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第145話 みんなで東京の組織に

 ミルネ、アルシア、ミリちゃん、ポンタと、テレポートをしてくれたメルリさん、そして、オリンさん、付き添いのAランクの女の子2人で、東京にある組織に戻って来た。


 テレポート先は前回と同じく無垢郎の部屋みたいだが、人数が多いため部屋の中を荒らすような形になった。


 もちろん、突然の登場に無垢郎は驚いていたが、意外にもカリバーは隠れようとせず、ゲーム用のPCを守るようにして立っていた。


 久しぶりに帰って来たのだから、色々と話したいことはあるが、今はオリンさんの治療が最優先だ。


 しかし、カリバーは事情が分かっているのか、メルリさん達に指示を出した。



「挨拶は後して、オリンさんを早く治療室へ。僕が案内するよ」

「大魔法使いカリバーさん!?」



 当然ながら全員、カリバーがここに居ることに驚いていた。いや、ミリちゃんはあんまり驚いていないなぁ。

 しかし、俺とアルシアだけはみんなと驚く理由は違う。あれだけ自分の存在を隠していたのに、普通にみんなの前にいることだ。


 しかも、なんか大魔法使いみたいな振る舞いで、ネトゲ廃人らしさがない。



「真由君達はここでゆっくり休んでいくといいよ。僕はアルシア君と同じように医者の指示で、魔法を掛けてくるから」


「ああ、よろしく頼むよ」



 カリバーがそう言うと、オリンさんを連れて、メルリさん達と部屋を慌ただしく出て行った。


 取り残された俺達は、少し呆気に取られた。特にミルネやミリちゃんは、初めての場所だから余計だ。



「治療は直ぐにやってもらえるみたいだから、ここで休もう」

「そうね」

「ここがマユリンの世界かぁ」

「吾輩もこの世界で生まれました」

「真由ちゃんが一杯の世界」



 俺達は椅子に座ると、アルシアはお茶を出す用意を始めた。

 流石、アルシアは気が利くというか、この世界に馴染んでいる。



「無垢郎さんもどうぞ」

「……」



 あれ? 無垢郎が驚いたままフリーズしているぞ。確かに突然テレポートで現れたから無理もないが、流石に驚き過ぎだろ。



「おーい、無垢郎!」

「か、か、か、か」

「か?」



 何か喋ったみたいだが、何を言いたいのか分からない。



「て、て、て、て」

「て?」

「て、て、て、て、天使、天使だー!! 可愛い! ミリたんマジ天使だー!!」

「びっくりした」



 もしかして、突然のテレポートに驚いたのではなくて、ミリちゃんの可愛さに絶句したのか。無垢郎ならそういう反応になってもおかしくはないか。けど、ちゃん付けしないと怒られるぞ。



「初めまして、僕は真由たんの同僚の無垢郎。君はミリたんだよね?」

「駄目だよ。ミリちゃんと呼ばないと」



 透かさずミルネが無垢郎に指摘した。どうでもいいが。



「そうなのかい? って、ここにも天使が……」

「あたしはミルネだよ」

「ミルネたんか……可愛い。真由たんが羨ましいよ」



 無垢郎なら、ミルネみたいな女の子も好きそうだな。それにしても、どうでもいいことだが、ミリちゃんが直ぐに指摘をしないのは何故だ? 起きているよな? うーん、何か考えている様子だ。

 すると、アルシアが声を掛けた。



「ミリちゃん、気分でも悪いの?」

「……」

「えっ!? そうなのかい!? それは大変だ!? 何かいい薬を探さないと」



 そう言えば、ミリちゃんが何かでここまで考えることってあんまり無かった気がするが、大丈夫か?



「ミリたんでもいい」

「え?」



 そんなことで悩んていたのかーい!! 


 

「凄いよ、マユリン。ミリちゃん以外の呼び方が認められたのは、初めてだよ」

「どうでもいいわ!!」

「じぃぃぃーー」



 俺のツッコミに、ミリちゃんは段々と不機嫌になって来た。



「いやー、そういう意味ではなくて……。ははは」



 どういう意味だよ! 自分でツッコミを入れてしまったが、もう色々と面倒臭いわ。

 やっとこっちに戻って来て、最初の会話がどうでも良すぎる。もっと色々聞きたいことや話したいことがあるのに。


 すると、その時、一声掛けて誰かが入って来た。声からしてあいみだ。



「みんなお帰りー」

「ただいまー」

「おう、久しぶり」



 俺とアルシアは普通に返事をしたが、ミリちゃんは品定めをするようにじっくりとあいみを見ていた。


 こいつは毎回女の子をチェックしているのか? でも、あいみはミリちゃんの好みから外れそうな気がする。



「初めまして、ここの組織で働いているあいみです。2人はミルネちゃんとミリちゃんだよね? アルシアから聞いたよ」


「はーい、あたしミルネ! よろしくね」



 ミルネは元気よく答え、ミリちゃんは軽く頷いた。



「そうそう、さっき和田司令官が真由ちゃんに報告をして欲しいって言っていたよ」

「ああ、すぐに行くよ」



 ゆっくりするのは和田さんに報告してからにしないとな。


 

「駄目、真由ちゃんはミリといるの」

「ミリちゃん、すぐに戻るから。その間、無垢郎に可愛いフィギュアを見せてもらうといいよ。いいだろう無垢郎?」


「はい! 喜んで!!」



 すると、無垢郎はフィギュアを奥の研究室から取って来て、ミリちゃんに見せた。



「ほーーーう」



 ミリちゃんは目を輝かせながら、フィギュアを手に取って眺めていた。

 部屋を出るなら今だな。


 そして、俺はこの隙に部屋を出た。

 なんかこっちに帰ってきても、同じようなことをしているなぁ、俺。



 こうして、俺は部屋から脱出して、和田さんがいる指令室に向かった。行く道中に誰かに見つかると面倒なので、極力避けながらになったが。



「只今、戻りました」

「……」

「ん?」

「あ、ああー、えーと……いや、真由君だったね」



 和田さんは、一瞬驚いて、俺が誰だか分からなかったみたいだ。和田さんにとっては、俺はまだ男の方のイメージなんだろう。男の方というのもおかしな言い方だが……。



「任務お疲れだったね。異世界はどうだった?」

「いやー、俺にだけ厳しい世界でしたよ」

「はっはっはー、そうか、そうか。アルシア君からも大体のことは聞いたよ」



 その反応だと、結構知ってそうだな。



「それで任務の方どうだ? 何か分かったか?」

「はい。侵入者の正体は、分かりました」



 俺は異世界人侵入事件の正体が、ベルリア学園のトップのライムさんということを報告した。また、2年前に魔王軍の侵攻でカリバー達が戦った話や、今現在の状況であるダンロッパの闇、そして、ここまで来た経緯を話した。



「なるほど。大変だったな。それで、我々にとって異世界人は脅威になると思うか?」

「はい、魔王軍やダンロッパみたいなやつなら、脅威になると思います」

「やはり、魔法相手にはこちらの武器では役に立たんか?」


「そんな事はないと思います。こちらの武器がどういう物か分からない以上、魔法使いは太刀打ちできないでしょう。しかし、対応されてしまったら、今度はこちら側がに窮地に陥ると思います」



 魔力を発しない武器は異世界では最強だと思うが、対応されてしまったら、今度は魔法で何かしてきそうだからな。ミリちゃんがライターで巨大な炎を出したように。



「でも、大丈夫です、和田さん。味方になってくれる心強い魔法使い達がいますので」

「ああ、分かっている。頼りにしているよ」



 うーん、異世界に行く前は和田さんは、異世界人に警戒していたのに、今は何か信用しているよな?

 やっぱり、アルシアが来てから変わったのかな?



「また近いうちに報告書を出してくれ。今日はもう休むといい」

「ありがとうございます。和田さん、2つお願いがあるのですが」

「何だ?」



 そう、忘れてはならない。

 ミルネに剣術を教えるという約束と、それからもう一つ、魔王フィルリアルの正体、児玉結菜の事だ。

 

 俺はこの2件を和田さんに説明した。



「分かった。児玉結菜という女の子は調べておこう。剣術の件は、段取りがつき次第連絡する」

「ありがとうございます。すみませんが、児玉結菜に関してはここだけの話でお願いします」

「分かった」



 ふぅー、これで今日やるべき仕事は終わりかな。


 和田さんも休んでいいって言っていたし、オリンさんの容体を確認したら、今日はゆっくりとするかー。



 俺は再び、無垢郎の部屋に戻った。

 うーん、このドアを開けたら、ゆっくり休むなんて出来ないような気がしてならない。


 ガチャ



「ああ! やっと帰って来たー!! マユリン! これからお出かけしようよ!」



 やっぱりこうなるんだよね。

お読み頂き、ありがとうございます。


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