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第164話 ミリちゃんとお風呂

 ミリちゃんが風呂に入りたいと言ってきたが、流石に一緒に入るのは不味いだろう。



「風呂より、魔法のクリーンでいいんじゃない?」

「真由ちゃん言った、この世界で魔法は駄目って」



 確かに言ったけど、外出の時の話だぞ。いや、待てよ。

 ミリちゃんはここにいる間は魔法は使わないって事は、拘束魔法を俺に掛けたりしないって事だよな? 

 それなら、ここはそういう事にしといて、お風呂を何とかした方が得策だ。



「分かったよ。けど、魔法を使わないという事は、俺に拘束魔法掛けたりするのも駄目だからね」

「……」



 なんか凄い不満そうだが、首を縦に振った。



「忘れてないと思うが、一応断っておくぞ。今は見た目は女の子だが、本当は男なんだぞ。それでも一緒に入りたいか?」


「真由ちゃんは可愛い女の子」

「いや、だから」

「大丈夫、ミリが何とかする」

「何とかって何!?」



 出来れば何もしないで欲しいなぁ。ミリちゃんはいつも斜め上を行くから怖い。

 けど、ここでは魔法は使わないって言っていたから、大丈夫だと思うけど。



「お湯を張るからちょっと待って」

「うん」



 とりあえず、俺はミリちゃんから自然に離れる事が出来た。そして、お湯張りのボタンを押して、湯が張るまでの時間、浴室で考える時間を得た。


 ミリちゃんはまだ子どもなのか? もし、俺が男に戻れた時に自分の裸を見られたら、後からショックを受けると思うから、あまりそういう事はしたくない。 


 やっぱり、水着を着てもらうのがいいか? でも、あいみの家に置いたままだから持ってない。魔法を使わないって言っているから、デザイン魔法で水着にするのも無理だ。ん? てか、あいみの家では普通に使ってるじゃないかー。


 うーん、ミリちゃんが魔法を使わないというのを、あんまり過信しない方がいいな。

 とりあえず、タオルを巻いてもらおうか。


 

 ――そして、お湯はりの完了のメロディーが鳴ると、俺はミリちゃんを呼んだ。すると、ミリちゃんはすぐに俺がいる脱衣所にやって来た。



「ミリちゃん、服を脱いだらこのタオルを巻いてね」

「駄目、真由ちゃんに脱がしてもらう」

「自分で脱げよ」

「……」

「じ、じゃあ、後ろ向いて、万歳してもらおうか?」



 そんな目で見られたら断れない。でも、完全に俺に甘えているなぁ。



「駄目、このまま」

「向かい合ったまま脱がすのかよ!」

 

 

 まさか、わざとそういう事しているんじゃないだろうな? 



「分かった。脱がしてあげるから、大人しくしろよ」

「うん」



 俺はあんまりミリちゃんを見ないように服を脱がせ、下着姿になった。



「後は、自分で脱げるよな?」

「駄目、最後までやるの」

「おいおい、流石にそれは無理」

「真由ちゃんがやるの」



 そんな事したらモロ見えだぞ。でも、この様子だと断れ切れないだろう。ここは嘘でもいいから、適当に言い包めよう。



「ここの世界にはねぁ、一人でパンツも脱げないような子には怖い妖怪に襲われるというお話があるんだよ」



 どんな妖怪やねん!

 

 自分で言ってなんだが、下着姿の女の子襲う妖怪って、ただの変態だからな。



「ミリが倒す」

「うん、倒しそうだな」



 ミリちゃんが最強だというのを忘れていた。



「その、あの、一緒に入るなら、俺も脱ぎたいし、そう、ミリちゃん一人で入るのは嫌だろ?」

「いや」

「じゃあ、自分で脱ぐしかないね」

「分かった」



 全然理屈が通ってない話だけど、それっぽくしてみたら上手くいったなぁ。これで何とかなりそうだ。

 俺は服を脱ぎ始めると、その様子をミリちゃんがずっと見ていた。しかも、少しかがみ、パンツの両側を持ったまま、少し下した状態だった。


 この中途半端に下している感じがエロい。脱ぐならさっさと脱げよ。そんな状態で見られながら脱ぐのは、こっちもなんか恥ずかしい。



「真由ちゃん、顔が赤い」

「やかましっ、なんで脱がないんだよ」

「真由ちゃんが先」

「じゃあ、先に脱いで、タオルを巻いた方が勝ちなっ。勝ったらナデナデしてあげる」

「分かった」



 どんな勝負だよ! ガンマンの早撃ちじゃあるまいし。しかし、この勝負、俺が勝つだろう。ミリちゃんは着替え自体に慣れてないだろうからな。



「よし、行くぞ!」


 

 ササッ



「ミリの勝ち」

「なんでそんなに速いんだよ!!」



 ミリちゃんが速かったのは意外だった。こういう下らない勝負も意外に強いのかもしれない。


 

「真由ちゃん、ナデナデして」

「分かった、ヨシヨシ。じゃあ、入るよ」



 俺は頭を撫でながら、ミリちゃんの背中を押しながら浴室へと入った。



「ミリちゃんの髪洗ってあげるから、そこに座って」

「うん」



 ミリちゃんは大人しく椅子に座った。ミリちゃんに変な事を考えさせないように、こちらが淡々とこなしていく方がいいだろう。


 俺はサラサラしたミリちゃんの髪を、頭皮を軽くマッサージするように洗うと、気持ち良さそうにしていた。そして、この隙に自分の髪も大急ぎで洗い、シャワーでミリちゃんの髪を流しつつ、俺の髪も流した。


 

「次は身体を洗うよ。ほら、この泡凄いでしょう? この泡立てボールで洗うといいよ」



 ミリちゃんは泡に興味を持ったみたいで、俺の言う通りに自分の身体を洗い始めた。

 作戦は成功だ。


 俺はその隙にタオルで洗おうと思った瞬間!



「ふんっ」

「えっ!?」



 突然、ミリちゃんは自分に巻いていたタオルを外し、さらに俺の巻いていたタオルまで外した。身体を洗うから仕方がないけど、何故俺のまで外す!?



「真由ちゃんのも洗ってあげる」

「それは遠慮しておきます」

「……」

「分かったから、魔法禁止!」



 なんか拘束魔法を打ってくる時のジト目になったから、咄嗟にOKしてしまったが流石に不味いよな。



「背中だけでいいからね」

「駄目、全部」

「全部!? っておい!」



 ミリちゃんは手のひらに泡を一杯付けて、直で洗おうとしてきた。

 これで全部洗うのか!? 



「真由ちゃん、動いたら駄目」

「い、いやー、それはNGです!!」

お読み頂き、ありがとうございます。


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