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第149話 当事者が語る2年前の真相

 俺はカリバーに、2年前に起きた魔王軍との戦いの話を聞いた。



「その言い方だと、もう結構知っているみたいだけど、何を知りたいんだい?」

「そうだな、魔王フィルリアルの事とカリバーがここに来た理由かな」


「その名前を知っているのなら、答えは簡単だよ。魔王フィルリアルは突然現れて、戦局が一気に変わって敗北したんだ。その後、僕はネスタリアには戻らず、フィルリアルの魔力痕跡を調べて、ここにやって来たんだよ」



 確かに簡単な答えだ。



「じゃあ、マリさんはどうなった? 一緒に居たんだろう?」


「マリ君は、ミリちゃんを身を挺して守りながら、最後の魔力を振り絞ってテレポートで脱出したんだ。でも、魔王フィルリアルもテレポートして、追いかけて来たみたい……。もう誰もテレポートする魔力が残っていなかったから、助けに行けなかったんだ。ここからは想像になるけど、ミリちゃんは何とか守ったみたいだけど、限界以上に魔力を使い果たしたマリ君は、抵抗出来ずに魔王の精神支配を受けたと思う」


「そうか……」



 俺は、膝の上で気持ち良さそうに眠るミリちゃんの髪を撫でた。

 確か、ミリちゃんは魔法アニマよって、命を与えられたヌイグルミ『デイジー』が居たが、それも目の前で死んでしまっている。


 そして、その直後にお姉さんとの別れ……。恐らく、あの魔王からミリちゃんを守ったわけだから、マリさんは命を捨てるぐらいの無理をしたんじゃないか?


 本当に辛かっただろう。


 マリさんも魔王軍から助け出したい。



「うーん、それでここに来て魔王フィルリアルの事は分かったのか?」

「ここにテレポートで来たのは間違いないというだけで、他は分からないね」

「もしかして、魔王フィルリアルはここから誕生したの?」


「それは無いと思うよ。ここの世界は、全般的に魔力が弱いから、ここからあんな魔力の化け物が誕生するとは思えないよ。だからここに来たのも、偶発的なものじゃないのかな」



 そうなると、魔王フィルリアルの黒魔パーティクルは、寄主を探しにここに来たのかな? いや、結菜ちゃんは普通の日本人だし、わざわざここまで来てという疑問が残る。


 偶発的にという事なら、他にも色々な所にも行ってここに辿り着いた可能性もある。そして、ここに来て黒魔パーティクルは、結菜ちゃんを寄主にして戻って行った。


 つまり、この世界に興味を持ったから、ここの人間に寄生したんじゃないのか?


 初めて、魔王フィルリアルと会った時は、結菜ちゃんの意思は完全に無かったのに、ミリちゃんに興味を示さず、真っ直ぐ俺の所に来て、色々質問をして来た。

 まるで俺が何処から来ていたか知っていたように。


 もしかしたら、結菜ちゃんの知識だけはあったかもしれないが、興味があったのは間違いない。そうなると、怖い想像が俺の頭を過る。


 魔王フィルリアルは、破滅の魔王と違って支配の魔王だ。だから、この世界を支配しようと企んでいるんじゃないか?


 流石にそれは不味いなぁ。でも、魔王フィルリアルを倒さないといけないけど、寄主は結菜ちゃんだから、ただ倒すわけにはいかないし……。うーん、困った……。



「真由君?」



 一層のこと、カリバーに結菜ちゃんの事を教える方がいいか? というか、カリバーはゲームを切り上げて、魔王討伐に参戦してくれるのか?



「すまん、ちょっと考え事していた。聞くけど、カリバーも魔王討伐に参戦してくれるのか?」

「もちろん参戦するよ。その為にこの世界に居るわけだしね」

「ゲームする為じゃないよね?」

「はっはっは、面白い事言うよね。ゲームも魔王攻略には欠かせないんだよ」

「どの辺が!?」



 カリバーが本気なのか? 冗談なのか? 全く分からない。



「心配しなくても僕ちゃんと戦うから」

「魔王討伐日が、ゲームのイベントと重なってもか?」

「あ、う、うん、もちろんさー」

「怪しいなぁ」



 大魔法使いカリバーが本当にゲームで廃人になってしまったら、個人の問題でなく、人類の存亡の問題に関わってくると言っても過言ではないからな。


 そんな事考えていたら、俺ももっと強くならないと。明日は、ミリちゃんが遊びたいと言っていたが、正直、アルシアと魔法の特訓したいんだよね。


 俺は、膝枕で寝るミリちゃんをナゼナゼした。すると!



「パク!」

「痛てー!!」



 突然、ミリちゃんは目を覚まし、俺の指に食い付いた。



「お、おい、放せよ!」



 しかし、ミリちゃんは噛んだまま再び眠りについてしまった。でも、子どものように小さい口だと、なんか小動物に噛まれているようだ。



「噛んだまま寝やがった」

「本当に君たちは仲良しだね」

「仲良しは、人の指を噛んだりしません」

「ふふふー、じゃあ、僕はゲームを再開するか」



 カリバーは再びゲームを始め、俺はミリちゃんに噛まれたままなので、ここから動くことも出来ない。もしかして、ミリちゃんは俺を引き留めているのか?


 仕方が無い、もう少しこうしていようか……。


 俺も疲れが相当溜まっていたのか、そのまま寝てしまっていた。




 そして、周りが騒がしくなってくると、俺は目を覚ました。



「なんだ? みんな居るのか?」



 どうやら、あいみ、アルシア、無垢郎が仕事を終えて戻って来たみたいだ。


 もうそんな時間になっていたのか。

 でも、ポンタだけはまだ任務中らしい。まさかポンタが任務についていたのは驚きだが、あれは重宝されるだろうな。


 それにしても、ミリちゃんがまだ俺の指を放さない。しかも、ミルネはまだ寝ている。


 

「アルシア、このミリちゃんを何とかしてくれないか?」

「ふふ、そうねー、そのままでもいいんじゃない?」

「いや、こいつずっと噛んでいるから、もう放して欲しいんだが」

「ふ、ふんがー!! う、羨まし過ぎる」



 無垢郎がガン見しているな。

 でも、無理に外そうとしたら、何されるか分からないから、自然に目を覚ますのを待った方がいいかもしれない。


 すると、あいみが書類が入った封書を持って、俺の方にやって来た。



「2人とも仲良しだね」

「今の女の子達は仲良しになったら、噛むのか? それより、その封書はなんだ?」

「和田さんからのもの。ミルネちゃんの剣術の件らしいよ」

「おお、もう手配してくれたのか」



 流石、仕事が早い。



「なんか、明日の朝一に朝新幹線で京都に行って欲しいらしいよ」

「あ、明日ー!?」

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