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第150話 タコパ

 急遽、ミルネの剣術の修行が明日に決まったみたいだ。でも、ここに居られるのが2週間程なので、その方がいいかもしれない。



「それで、今日はあいみの家でタコパやろうという話になったの」

「タコパか……いいなぁ。全員揃うのは今日だけかもしれないからいいんじゃない?」

「私達は買い出しに行って来るから、19時ぐらいに家に来て」

「ああ、任せて悪いな」



 まだ時間はあるけど、余裕持って行動しないと、ミルネとミリちゃんなら遅くなりそうだからな。



「カリバーさんも無垢郎さんも、買い出し手伝ってもらうからね」

「「えーー」」



 2人とも面倒くさそうな感じだな……。いや、厳密に言うと、無垢郎はミリちゃんとここに居たい感じで、カリバーは言うまでもなく、ゲームを続けたいようだ。


 でも、アルシアはあいみと一緒に買い出しに行きそうだから、俺とミルネとミリちゃんだけになりそうだな。



 こうして、あいみに引っ張られるような形で、無垢郎とカリバーは連れ出され、アルシアは俺に一声掛けて出て行った。


 なんか、あの4人仲がいいなぁ。


 

 俺も買い出しを手伝っても良かったんだが、気を使ってくれたのかな?

 それとも、ミリちゃんの面倒を見て欲しいという事かな?


 一応、18時半から組織の方で車を用意してくれるみたいだ。これは和田さんの方から、ミリちゃんがトラブルを起こさないように用意したものだそうだ。


 よし、まだ時間があるし、ゆっくりしよう。

 ていうか、いつになったらミリちゃんは噛むのを止めてくれるのだろう?




 そして、時間になると部屋をノックする音が聞こえた。

 俺は寝てしまったようだが、お迎えの人がやって来たみたいだ。それにしても、膝がやけに重い。まるで誰かが乗っているみたいだ。


 これはもしかして!?



「げっ!! ミリちゃん!」



 ミリちゃんが、俺の膝の上に乗って、股で挟んで抱きついていた。



「ちょ、ミリちゃん、降りてくれ。今からあいみの家にいくから……あ、いや、その」



 ミリちゃんが目を覚ますと、いつものジト目で、さらに今回は上から目線でいつもより怖い。



「いや、何もないです。ごゆっくり~」



 思わずそう言ってしまうと、ミリちゃんはゆっくりと目を閉じて、俺をぎゅっと抱きしめた。

 これはもしかして、この状態で運ばないといけないのか?


 はぁー。


 でも、いつまでも迎えの人を待たすわけにもいかないから、やるしかないか。

 あとはミルネ起こさないと。


 うーん、ミルネがいない!?


 あ、床に転がっているわ。

 このまま、蹴って転がしていくか。


 

 俺はミリちゃんを抱えながら、ミルネを起きるまで蹴り転がし、車に乗ってあいみの家まで向かった。

 車に乗るとミルネは目を覚ましたので、明日の剣術の件を話しておいた。

 恐らく、厳しい修業になりそうなのに、ミルネは喜んでいた。


 そういうところは真面目なんだよな。

 

 そうしていると、あいみのマンションに到着し、俺はミリちゃんを抱えながら、あいみの部屋まで行った。  

 これはかなりの重労働だぞ。


 そして、チャイムを押すとあいみが出迎えてくれた。



「いらっしゃ……真由ちゃんとミリちゃって、本当仲良しだね」

「仲良しだからって、こんな事しません」

「マユリン、あたしにもやってよ」

「やりません」



 もう、買い出し組が先に帰っていて準備をしていてくれているみたいだが、別に遅くなったわけではないけど、なんか今日は疲れたから助かる。



「真由たんとミリたん最高ー!! 欲しい」

「真由君大変だね。準備はあいみ君とアルシア君がやってくれるみたいだよ」



 相変わらず無垢郎は、ミリちゃんに興奮しているし、カリバーはスマホでゲームをしている。

 あいみの部屋は12畳ぐらいで、テーブルを囲むようにソファーがあり、たこ焼き器がスタンバイされていた。



「マユリン、綺麗なお部屋だね。寮とは大違いだよ」

「最初、監獄かと思ったわ」



 それにしても、ミリちゃんが重い……。

 俺はミリちゃんをソファーに置いた。あとはゆっくりフェイドアウト出来たらいいが。



「無垢郎、ミリちゃんが好きそうな物とかないか?」

「はぁ、はぁ、ふぅー。今、持ってくれば良かったと後悔してるところだよ」



 という事は、たこ焼きが出来るまで待つしかないな。



 そして、暫くするとアルシアとあいみが、生地や具材等を持って来た。なんか手馴れている感じがするから、一回やった事がありそうだな。



「お待たせー」

「ちょっと、カリバーさん、ゲームは終わり!」

「ああ、分かったよ。あいみ君」



 みんなは、手際よくテーブルの上を片づけて、生地を焼いていき、各々具材を入れていった。

 うーん、このメンバーで一回やっているだろう。アルシアもカリバーもこの世界にすっかり馴染んでいるな。


 俺も参加したいが、ミリちゃんが邪魔で出来ない。これはまるで拘束魔法を掛けられているみたいだ。それを察してみんなはどの具材がいいかを聞いてくれる。


 うーん、やっぱり俺はミリちゃんのものなのかな? ははは……。


 

 そして、暫くすると香ばしい香りが漂って来た。これでミリちゃんが動き出すことを期待したんだが、まだ離れてくれない。



「はい、出来たよー」



 あいみが小皿に何個か乗せて、俺に渡してくれた。すると、それに反応したのかミリちゃんが突然その皿を俺から取り上げ、たこ焼きにささった爪楊枝を持った。



「真由ちゃん、ミリが食べさせてあげる」

「いいわ! 自分で食べるわって! あっちー!!」



 出来立て熱々のたこ焼きを、ミリちゃんは無理やり俺の口の中に入れてきやがった。ミリちゃんってやっぱりドSだよね?



「2人ともいつもそんな感じなの?」

「マユリンとミリちゃんは、いつもそんな感じだよ」

「ち、違うわー!」

「ミルネちゃんにもあげる」

「うん、あたしも欲しい」



 おお! ミリちゃんの方から降りて、ミルネの方に行ったぞ。今のうちに俺も移動しよう。

 俺はカリバーの隣に座り、ミリちゃんに再び飛び付かれないように対策した。



「真由君も大変だね」

「せっかく、帰ってきたのにやってる事が、向こうと同じだからな」

「はっはっはー、向こうの生活はどうだった?」


「魔力至上主義で、慣れるのは大変だったぞ。あと、ダンロッパが腹が立つ。あいつに何回殺されかけたか。カリバーが元トップだったら、あいつを何とかして欲しかったぞ」



 なんか仕事の愚痴を言う感覚で言ってしまったが、言葉通り本当に殺されかけたから笑えない。



「それは大変だったね。僕がトップでやっていた時は大人しかったから、そんな風になるとは思わなかったね。当時は魔王軍討伐で忙しかったしね」


「実はその頃から、自分が世界のトップになる事を考えていたんじゃないのか? ただ、タイミング狙っていただけで」


「まぁ、異質な感じはあったからそうかもしれないね。どちらにしても、君やアルシア君にした事は許される事ではないから、魔王軍の件が片付いたら何とかしないとね」


「うーん、魔王軍とも同時進行で考えた方がいいかもしれない」

「それは大変だね。僕も調べて――」



 その時、アルシアが持っていたスマホの着信音がなった。

 というか、スマホ持っていたのかよ。相手は和田さんのような気がする。


 そして、電話を終えるとアルシアは申し訳なさそうに話しかけた。



「ごめんなさい。和田さんからで緊急の任務が入ったみたいで、至急組織に来て欲しいと」

「本当に任務って、場所と時間を選んでくれないからな。今日はゆっくりしたかったけど、そうは言っていられない」


「真由はいいみたいよ。呼ばれたのは、私とカリバーさんと無垢郎さんだから」

「えーー」



 ていうか、アルシアは任務もやっているのか!? 確かにアルシアは優等生だから、それも可能かもしれないけど、何となく俺の仕事を持って行かれそうな気がする。



「せっかくのタコパだったのに、残念。作り置きしておくから、頑張って来て」

「僕はもっとミリちゃんと居たかったー」

「最近、僕も駆り出されるんだよね」



 なんかアルシアが和田さんの信頼を得たから、ついでにカリバーもって感じなのかな? 少なくとも俺が異世界に行く前は、和田さんは疑っていたもんな。


 とりあえず、3人も抜けたらお開きになるかな。


 アルシアはあいみの家に泊めてもらっているみたいだから、ミルネとミリちゃんも面倒みてくれないかな?



「あいみ、今日この2人を泊めてやってくれないかな? 俺は帰るし」

「何言っているの? 真由ちゃんも一緒に泊めてあげるから」

「俺はいいよ」



 久しぶりに家に帰ってみたいんだが。



「駄目、真由ちゃんはミリと一緒」

「そうだよ、マユリンも一緒に泊まろうよ」

「2人とも少しは、あいみに遠慮しろ」



 仕方ない。あいみのご厚意に甘えるとするか……いや、待て!!



「じゃあ、真由ちゃん、たこ焼き食べたらお風呂に入って来る? しっしっしー」



 このメンバーヤバくないか!?

お読み頂き、ありがとうございます。


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