第175話 ネスタリアとベルリアの共同作戦
オーガ5000体はライムさんとカリバーの2人が無双するらしい。これで魔王軍に有利になるわけか。
そして、ライムさんは暫く考え込むと、またみんなに語り掛けた。
「これで勝機が見えてきた。これから作戦を言う。この作戦は同時進行で進めないと意味が無いからな」
という事は、ここで分かれて作戦を実行すると言うことか。
「まず、オーガ5000体のメインの部隊はネスタリアとベルリアの中間、第一中継ポイント辺りにいるらしい」
この場所はアルシアと小屋で過ごした場所だな。その後にガムイに狙われて大変な目にあったのを思い出す。
「これは俺とカリバーで対応しよう。あとストレングスも協力して欲しい。しかし、ネスタリア学園にいるオーガも対応しなければならない。一旦、カリバーのテレポートでネスタリア学園に行くメンバーを決めて欲しい」
「じゃあ、俺達がネスタリア学園を助けに行きます」
ダンロッパがどうなっているのかも気になるしね。
「分かった。オーガは俺とカリバーで短時間で倒せれば、魔王軍幹部の出撃は、一旦回避されるかもしれない。そこを総攻撃したいんだが、問題がある」
ダンロッパだろうな。今頃は安全な所で高みの見物をしているかもしれない。
「分かっているとは思うが、ダンロッパと専属魔法団と、魔物人間の魔王軍側の魔族派の存在だ。まず、ダンロッパとモリモンは専属魔法団と一緒にいることは分かっている。しかも、オリンとアルシアにデス魔法を掛けたガムイもいる。あいつはSランクを凌駕するから、あいつを倒せるかが成功の鍵になる」
ガムイという名前が出た瞬間、アルシアとオリンさんの顔つきが厳しくなった。
「そこで、オリン、メルリ、フェルティングスの討伐隊で、専属魔法団を奇襲して殲滅させろ。それでも戦力は十分とは言えないが」
「おう! あたいがオリンの仇をとってやる!」
「私だって、許さないんだから!」
「じゃあ、俺はバックアップだな」
「私も参加したい!!」
そう声を上げたのはアルシアだった。あれだけガムイを許せないと言っていたから当然かもしれない。ならば、俺も手を挙げますか。
どうせガムイのことだ。何もしなくても、俺とアルシアを狙って来るはずだ。ならばこちらから仕掛ける方がいいだろう。
「俺も参加するよ! アルシアにこんな酷いことをしたんだから放っては置けないよ」
「真由……」
「でも、ネスタリアも気になるから、その後に向かうのでいいかな?」
「分かった。お前たちはネスタリアから専属魔法団の拠点に向かって、集合するといい」
ミルネは軽く頷き、ミリちゃんはポンタを抱きながら眠たそうにしていた。多分、OKということでいいだろう。
「あとは魔物人間だが、味方になってくれる人間派は、自分達を守るので精一杯らしいから、戦力として期待できない。問題は、魔王軍側のアルルンとラクセルだ。あの2人はかなり厄介だ。対応したいが人員が足りなくてな」
「ミリが行く!!」
「びっくりした!」
アルルンの名前を聞いた瞬間、ミリちゃんが手を挙げた。アルルンに会いたいだけのような気がするが……。
「ミリちゃん、どうしたの?」
「真由ちゃん、アルルンに謝りたい」
「おおーー!! 素晴らしい!」
ミリちゃんがそんな事を言うとは思わなかった。ミリちゃんも成長しているんだな。
「マユリン、あたしもアルルンに謝りたい」
「ミルネもか!」
それなら俺にも謝って欲しい気もするが、まぁ、いいか。
でも、一度ミリちゃんがそう決めたならもう変更は出来ないだろう。ポンタを連れて行けば何とかなるかな?
「分かった。ミリちゃんとミルネとポンタで行って来るといいよ。平和的にね。これ重要だよ。それでいいかな? ライムさん」
「そうだな、ミリちゃんがそう言うなら仕方ないか。目的はよく分からないが、俺達と敵対するのを止めてくれれば大成功だ。よろしく頼むよ」
「ふっふっふー、任せてよ」
何故かミルネがドヤ顔だ。
「よし、大体決まったな。それぞれの役割を明日中に終わらせ、一晩眠って魔力を回復させ、明後日の昼頃に魔王軍を攻め落とす。魔物人間が住む『タカチカオ』を越えた魔王軍領域近くで集合だ。余裕があればテレポートか高速移動で来ても構わない」
うーん、結構忙しいプランになりそうだけど、それだけ逼迫しているということだな。でも、まだ結菜ちゃんを助ける方法も分かってないし、ヤバいぞ。
あの黒魔パーティクルを何とかする方法がないと、助けられない……。
「よし! 時間が無いから早速取り掛かかるぞ!」
こうして、作戦会議は終わり、それぞれの役割を果たす為解散した。
俺とアルシアはカリバーのテレポートでネスタリアに戻るので、一旦ここでミルネとミリちゃんとポンタと別れることになる。しかし、話を殆ど聞いていないミリちゃんは俺も一緒に来ると思っていたから大変だった。
「真由ちゃんも一緒に行くの」
「俺はアルシアと行くから、魔王城前に合流するまでの辛抱だから」
「駄目、ミリと行く」
こうなったミリちゃんを正論で納得させるのは無理だ。だがしかし……。
「アルルンに会うんだろう? そこで真由になってもらったらいい。俺がいると無理らしいからな」
普通に考えたら無茶苦茶な理由だし、すでに一緒になっているから、そんな事はないと、すぐに分かるはずだが。
「ニューマユリンだね」
「おー」
「だから、ミルネと行って来るといいよ」
「分かった」
よし、これでどうにかなった。
「そろそろ、僕のテレポートでネスタリア学園に行くよ。みんな集まってくれ」
「マユリン、アル姉、またね」
「2人とも気を付けるのよ」
「ポンタの言いことをよく聞くんだぞ。任せたぞ」
「はい、元主を」
こうして、ミルネとミリちゃんとポンタは、ベルリアから魔物人間が住むタカチカオに行き、俺とアルシアとカリバーでネスタリア学園にテレポートすることになった。
また、オリンさん、メルリさん、フェルティングスさんの討伐隊は、通常の移動でダンロッパ、モリモン、ガムイがいるとされる専属魔法団の拠点に行き、ストレングスとライムさんは、オーガ5000体のメインの部隊を討伐するため、第一中継ポイントに向かって、カリバーものちに合流することになった。
そして、明後日の昼頃に魔王軍を攻め落とすことになる。
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