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第168話 ミリちゃんの恐ろしい陰謀

 ミリちゃんは俺の心境などお構いなしに、メイド服を脱ぎ始めた。



「おいおい!! それを着るのかよ!!」



 ミリちゃんは黙ったまま、淡々と脱ぎ始めた。少なくとも、ミリちゃんは俺の事を本当に女の子だと思っているのかもしれない。


 すると、あっという間にミリちゃんは下着姿になった。その堂々とした立ち振る舞いには、恥じらいなんてものは無い。



「ミリが着せてあげる」

「え? いや、いいよ、自分でやっ、ああ!」



 ミリちゃんは強引に俺の服を、無表情で脱がしにかかった。



「真由ちゃん、じっとして」

「もう少し丁寧にお願いします」

「ふんっ、ふんっ」

「痛てて」



 余程、早く着せたかったのか、ミリちゃんは無理矢理メイド服を俺に着せた。

 さっきまでミリちゃんが着ていたから、服が生暖かい。



「ふーん」

「今度は何?」



 ミリちゃんはまだ満足しておらず、何かが始まりそうだ。ていうか、いつまでこいつは下着姿のままでいるんだ?


 ミリちゃんは、一通りじっくり俺を眺めると、今度は飾り付を丁寧に取り付けていった。これはもう完全に俺を着せ替え人形にして遊んでいる。



 そして、30分ぐらい経過すると、ようやく俺は解放された。というより、ミリちゃんが別の興味を持ち始めたから、勝手に離れて行ったというところか。


 ようやく、自分が下着姿であることに気づいて恥ずかしくなったのかな? 

 うん、それは絶対にない。



「ミリちゃん、ちょっと鏡見てくるね」

「うん、ミリは真由ちゃんのために頑張る」

「何を?」



 何を頑張るのか知らないが、せっかく解放されたんだ、余計なことを聞いて拘束されるのは嫌だし、俺は自分の姿がどうなっているのかも気になる。

 まぁ、大体想像はつくが、かなり可愛いことになっているんだろう。


 うーん、こうやって自分の姿を確認しに行くのは、初めて美少女になった時の朝を思い出すなぁ。

 よし、あの時にみたいに鏡を見ないで洗面台に立とう。


 あの時は本当に衝撃的だったが、今回はもう大分真由に慣れたから、そこまで驚かないぞ。


 俺はゆっくりと顔を上げ、目を開いた。



「俺、かわええぇぇぇーーー!!」


 

 いやいや、これはマジでヤバいな。無垢郎が見たら出血死するだろう。

 やっぱり、真由は可愛いんだよな。特にこの猫耳と首元に大きなピンクのリボンが可愛い。


 もしかしてミリちゃんは、アニマル系にハマっているのかな? それで自分だけじゃなくて、俺にも着せる為にもう一着手に入れようとしているのでは? 

 さっき「真由ちゃんのために頑張る」って言っていたし。

 

 でも、そんな事したらミルネも欲しがるんじゃないか? まぁ、そうなったら俺のを上げよう。


 さてと、そろそろ戻るか。

 俺が部屋に戻り、ドアを開けるとミリちゃんは下着のまま、両手をひらひらと動かして、目を閉じたり開いたりして、よく分からん動きをしていた。


 

「ミリちゃん、な、何やっているの?」

「真由ちゃんを完全に女の子にする」

「なっな、なにーーーー!!?」



 完全に女の子!? どういう事だ!? 見た目はもう完全に女の子だから、中身もってことか!?



「いやいやいやいや、ミリちゃんどういう事!?」

「真由ちゃんの記憶をデザインする」

「それって、男である記憶を女の子だったという事に捏造する気なのか?」

「そう、もうすぐイメージが完成する」



 おいおい、冗談じゃないぞ!! そんな事したら、俺は一体どうなる!? 

 とういうか、あれこれ悩む前にミリちゃんを止めないと! 完成したら躊躇なく魔法を放って来るぞ!



「ミリちゃん、ストップー!!」

「駄目、デザインする」

「ちょっと待って!! ミリちゃん、そんな事したら、ミリちゃんとの記憶も無くなるかもしれないよ。それでもいいの?」


「いや」

「でしょう? ミリちゃんとの出会う前から、男の記憶はあるんだから、そこを変えたらどうなるか分からないよ」



 俺が、そう言うとミリちゃんの変な動きが止まった。



「なんで、また記憶を捏造しようとしたの?」

「無垢郎が教えてくれた」



 やっぱり、あいつの影響か! 本当に軽はずみでそういう事を言わないで欲しいね。



「他に何か言って無かったか?」

「『今日、実行するといいよ』って、言ってた」

「それで早く帰って来たのか」



 無垢郎めっ、あいつはもう敵だな。いや、敵というよりミリちゃんの奴隷、下僕と考えた方がいいかもしれない。

 

 じゃあ、実は女の子だったという冗談は、ミリちゃんの計画に協力する為に言ったのか? 


 もしそうだったら、俺が女の子だった説の信憑性は無くなったな。

 はぁー、なんか急に疲れたぁ。



「真由ちゃん、遊ぼう」

「まずは服を着なさい」



 何故か服を着ない感じだから、このまま風呂に入ってもらう方がいいか。



 うーん、なんかミリちゃんの世話係みたいになってきたが、メイド服のお陰で余計そんな気がしてきた。


 

 

 ――翌日、いつものように組織まで一緒に行き、ミリちゃんはバイトに向かい、俺は修行の時間まで無垢郎の部屋にいた。


 

「時間までゆっくりしていくといいよ。僕は仕事に戻るからね」

「ちょっと待てー!!」

「何だい?」



 昨日はあんな事があったのに、無垢郎はいつもと何も変わらない。

 それどころか、その話題すらしない。



「昨日、ミリちゃんに記憶を変えられそうになったけど、お前が仕組んだだろー!」

「うん、そうだよ。僕はミリたんを裏切れないからね」

「ふんっ」

「ゲホッ、う、いい」



 素直に認めたのはいいが、なんか腹が立つから一発殴っておいた。でも、顔が喜んでいいるから気持ち悪い。



「お前がミリちゃんを裏切れないのは分かるけど、俺を裏切ってまでする事なのか?」

「確かに君を裏切ったかもしれない。でも、僕も精一杯、ミリたんを裏切らない形で君に注意をしたんだよ」


「もしかして、あの冗談か?」

「そうだよ」

「ふんっ」

「ぐぇっ、い、いい、かなりいい」



 咄嗟の言い訳か、本当にそうなのか分からない。でも、ミリちゃんの奴隷というのは変わりはない。



「それじゃあ、あの良い知らせも嘘なのか? 俺を男に戻す方法も」

「あれは本当だよ」

「信じていいのか? もし嘘だったら、ミリちゃんがお前のことを嫌いになるように、色んなことを吹き込むぞ」


「誓うよ! だから、そんなことは絶対にしないで!!」

「とりあえず、信じてやる。それで方法は?」



 この脅しに屈しないという事は、本当の事みたいだな。

お読み頂き、ありがとうございます。


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