずもなく、魔物人間達は攻撃態勢を整え、第一陣がミリたちに襲い掛かった。しかし!



「ふんっ、邪魔」


 

 ミリの手の平から、衝撃破が飛び出し一瞬で複数の魔物人間を吹っ飛ばした。



「ミリはアルルンちゃんに会いに来ただけ」

「ミリちゃん、アルルンは偉い人だから、あそこの一番大きな建物にいる思うよ」

「分かった」



 ミリ達はこの村で一番大きい建物に向かった。3階建てぐらいでベルリア学園の講堂ぐらいの大きさだ。



 一方その頃、アルルンはこの建物の最上階の自分の部屋にいた。そして、そこにラクセルが慌てた様子で中に入った。



「アルルン、大変なことになっている!」

「うわああー!! 部屋に入る時はノックをして欲しいわけですね」


「そんな吞気な事を言っている場合ではない! ミリが攻めてきた! 直にここにやって来る! 逃げるぞ!」


「えぇーーーー!! あわわわ、どうしよう!」



 ラクセルは動揺するアルルンの手を引っ張り、部屋を出ようとした。



「ラクセル、真由は負けたの?」

「分からない……。けど、今、攻めて来ているのは、ミリとミルネの2人だけだ。真由はいない」

「そんなー」

「我々ではミリに勝てない。さっき魔王軍の要請をした。もうすぐ返事が来るとはずだ」



 ラクセルとアルルンが部屋を出ると、ちょうどその時魔王軍から連絡が入った。 

  


「バカな! そんな! 見捨てるのか!」

「ラクセルどうしたの?」

「『兵は派遣出来ない。そっちで何とかしろ』だそうだ」

「えー! どうしたらいいの?」

「とにかく、今は逃げるしかない!」



 ラクセルはアルルンの手を引いて、廊下を走り階段を降りて、1階まで来ると、ラクセルの部下が慌てて駆け付けた。



「こちらは駄目です! もうすぐミリが来ます!!」

「なんだとー!? 足止め出来なかったのか!? 全兵をまわせ!」

「それが、もう全滅しました!」

「なにーー!!」



 バァーーン!!



 突然、物凄い勢いで扉が開いた。



「なんだ!? まさか!?」



 扉に居たのは、ミリとミルネとポンタだった。



「アルルン、私が飛びかかります。その隙に裏に回って、窓から逃げろ!」

「ラクセルは? ラクセルも逃げようよ」

「そんな事が出来るなら苦労はない。足止めだって、どれだけ持つか分からない。いいかアルルン、外に出たら能力で姿を変えて、遠くまで逃げろ」


「駄目だよ、ラクセル」



 アルルンは、ラクセルが自分を犠牲にしようとしているのを察したのか、涙を流して止めよとしたが。



「いいから行け!」

「必ず、ラクセルも逃げて」

「ああ、すぐに行く!!」



 そして、ラクセルは魔力を最大限に上げた。



「ミリちゃん、あそこの女の子がアルルンじゃないかな?」

「ミルネちゃん行こう」


「やはり、アルルンが狙いか! そうはさせない! 魔動砲!!」

「ふんっ、邪魔」

「うわああー! なんだ!? 衝撃波!?」



 ミリの放った衝撃波で、魔動砲だけでなくラクセルも一緒に吹っ飛ばし、アルルンの真横を通って行った。


 驚いたアルルンは思わず、足を止めミリの方を振り返った。そして、あまりの恐怖に足が震えて腰を抜かしたように動けなくなってしまった。



「あわわわっ」



 ミリは無表情でアルルンの前までやって来た。



「どどどど、ど、どうか命だけは……」



 ミリちゃんはジト目でアルルンの方を見たが、アルルンは殺されると思ったのか、両手で顔を覆い蹲った。



「アルルンちゃん、ごめんなさい」



 ミリは一礼すると、今度はドヤ顔でアルルンの方を見た。そして、アルルンも思わぬ言葉に顔を上げた。



「え?」



 アルルンは状況を把握出来ないでいると、ミルネがアルルンの方に寄り添って、起こそうと手を貸した。



「ミリちゃんは、この前のことを謝りに来たんだよ」

「え? え? 謝りに来た? え?」

「あたしもごめんね」



 まだ状況が把握出来ないアルルンに、ミリは真由から預かったアルルンの服と、日本で買った服を手渡した。



「これあげる」

「あ、はい、どうもありがとう」

「アルルンちゃんと仲直り」



 ちょうどその時、ラクセルが目を覚まし、ゆっくりと起き上がりアルルンの方を見た。



「一体、どういうことだ?」

「吾輩が説明しましょう」



 戸惑っているラクセルを見て、ポンタはこれまでの経緯を説明すると……。



「ええええーーー!? 謝罪に来たー!?」



 思わず、ラクセルは大声を出してしまった。そして、すぐにアルルンの方に駆け寄った。



「アルルン、大丈夫か? 何もされてないか?」

「うん、なんか謝ってくれた……服も貰った……」



 アルルンの理解は追い付いていなかったが、ラクセルは冷静さを取り戻した。



「では、あなた達がここに来た理由は、我々に人間側に付いて欲しいということか?」

「真由ちゃんの仲間になって」

「うーん、もう我々の戦力は壊滅しているんだが……」



 ラクセルは頭を抱え込んだ。その様子を見ていたアルルンもようやく理解が追い付いてきた。



「分かったですね。アルルン達も真由に協力するわけですね。ラクセルいい?」


「うーん、魔王軍に見放されたわけだし、この絶望的な力の差を見せられては、誰も文句は言わないだろう。分かった! 力を貸そう! この状況だから我々だけになるが」


「やったよー! ミリちゃん! 依頼達成だね」

「ふふんっ」



 こうして、魔王軍討伐にアルルンとラクセルが加わった。

お読み頂き、ありがとうございます。


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