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第147話 疲れる買い物

 俺が支払いをしている間に、ミリちゃんは何処かに行ってしまった。こんな人混みの中、見つけるのは大変だぞ。



「マユリン、あそこに居るよ」

「何処だ? あ、あれか!? 今にも幼女を誘拐しようとしている子かって!! 何やっているんだ!? あいつ!!」



 早く止めさせないと、面倒なことになるぞ。



「おーい!! ミリちゃん!! そんな事したら駄目だよ!」



 すると、幼女の母親が慌てた様子で、こっちに向かって走って来た。



「真保! どこ行っていたの!?」



 やばい、面倒なことになりそうだ。



「迷子になりそうだから、ミリが見ていた」

「ああ、そうなの? ありがとうね」



 母親はミリちゃんにお礼を言うと、その場を去った。

 すると、ミリちゃんは俺にドヤ顔を決め込んでいた。

 これミリちゃんだったから良かったが、大人の男性だったら間違いなく怪しまれただろうな。



「ミリちゃん、偉いね。ヨシヨシ」



 ミリちゃんを褒める事を怠ってはいけない。



「じゃあ、お店に入ろうか? 2人とも驚くぞ」

「真由ちゃん、ミルネちゃんがいない」

「あー、いないなぁ」



 今度はミルネかよ!! 2人とも自由人過ぎる!! 

 俺は辺りを見渡したが、見つからない。



「真由ちゃん、あそこ」

「うん? あ、居た。なんでお互いすぐに見つけられるんだよ!」



 ミルネはティッシュ配りのお姉さんと、何やら話し込んでいた。



「ミルネ、何やっているんだよ!」

「マユリン、凄いよ! こんなに一杯くれたよ」

「そんなに一杯貰ってどうする!? まぁ、一杯あっても困るものでもないが」



 あの世界にティッシュは無かったから、珍しいかもしれない。



「2人とも店に入るぞ。店の中の方が気に入る物が一杯あると思うぞ」

「また、ミリちゃんがいないよ」

「もう、ええっちゅうねーん!!」  



 これはもう手を繋いだ方がいいか?



「マユリン、あそこに居たよ」

「げっ! 一人で店に入ろうとしているじゃないかー! 行くぞミルネ!」

「うん」



 俺は走ってミリちゃんの方に向かった。無茶な開け方をして、壊したら大変だからな。

 しかし、ミリちゃんは扉の前に立つと、何もせず突っ立っているだけだった。



「何もしない!? あっ」



 俺はミリちゃんのすぐ後ろまで行った瞬間、ミリちゃんは後ろにジャンプするように下がった。



「うわ!」



 俺は避け切れずに、接触して地面に倒れた。ミリちゃんは大丈夫だったみたいだが。



「真由ちゃん、危ない」

「痛てて、まさかバックしてくるとは思わなかった」

「マユリン、見えているよ」

「見えてるって? あっ」



 俺はすぐに起き上がった。こんな人前で恥ずかしい。



「ミリちゃん、ここで何やってるの?」

「真由ちゃん、勝手にドアが開く」

「自動ドアだからな」

「凄いよマユリン! 誰かが開けてくれるの?」

「それは自動って言わない」



 結局、ミリちゃんは自動ドアで遊んでいただけだ。まだ、お店にも入っていないのにもう疲れたぞ。



 そして、ようやく俺達は店の中に入った。


 お店は結構広く、メンズかレーディスまで幅広いジャンルの品揃えだ。2人はこの世界は初めてだし、専門的なお店よりかは幅広くある方がいいだろう。

 それに真由のファッションは何が似合うとか全然分からないんだよな。


 だから、ここは店員さんに聞いて、買おうと思う。今回のテーマは、少しでも大人っぽくなるようなコーデにしよう。



「マユリン、凄い一杯あるよ!」

「これは……」



 ミルネは品揃えに、ミリちゃんは服の出来にそれぞれ驚いているみたいだな。



「よし、気に入った服があれば買ってあげるから、そこのかごに入れて、俺の所まで持って来てくれ。決して、店から出ないように。あと分かっていると思うが、そんなに一杯は買えないからな」


「いいの!? ありがとう、マユリン!」

「真由ちゃん、ありがとう」



 2人は燥ぎながら、各々で服を探しに行った。

 

 さてと、俺も探しに行くか。やっぱり、大人っぽく見せるには、ボーイッシュなギャル系の方がいいかな?

 俺は、そういう服が売っていそうなコーナーに向かい、途中に店員さんと出会ったので、アドバイスしてもらうことにした。


 そして、店員さんに選んで貰って、試着することになった。今着ているのは、アルルンの服だからちゃんと綺麗にして返さないとな。数週間ぐらいは、魔力が無くてもデザインは維持出来ると思うが、時折魔力を込めておいた方がいいだろう。


 じゃあ、着替えるか……。


 シンプルなワンピースみたいな服だから、これを脱ぐと下着姿になる。

 うーん、やっぱり、真由の身体はとても綺麗だ。幼い体形なのに、妙にエロい。


 俺が真由の身体に見惚れていると、突然!!



 パァーーーン!!



「うわ! 何だ!?」

「真由ちゃん、これ欲しい」

「ミ、ミリちゃん!?」



 馬鹿みたいにカーテンを開けたのは、ミリちゃんだった。あまりの勢いに俺は、何か事故が起きたのかと思ったぞ。しかも、よりにもよって下着姿の時に……あっ!



「こんな格好だから、閉めさせて頂きます」

「駄目、ミリも入る」

「何で入るんだよ!」

「……」



 げっ、ミリちゃんの目がジト目で俺を睨んでいる。こんな場所で、こんな格好で拘束魔法でも掛けられたら、ヤバ過ぎる。



「じゃあ、中に入って。カーテンを早く閉めたい」

「真由ちゃん、何で下着なの?」

「今、試着しているところだからな」

「ミリも着替える」

「えっ!?」



 すると、ミリちゃんは有ろう事か服を脱ぎ始めた。



「ちょ、ちょ、ちょっと待った!!」



 俺は慌ててミリちゃんの着替えを止めようとしたが、狭い場所故に、ミリちゃんを押し倒すようにして転んでしまった。



「ま、真由ちゃん?」

「ご、ごめん。大丈夫? あっ」



 これは不味い。ミリちゃんの服が乱れて、俺が完全に押し倒したようになっている。いや、実際押し倒しているのだが。ミリちゃんも、驚いた表情と少し照れている。


 傍から見れば、服が乱れた美少女を下着姿の美少女が押し倒しているようにしか見えない。誰かに見られる前にどかないと。



  サーッ



「マユリン、あたしはこれに……」

「違うぞ! これにはね、色々と偶然が重なったんだよ」 



 てか、カーテン開ける前に一声掛けろ!

お読み頂き、ありがとうございます。


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