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第160話 下着姿のお見舞い

 もしかして、着替え中だったか? でも「どうぞ」って言っていたのに。

 女の子同士だからかな?

 

 でも、いくら女の子同士でも客人に下着姿は見せないだろう。

 もう少し待ってから入るか。


 俺がそう思った瞬間ドアが開いた。



「何で外に出るんだよ! あんた、お見舞いに来てくれたんだろう? 中に入りなよ」

「あ、はい」



 そう言いながら出てきたのは、Sランクのメルリさんだった。しかも、黒の下着姿で異世界のような地味なものではないから、こっちのものだと思う。

 い、いや、じっくり観察したわけではないけど……。


 部屋の中には、病人でSランクのオリンさん、付き添いでAランクの女の子が2人、そして、メルリさんだ。問題は、オリンさんを除く3人は何故か下着姿という事だ。



「着替え中なら、出直すけど……」

「遠慮するなよ。着替えているわけじゃないから」



 じゃあ、何やっているんだよ!



「あたい達、見せ合いっこしてだけだから」

「へ?」

「アルシアがこの世界の服をみんなにプレゼントしてくれたんだ! 本もあるぜ! この世界の服はデザインが凝っているなー、しかも魔法を使ってないんだろ? スゲーな!」



 そうか、アルシアがこっちの服をプレゼントして、テンション上がって見せ合いになったのか? うーん、なるのか? ていうか、アルシアは優しいなぁ。



「下着までこだわるなんて、スゲーな! 真由も下着みせなよ」

「うん……えっ!?」



 おいおい、女の子になんちゅうことを言うんだよ!


 

「嫌です」

「そう言わずにちょっとだけ? いいだろう」

「駄目です」

「全部脱がなくてもいいからさ。ね? ね?」

「メルリ!」



 この状況を見かねたのか、オリンさんがメルリさんに注意した。



「嫌がってるから、止めなさい」

「分かったよ」

「それと、早く服着なさい。えーと、名前は真由ちゃんだったよね? ごめんなさいね」

「慣れてますから、お気になさらず」

 


 オリンさんとメルリさんは討伐隊長でありながら、親友でもあるのかな? 仲が良さそうだ。でも、性格は正反対な感じだな。年齢も真由はもちろんのことアルシアより上だろう。



「まだお礼を言ってなかったね。私を助けてくれてありがとう。この御恩は決して忘れない。本当にありがとう」


「いやー、そんなに改められると恥ずかしいなぁ」

「あたいも感謝しているよ」



 オリンさんとメルリさんだけでなく、Aランクの女の子達も頭を下げた。下着姿だけど。

 


「そう言えば、まだちゃんと紹介していなかったよね。私は『エイルテック討伐隊』の隊長、Sランクのオリンです。そこの2人は同隊員のAランクで、ピンク色の下着の子がルシア、黄色の下着の子がロネ」



 どんな紹介の仕方やねん!!



 ルシアもロネはアルシアと同年代ぐらいかな? 2人とも真面目そうで大人しい感じだ。それだけに、下着姿のままだと、なんかこう背徳感があるというか……うん、早く服着たらいいのに。




「メルリはもう知っているのよね」

「はい、俺じゃなくて、私は討伐隊『ラビットちゃん』の隊長、Cランクの真由です」

「噂で聞いていたけど、こんな可愛い女の子だと思わなかった。これからはよろしくね」

「はい、こちらこそよろしくお願いします。ところで、身体の調子はどうですか?」



 部屋に入った瞬間から、想定外の事が起きていたせいで、肝心なことを聞いていなかった。



「ええ、おかげさまで。三日後に魔力を復活させる手術をすれば、終わりみたいね。魔力が復活するなんて、本当に奇跡ね。復活出来れば、真由ちゃんに協力するからね。話はアルシアから聞いたから」


「おお! あたいも協力するぞ! 」

「まず、服を着なさい」



 おお! この2人が協力してくれたら、ダンロッパを倒せるかもしれない。これは心強い。これで魔王軍も倒せたら、ハッピーエンドになりそうだ。


 しかし、魔王フィルリアルは強過ぎる上に、正体が児玉結菜という幼い女の子だから、倒さずに救い出さなければならない。この事実を隠して上手くいけるだろうか?


 それが解決の糸口が見えない悩みの種だ。



「真由が着てる服いいなー! あたいもそんな感じがいいなー! どれあれだろうー!? ロリギャルって言うやつだろ?」


「ロりは要りません! でも、メルリさんなら、ギャル系は凄く似合うと思いますよ」



 メルリさんは、昔にあった卵雑誌に載っていそうな黒ギャル系って感じだからね。まだ外出許可が下りてないから、買い物には行けないけど、アルシアが買って来るのかな?



「そうか!? 真由に言われると嬉しいぜ! ライムもそう思ってくれるかな?」

「メルリさんなら大丈夫だと思うよ」

「お、おう。でも、真由には負けないぜ!」

「負けでいいですよ」


 

 メルリさんって、ベルリア学園のトップのライムさんの事が好きなんだよな。それで、ライムさんは真由に気があるみたいな態度を取るから、ややこしくなるんだよ。正直、この2人が上手くいってくれたらいいのに。




 ――こうして、暫し談笑した後、俺は部屋を出た。結局、彼女たちは服に着替えないままだったから、ドアの開け閉めは気を使ってしまったぞ。


 メルリさんも大分元気そうだし、アルシアが積極的に世話をしているみたいだから、こっちの世界の事も詳しくなっているみたいだ。



 そして、俺はアルシアとの約束までの時間を適当に潰して、一応服も着替えた。

 流石にギャル系で修行するのは変だからな。やっぱり、魔法の事なら向こうの世界に合わせて、学園の制服を着るのが相応しいだろう。


 しかし、俺の制服はミリちゃんによって、水色のゴスロリみたいな服にデザインされたので、これが俺の制服になる。


 うーん、ますます不向きになっているような気がするが仕方がない。ミリちゃんに逆らって、別の服を着るなんて、俺には無理だ。ここで色んな魔法を覚えて、少しでも対応出来るようになればいいんだが。


 とりあえず、基本的な魔法は出来るようにならないと。


 まずは、拘束魔法を攻略しないとな。真由の身体を守る第一歩はこれだ。これをアルシアに教えてもらおう。


 でも、この魔法を教わるということは、アルシアに拘束魔法を掛けられるという事だよな? また前みたいにガチガチにやられても困るなぁー、うーん。

お読み頂き、ありがとうございます。


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