第174話 ライムの調査報告
これって、まさか!? 魔王軍が攻めて来たのか!?
ベルリア学園に到着していきなりこの状況に、みんな唖然としていた。
そして、俺達の到着に気づいたのか、ライムさん、フェルティングスさん、ストレングスの人達がこちらに駆け寄って来た。
「帰って来たか!? 事情は後で説明するから、隠し部屋まで来てくれ!」
まぁ、何が何だか分からない状況だったから、とりあえず、みんなライムさんの指示に従い、隠し部屋まで付いて行った。
さっきまで戦闘中だったと思うが、敵はもういないようだ。でも、周囲にはオーガやゴブリンの死体が転がっていたので、魔王軍が攻めて来たのは間違いないだろう。
でも、ベルリア学園の討伐隊のメンバーはまだ残党がいないか警戒したり、怪我人を運んでいるから、まだ戦いは終わってないかもしれない。
そして、校舎より少し外れた所に小さな物置小屋があった。
そこには床に隠し階段があり、みんなはそこ降りて行くと会議室のような部屋に辿り着いた。
「せっかく帰って来て、こんな状況になっていて驚いたと思うが、魔王軍が昨日の晩に攻めて来たんだ」
まぁ、みんな察しはついていたようで、到着直後の驚きは無かった。というより、状況をもっと詳しく知りたい感じだ。
「さっき転がっていた死体を見ただろ? あれは魔王軍のオーガ5000体の一部がこちらに攻めて来た。さっきまで戦闘は続いていたが、300体ぐらいしか倒せていないと思う。恐らく、ネスタリア学園の方にも来たはずだ」
「ちょっと待って! じゃあ、助けに行かないと!」
アルシアが声を上げた。
「確かに急がないといけないが、話を聞いてくれ。これはもう魔王軍の作戦が始まっているから、こちらも計画的に行動しないといけない」
「そうね、何か作戦はあるのかしら?」
「まずは調査結果を聞いて欲しい」
ライムはみんなに語り掛けるように説明を始めた。
要約すると、魔王軍はオーガ5000体を編成していて、さらに魔王城の敷地の地面の下にオーガとゴブリンが、2000体程隠れて待機しているそうだ。
そして、ダンロッパは専属魔法団と結託して、何か企んでいる。
そういう状況の中、昨日の晩にオーガ5000体が、ベルリア学園とネスタリア学園に侵攻があった。
ネスタリア学園はケイトが率いる討伐隊と、ダンロッパとモリモンの討伐隊の一部のメンバーが、応戦中のことで、ダンロッパとモリモンは真っ先に逃げた。
恐らく、専属魔法団の拠点にテレポートしたと思われる。
この調査報告を聞いて一番、怒りをあらわにしたのはアルシアだった。
「魔王軍から人々を守らず、逃げるなんて酷いわ!」
「ああ、君たちがダンロッパの粛正に協力を求めてきた理由が、よく分かったよ」
魔王軍がすでに侵攻していたのは想定外だったが、当初の目的だったダンロッパ粛正にベルリア学園に協力してもらうのは、成功したな。
「ここから俺の見解になるが、一番大事な事だから聞いて欲しい」
ライムさんはみんなに注目させた。ここからが本題か?
「ダンロッパは恐らく、魔王軍の侵攻は想定内で、さらに俺達が協力して魔王軍を倒すことも計算していたと思う。つまり、魔王軍との戦いで疲弊したところを一気に攻めてくる可能性がある」
ということは、魔王軍倒してもバッドエンドかよ。つまり、どちらかが余裕で勝利しない限り、ダンロッパが勝つということか。
「魔王軍の作戦は恐らく、オーガの大群でこちらの魔力を削ぎ落としてから、幹部達が確実に主力メンバーを殺しにやって来るだろう。そして、作戦はもう始まっている。だから、こちらも作戦を実行したいと思っている。そこで君たちにも協力して欲しいんだが……その前に、カリバーその恰好は何だ?」
俺はずっとスルーしていたけど、ライムさんがツッコミを入れてくれた。異世界に着いたらこんな状況だったから、カリバーも言い出しにくかったんだろう。
「やっと聞いてくれたね。僕も遊びでこんな格好しているわけじゃないんだよ」
いや、遊びだろ!
「これには秘密があるんだよ。これを見て欲しい」
カリバーは鞄から、魔法で小さくしてあった物を元に戻し、みんなの前に見せた。
「それ本物か?」
俺は思わずそう聞いたが、カリバーが出したものはマシンガンだった。流石に和田さんも銃を持ち出す許可はしないはずだが。
「本物はね、許可が下りなかったけど、電動ガンならいいって言ってくれからね。これはBB弾と呼ばれる6ミリの玉を、魔力無しでも射程50メートルぐらい飛ばせて、さらに秒速15発で連射出来るんだ」
俺はまさか玩具で、魔王軍と戦うなんてふざけていると思ったが、みんなの反応は違った。
「それは凄いなぁ。オーガの軍団を蹴散らせるんじゃないか?」
「あたいもそれ欲しいよ」
ライムさんとメルリさんは、これをどう使えばいいのか分かっているようだ。どうせこれに魔力を込めて使うんだろう。
「僕がこの銃に魔力を込めて魔法弾丸にして使うよ。もう一丁あるから、ライム君が使うといいよ」
「おう! 俺の分もあるのか!? 早く試してみたいぞ」
「玉は2000発ずつあるからね。その代わりライム君も僕と同じ格好にしてもらうからね」
「その恰好も意味があるのか?」
「もちろんさ。銃を持つからには、この格好じゃないとおかしいからね」
この世界に特殊部隊の方がおかしいと思うぞ。
「僕とライム君で、オーガ5000体を倒そう、いや、無双しよう!」
ゲームの影響の凄く感じる。
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