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第159話 ミリちゃんのバイト

 ミリちゃんは今日からバイトに行くらしいが、どういう事だ? 昨日、何があった!?

 そもそも、ミリちゃんにバイトなんか出来るのか!?



「ミリちゃん、バイトってどういう事?」

「可愛い服着て、甘いものを食べるバイト」

「どんなバイトだ!」



 これは何かを勘違いしているパターンかもしれない。無垢郎が来たら、昨日何があったか教えてもらう。ミリちゃんに説明してもらっても、永遠に分からないような気がするからな。



 ――そして、暫くすると、無垢郎とカリバーが部屋に入って来た。



「やぁ、来ていたんだね。2人とも可愛いよ」

「朝から仕事は辛いよ」


「へぇー、カリバーも仕事だったんだ。どんな仕事?」

「ミリちゃんのバイトを護衛とサポートする為の打ち合わせだよ」

「なんじゃそりゃー!?」



 ミリちゃんのバイトって、組織上げてやるのかよ。どんなバイトか知らないが、組織の人件費の方が絶対高いと思うぞ。



「それで、ミリちゃんはどんなバイトするんだよ?」

「それは僕が答えるよ」



 無垢郎が説明してくれるみたいだ。



「僕がよく行くお店のメイド喫茶『タルタン』で、バイトすることになったんだよ。それでさっき、サポートと護衛の段取りを確認していたんだよ」


「それでカリバーも、巻き込まれたというわけか」

「僕は、現場に行かなくていいらしいけど、いざという時の為に、テレポートで駆けつけるようにしておかないといけないんだ」



 あの『魔動石』を使って、テレポートするんだろう。組織の人間も10人ぐらいは必要だし、和田さんもよく承諾したよな。まさか、ミリちゃんの前では断れなかったわけじゃないだろうな?



「でも、何でバイトする流れになったんだよ?」

「それは……」



 回答に無垢郎が困ると、ミリちゃんがドヤ顔で答えた。



「可愛いから」

「は?」

「真由ちゃんにあげる」

「うーん」



 説明になってないが、ミリちゃんがバイトする理由は大体分かった。あのメイド服が欲しいだけだろう。 


 推測だが、メイド喫茶に行った時に、ミリちゃんがメイド服を欲しがったけど、当然ながら売り物ではないから断られた。それで納得するミリちゃんではないから、無垢郎が話を付けてバイトをすることにして、制服貸与という形で落ち着いたんじゃないか?


 ミリちゃんみたいに可愛い子なら、お店側も大歓迎だし。まぁ、ミリちゃんが高校生に見えないけど、その辺りは無垢郎が身分証を作成して、何とかするだろう。


 そして、ミリちゃんはメイド服を持ち帰って、デザイン魔法で別の服で再現する。そうやって出来た服を俺に着させる事を企んでいるというところか。


 うーん、俺も大分ミリちゃんの行動が分かって来たかもしれない。


 でも、俺とミルネ、アルシアはこの2週間は修行に励むのに、ミリちゃんはバイトって……。


 いや、ある意味では合理的かもしれない。

 ミリちゃんは最強だから修行する必要はない。逆に、バイトで社会のルールや人間関係を学ぶ方が、ミリちゃんにとって必要なことじゃないのか?


 それなら、みんな有意義に過ごせるんじゃないか? 但し、俺がこのバイトに巻き込まれなければだが。



「ミリちゃん、バイトは何時から何時までするの?」

「ミリがしたい時だけ」

「自由過ぎるだろ! よくそれで面接受かったなぁ」

「それだけミリたんが可愛いっという事だよ。間違いなく人気者になると思うよ」



 一応、組織に関わっている以上、人気になるのは不味いと思うが……。



「真由ちゃん、行って来る」

「え?」

「バイトに行く」

「ミリたん! ちょっと待って! ちょっと準備させて欲しい」

「駄目、行くの」



 ミリちゃんはバイトに行く気満々だけど、周りのスタッフが用意出来ていないみたいだな。



「ちょっと!! ミリたーん!!」

「あっ」



 ミリちゃんは部屋を出て行ってしまい、無垢郎が慌てて追いかけて行った。これはもしかして、巻き込まれないで済むかもしれない。


 ミリちゃんの事だから、俺と一緒に行こうって言いそうだからなぁ。でも、油断出来ないが。



 ――こうして、俺は、カリバーがゲームをしている中、ミリちゃんが舞い戻って来ることに警戒しつつ休んだ。


 そして、ミリちゃんが出て行ってから1時間ぐらいした時、アルシアが部屋に入って来た。



「真由、カリバーさんおはよう」

「ああ、おはよう」

「アルシア君、おはよう」



 アルシアは一仕事終えたような感じだな。



「真由、昨晩は突然押しかけてごめんなさいね」

「いいよ別に。あーしないと、また前みたいに真由煩いになっても困るしね」

「ふふふ、ありがとう。真由、今日の午後から空いているかしら?」

「うーん、空いているというより、何にも無いなぁ」



 真由になってから、こっちでは仕事は無さそうだし、このメンバー以外の人間は真由を知らないから交流も無いしな。



「それなら、午前中にオリンさんのお見舞い行って来たらどうかしら? 今は大分落ち着いたみたいだし」


「そうなのか? それなら行ってみるよ。それで、昼からは何をするの?」

「前に魔法を教えて欲しいって言っていたでしょう? 和田さんにお願いしたら、帰る時まで場所も借りれそうなの。だから、真由の魔法の練習に付き合うわよ」


「えっ!? いいの!? それは是非ともお願いしたい」

「決まりね」



 アルシアの方から誘ってもらえるとは、思っていなかった。俺も、魔法を使えるようにならないと、この先絶対ヤバいからな。

まずは、拘束魔法に掛からないようにしたいね。これは今日にも役に立つからな。



 こうして、昼からアルシアと魔法の練習を約束して、アルシアは部屋から出て行った。そして、俺は昼までの間、オリンさんのお見舞いに行くことにした。


 オリンさんの病室は、集中医療室から個室のベッドに移されているみたいで、以前アルシアが使っていた病室と同じらしい。


 病室の前には、組織の人間がオリンさん達を見張っていた。まぁ、ベルリア学園の人達は、悪い人ではないと思うが、まだ完全に信用するのは早計という判断だ。

 でも、この先の共闘次第で評価は変わるだろう。


 俺は見張っている組織の人に軽く挨拶をして中に入った。この人は、俺が杉田浩二だと知っているかどうか分からないが、真由がここの関係者であることは知っているようだ。そうじゃないと、中に入れないしね。


 俺はノックをして声を掛けた。すると……。



「どうぞ」



 誰か分からないが「どうぞ」と返事があったので、俺は中に入った。



「失礼しまっって!! えーー」



 何故か分からないが、病人のオリンさん以外の女の子がみんな下着姿になっていて、俺の方を見た。



「し、失礼しましたーー!!」



 俺は思わずドアを閉めてしまった。

 

 どうなってるんだよ!?

お読み頂き、ありがとうございます。


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