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第169話 男に戻る方法

 無垢郎は男に戻る方法を発見したみたいだが、てっきり美少女になる方法を研究していると思っていた。だから、凄く意外だ。



「君は『変身魔法』で美少女になって、僕が作った薬品で固定された状態になっているんだ。何故君だけが成功したかは研究中だけどね。だから、今度は『魔法解除』を使って薬品を作ればいいのさ」


「魔法解除は最初に試したけど、失敗したから無理だろ」


「確かに、普通に魔法を掛けただけでは何も変わらなかったけど、それはもう固定されているからさ。だったら、変身魔法と同じ方法で解除魔法のドリンクを作れば、恐らく変身は解除されると思うんだ」


「うーん、そんなに上手くいくのか疑問だけど、やる価値はあるなぁ」



 まぁ、変身が出来たなら解除も出来るかもしれない。

 でも、成功したら真由の身体ともお別れになるんということか……。

 それはちょっと名残惜しいけど、戻りたい。



「じゃあ、試してみようか。ドリンクはどれくらいで完成するんだ?」

「1本だけもう完成しているけど、試すことは出来ない」

「はぁ? さっき出来るって言っていたじゃないか!?」

「そんな恐ろしい事はしたくないよ。君はまだミリたんから許可を貰ってないからね」

「うっ……」



 そうだった、なんか俺はミリちゃんの物だから、許可を貰わないと戻れないんだったー。



「君も分かっていそうだから、このドリンクを渡しておくよ。もちろん、自己責任だからね」



 そう言うと無垢郎は研究室に入り、そして、とても小さいな小瓶のドリンクを手にして戻って来た。

 


「じゃあ、これを君にあげるよ」

「うん、意外にあっさりと手に入ったな」

「これを作るのは難しいし、予算も掛かるから大事にしてくれよ。僕としてはこのまま真由たんでいて欲しいけどね。じゃあ、僕は仕事に戻るから」


「ああ」



 これを飲めば、男に戻れるんだよなぁ? もし、今戻ったら、ミリちゃんが『真由煩い』を発症して、この世の終わりが来るかもしれない。


 うーん、今はまだダンロッパと魔王の件もあるし、せめてこれらが片付いてからでも遅くはないだろう。


 無垢郎の奴め、俺がドリンクを飲まないと分かっていたから、簡単に渡したんだろう。俺だって本気をになったら、飲んでやるさ。


 うーーーーーん、やっぱりミリちゃんが怖いから無理だー。





 ――こうして、俺は男に戻ることはなく、いつも通り日中はアルシアと修行、家ではミリちゃんと過ごした。


 そして、東京に戻って一週間が過ぎた頃、俺とアルシアはいつものように修行を始めようとすると、突然ミリちゃんの護衛の一人の男がやって来た。



「すみません、アルシアさんと真由さんにミリちゃんからメッセージがあります」

「ミリちゃんから? なんだろう?」



 ていうか、組織の護衛だけど、すっかりお嬢様の執事みたいになっているなぁ。



「はい、本日バイト先である『メイド喫茶タルタン』に来て欲しいの事です」

「今から?」

「はい」



 「今すぐ来い!」という所がミリちゃんらしいなぁ。でも何でだろう?



「理由は分かるか?」

「はい、今日はイベントがるみたいで見に来て欲しいの事です」



 それなら、もっと前に言ってくれたら普通に行ったのに。多分、前々からイベントは告知していたけど、ミリちゃんがあんまり興味無かったんだろう。

 それでいざ始まってみたら、何かしらの興味を引いて、急遽呼び出したというところか?


 問題はその興味を引いた内容が、俺にとって害悪あるかどうかだ。

 まぁ、お店の企画だから客に変なことはしないと思うし、大丈夫だとは思うが……。


 でも、ミリちゃんがバイトする姿なんて想像付かなかったから、凄く興味はあるんだよなぁ。



「アルシアはどうする? 行くか?」

「そうね、ミリちゃんのメイド姿を見てみたいわね」



 アルシアはメイド姿に興味があるのか? ミリちゃんが労働する姿に興味はないのかな? 俺はそっちの方が興味あるけど。



「じゃあ、今日は修行を中止して、ミリちゃんの所に行くか?」



 こうして、ミリちゃんのバイト先のメイド喫茶『タルタン』に行くことになった。  

 しかも、組織の車で送迎だ。俺でもこんなことで組織を使ったら、和田さんに怒られるだろう。


 そして、お店の前までやって来ると扉の前で立ち止まった。


 

「なんじゃこりゃー!!」

「素敵ね。今日はお客さんもメイド、執事にコスプレ出来るみたいね」

「よし、帰ろう」

「駄目よ、そんな恐ろしいことしたら」

「うっ、その代名詞やめて」



 そもそも、俺にはミリちゃんの要求を拒否する権利は無かった。



「ここのメイドさんみんな可愛いから、真由も気にいると思うわ」

「何だ、ここに来た事があるのか?」

「以前、あいみと無垢郎さんとでね。でも、その後もあいみがハマって何回か一緒に行ったわ」

「なんかこの世界をエンジョイしているな」



 アルシアならこの世界でも、普通に生きていけるだろうな。でも、ここに初めて来た時のアルシアは心神耗弱していたはずだから、ここまで元気にしてくれたあいつらには本当に感謝しかないな。



「真由、心配しなくても誰でも出来るわけじゃないみたい。メイドさん達からの指名がないとコスプレ出来ないみたいよ」


「うーん、それでもあんまり状況は変わらない気がする」

「ふふふ、早く中に入りましょう」



 まぁ、イベントだから俺よりもっと可愛いお客さんもいるかもしれないし、可愛いだけが基準じゃないかもしれない。 


 それにアルシアがメイドになりたいぽいから、いざとなればアルシアにその座を譲ろう。それでミリちゃんには「ミリちゃんの働く姿が見たい」と言って切り抜けよう。



 ガチャ



「お帰りなさいませお嬢様!! お嬢様2名、コスプレ決定にゃーん!!」

「いきなりかよ!!!」

お読み頂き、ありがとうございます。


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