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第148話 疲れる午後

 突然、カーテンを開けたのはミルネだった。というか、もし別人だったらどうする!?



「マユリン達何しているの?」

「こ、これは」

「真由ちゃんに食べられている」

「いいなー」

「おい!」



 見た目なら間違ってはいないが。



「とりあえず、カーテン閉めてくれないか? それからミリちゃん、早く起きて」

「分かったよ。あたしも入るよ」

「なんでだよ!」

「真由ちゃんに食べられる」



 何故かミルネが試着室に入って来た。しかもミリちゃんは起き上がろうとしない。

 何だこの状況……。


 しかし、いつまでも下着姿でいるのは危険過ぎるから、変な事されないうちに着替えよう。



「おお、なんかマユリンが格好良くなったよ」

「そうか、このチョイスは正解だったか」

「真由ちゃん、可愛い」

「いや、失敗か」



 俺は試着室の鏡を見ると……。



「うーん、俺可愛えー」

「マユリンは可愛いよ」

「真由ちゃん、早く食べて」



 うーん、おかしいなぁ。大人っぽくしたはずが、逆にガキっぽくなった気がする。  

 このギャルっぽい恰好に、金髪ツインテールでも帽子を被れば、大人でボーイッシュになると思ったんだが。

 それでも、アルルンの可愛いワンピースみたいな服よりかはマシか。


 とりあえず、このまま購入しよう。ついでに、ジャージも買っておきたい。



 こうして、買い物は無事? に終わった。

 ミルネは服を何点か買っていたけど、ミリちゃんは意外にも普通のリュックだった。このリュックは、俺が異世界に行く時に、和田さんから貰った物に似ている。


 もしかして、俺の真似をしているのかな? でも、ゴスロリに似合うのかな?

 

 


 そして、買い物を終えた後、お腹も空いてきたので近くのファミレスで昼食を取ることにした。ファミレスなら、色んなメニューがあるから、2人の好みも合うだろう。



「メニュー見ても分からないかもしれないが、写真で気に入ったものがあれば教えてくれ」

「ここがマユリンの世界の食堂? 凄いいい匂いがする」

「真由ちゃん、これがいい」

「あー! あたしもそれがいい!」



 ミリちゃんが指差したものは、お子様ランチで、何種類か選べるオモチャ付きだ。 

 まさか、オモチャが欲しいわけじゃないよな? それにいくら幼く見えるからって、お子様には見えないから注文出来ないんじゃないか?



「真由ちゃん、これ欲しい」

「やっぱり、オモチャか!」

「あたしはこれかな。なんか可愛い」

「それ新幹線なっ」



 やっぱり、オモチャが目当てだったか。ミリちゃんが欲しがっていたのは、可愛い小物入れで欲しいのは分かるが、ミルネは新幹線のオモチャだ。こちらは男の子向けで、可愛いわけではない。


 男の可愛いと女の可愛いは違うというけど、それでもねぇ。



「じゃあ、お子様ランチが2つと、俺は……何するかな」



 数ヶ月ぶりの飯って感じがして、何を最初に食うか迷うなぁ。ちょっと、こってりとしたやつがいいかなぁ。



「真由ちゃんも同じにするの」

「えっ!? 何で俺まで一緒にするの?」

「真由ちゃんとお揃いがいい」

「いやいや、飯がメインだから……お、オモチャなんて……あ、はい」



 ミリちゃんの目つきが、怪しくなってきたので、素直に従いました。



 こうして、お子様ランチを3つを注文したが、特に店員さんから疑問に持たれることも無かった。という事は、お子様に見えたのかな?


 いやいや、そんな事は無いと信じたい。



 そして、10分ぐらいで食事が運ばれた。



「おー!! これ食べれるんだよね?」

「見方によっては失礼だぞ」

「いい匂いがする」



 定番とも言うべき、ミニハンバーグ、ポテト、レタス、そして、ご飯を丸く握ってあって、そこに国旗が刺してあった。あとはデザートのプリンも付いている。俺には物足りないが、2人にとってはそうでもないようだ。



「マユリン、これどうやって食べるの?」

「そこにスプーンとホークがあるだろう? それで食べるといい」



 2人はスプーンを取って、お子様のように……いや、お子様の方がもっと綺麗に食べるか。



「マユリン! これ美味しいよ!!」

「美味しい」

「分かったから、もっと綺麗に食べろ。それから大きな声を出さない」



 2人は3日ぶりに飯にありついたような食べっぷりで、俺の注意なんて聞く耳は持っていなかった。でも、実際俺もお子様ランチがこんなに美味いとは思わなかった。 

 恐らく、久しぶりだから、何食ってもそうなるだろう。


 結局、俺も夢中で食べてしまったが、最初はこんな量では足りないと思っていたが、完食すればこれで十分だった。


 うーん、感覚的にはまだ男だった時のままだから、華奢な身体の真由とズレがあるかもしれない。

 気を付けないと。




こうして食事を済ませた後、俺達はミリちゃんの買い物に付き合わされたり、ミリちゃんの為にヌイグルミをゲーセンで取らされたり、ミリちゃんが不意に寄ったお店に入ったりと、ほぼミリちゃんの思うがままにされた。



 そして、組織に戻った時にはもう夕方になっていた。流石にこれだけ歩けば、2人ともお疲れのようだ。俺は、体力的には余裕だが、精神的に疲れた。


 

「マユリン、今日は楽しかったよ」

「明日も遊びに行きたい」

「遊んでばかりじゃあ、駄目だぞ」



 俺達は無垢郎の部屋に戻ると、そこにはカリバーだけしかいなかった。もうすっかり、ここがたまり場になってしまっているな。



「おかえり、お出掛けは楽しかったかい?」

「凄く楽しかったよー!」

「真由ちゃんに食べられそうになった」

「凄く疲れました」



 相変わらず、カリバーはゲームをしていた。



「それ何ー!?」

「ゲームだよ。この世界の娯楽だね」



 ミルネはゲームに興味を持ったのか、カリバーの近くに寄り画面を見ていた。一方、ミリちゃんは眠たそうに俺の腕を掴んでいた。


 ミリちゃんが寝そうだから、早く座らせた方がいいな。

 すると、ミリちゃんは俺を膝枕にして、スヤスヤと眠ってしまった。

 うーん、これは中々可愛い。



 そして、しばらく時間が経つと、今度はミルネも睡魔に襲われ、寝落ちした。2人とも慣れない所だし、これだけ歩けば疲れるだろう。

 俺も、このまま眠りたいところだが、せっかくカリバーと2人きりになったのだから、色々と聞きたい。



「2人とも寝たみたいだね。君も休まなくてもいいのかい?」

「そうしたいが、その前に聞きたい事がある」

「なんだい?」

「2年前の事だ。魔王軍と戦った時、何があった? 図書館の文献には無い、真実を知りたい」

お読み頂き、ありがとうございます。


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