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第180話 見えてきた糸口

 俺はアルシアに、魔王軍幹部と魔王フィルリアルと出会ったこと。一人で魔王城に入って、魔王フィルリアルの正体が結菜ちゃんという女の子だということ。


 とにかく俺は、包み隠さず全部話した。



「そういうことで、魔王フィルリアルは黒魔パーティクルという強力な魔力を纏っていて、とても勝てそうにないんだ。だから、事情を知ってしまうと躊躇して、それが命取りになると思って黙っていたんだ」



 アルシアの顔は見えないが、頷く声は聞こえてきたから真剣に聞いてくれていると思う。



「話してくれてありがとう。私達を思ってのことだってのね」

「うん……」



 アルシアは後ろから抱きしめながら、おでこを俺の背中に軽く当てた。



「真由、心配しないで。私はどんなことがあっても真由の味方よ。きっと、ミルネもミリちゃんも、ポンタだって同じことを言うわ」


「ありがとう」

「この問題は討伐隊ラビットちゃんで解決しましょう」



 俺は少し肩の荷が下りた気がした。でも、本当にこれで良かったのだろうか?



「真由、結菜ちゃんに強力な魔力を持った黒魔パーティクルが纏っているのよね?」

「あ、うん」

「仮説だけど、その黒魔パーティクルだけを倒す方法が1つあるわ」

「えっ!?」



 そんな都合のいい方法なんかあるのか? でも、アルシアが言うからには期待してしまう。 



「そんな方法あるのか!?」

「上手くいく分からないけど、あのガムイが私に掛けた魔力を0にしてしまう『デス魔法』で、黒魔パーティクルだけ倒せるんじゃないかしら」


「た、確かに魔力の塊みたいなやつだから、倒せるかもしれない。しかも、結菜ちゃんは魔法使いじゃないから影響はない。けど、誰かあの魔法を使える人いるかな?」


「ガムイは私に言ったわ。あの魔法自体は簡単だって。だから、これから専属魔法団のアジトに行くわけだから、その時に力尽くでも教えてもらいましょう。それは私がやるわ」



 優秀なアルシアだったら、それも可能かもしれないな。なんかちょっと道筋が見えてきた。



「でも、この魔法は相手を弱らせるか、隙を作らないと掛けるのが難しいの。それに魔力の消費も大きいわ。だから、私はあまり戦えないかもしれないけど、大丈夫かな?」


「ああ、それは任してくれ。でも、身体が石のように固くなる魔法掛けて来るから、それが何とかなればいいんだけどな」


「多分、それは魔力ロックだと思うから、私が解除するわ」

「おお、それはありがたい」



 なんか一気に上手くいく気がして来たぞ。



「じゃあ、決まりね。なら急ぎましょう。簡単とはいえ、魔法の取得にどれくらい時間が掛かるか分からないから」


「よし、俺も自力で歩いて――」

「駄目よ! まだ完全に治ってないから無理はしないで。私がおんぶするから」

「ごめん、アルシア。お世話になります」



 多分、歩けると思うが、リハビリみたいな歩き方になりそうだ。ここはアルシアに甘えるしかない。

 俺は明日、魔王と戦うかもしれないし、アルシアの言う通りあまり無理をしない方がいいかもしれない。


 でも、もう夜なのに今から出発するのは、徹夜で本拠地に向かうのかな? それだったら、アルシアもかなり無理をしているんじゃないか?


 今は何も出来ないからせめて早く回復させて、今度は俺がアルシアの力になろう。

 俺はアルシアの背中で、悪いと思いながらも眠ってしまった。




 ――――そして、どれぐらいの時間が過ぎただろう。辺りは朝焼けで少し明るくなってきた頃、俺は軽い衝撃のようなものを感じて目覚めた。



「アルシア、何かあったのか?」

「真由、起きたの? 今、敵襲を受けているわ」

「て、敵襲!?」



 俺は辺りを見渡すと、誰もいない……よな? いや、何かが物凄いスピードで移動している!?



「アルシア、こいつは一体!?」

「専属魔法団よ!」



 すると、超スピードで周囲移動していた専属魔法団と思われる者が、俺達の前で立ち止まった。



「ふっふっふー、そいつをかばいながら、よく俺の攻撃に耐えたな。褒めてやろう」



 俺が眠っている間、アルシアは俺を守ってくれたのか……。



「俺は専属魔法団、極超スピード魔法使いのロウムだ。スピードを極めれば、Sランクが相手でも問題無い。攻撃を当てられなければ、誰であろうと同じだからな! あーはっはっは!」



 こいつは厄介だ。いつまでもアルシアの足を引っ張ってばかりでは申し訳ない。



「アルシア、降ろしてくれないか?」

「真由、大丈夫なの?」

「ああ、大分良くなったと思う」

「ごめんなさいね。敵はかなり厄介だわ」



 俺は降りて身体の確認をしたかった。


 ……。


 よしっ、身体はもう治っているし、痛みも無い。むしろ、ウォーミングアップをしたいぐらいだ。



「アルシア、本当にありがとう。後は任せてくれ。こいつは俺がやる」

「もう、平気なの?」

「ああ、俺もこの2週間修行したから、魔王軍と戦う前に実践で試してみたい」

「分かったわ。真由がそう言うなら」



 アルシアは後退し、俺は前に出た。



「あーはっはっはー、お前みたいなガキに俺が倒せると? 笑わしやがるぜ! 俺のスピードに――」



 俺はまだロウムが喋っている途中だったが、どうでもいい内容そうだし、人差し指を向けて攻撃態勢に入った。この2週間で習得した技がある。



「お、お前一体何をする気だ!? 魔導砲か? 狙い撃ちで俺に当てるのは無理だぞ! そんなもの超スピードでかわしてやるさ」


「そうか、なら」



 ヒュンッ



「ぐはっ、お、お前、今何をした!?」

「魔力弾さ」

「嘘つけ! 魔力を感じなかったぞ!」



 そう、俺は2週間の修行で、ついに魔力自体をMPCでコントロール出来るようになったのだ。

 魔導砲は魔力弾を生成して、別の魔力を使って飛ばすから、一瞬の魔力の溜めが発生する。 

 しかし、俺のこの技は、MPCの瞬発力で魔力弾を飛ばすから、魔力を感じた時にはもうヒットしているというわけだ。

 

 つまり、アグリケーション バージョン4にして完成形になる。


 

「俺もスピード技には自信があるということだ」


「くっ、調子に乗りやがって! ふん、いいことを教えてやろう。さっき見せたのは『超スピード魔法』だ。今度は『極超スピード魔法』を見せてやろう!」

お読み頂き、ありがとうございます。


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