表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

14/202

第14話 2年前の魔王軍襲来事件

 俺は校舎内をうろうろしていると、イメージ通りの図書館を発見した。校舎も迷う程広くないので、見つけるのは簡単だ。

 

 今は授業中だが、自習に来ているのか結構の数の生徒がおり、机に本を広げて読む人や、勉強をする人もいた。

 

 とりあえず、魔法無しでもなんとかなりそうか……。


 それにしても、ここにある本棚はなんでこんなに高いんだ!?

 上段が届かないだろうが! 


 うぅ、俺が小さいだけなんだけどね。男の時は背は高い方だったから、こんな苦労はなかったのにな。でも、それを逆に利用する方法もある。


 美少女の特権というものを使ってみるか。

 俺は上段にある適当な本を、背伸びして手を伸ばした。



「うーん……届かない……」



 と、言ってみた。すると近くにいた男子生徒がそれを見て話しかけてきた。



「この本かい?」


 

 その男子生徒は本を取って、俺に手渡してくれた。もちろん、俺の探している本ではない。



「ありがとう。でもこの本じゃなかったみたい」

「どんな本を探しているんだい?」



 よし、その言葉を待っていた。



「近年の出来事が分かる本かな」

「えーと、それなら歴史本がいいかな。ちょっと待ってて」



 いいね、待ってるだけで欲しい本が手に入りそうだ。



「お待たせ。はいどうぞ」

「ありがとう」



 そこそこ分厚い本だな。

 

 俺は少しページをめくってみたが、白紙で何も書いていなかった。

 おいおい、まさかボケたわけじゃないだろうな。



「これ何も書いてないけど」

「それは歴史本だから、どんどん上書きされていくんだよ。指先にほんの少しの魔力でなぞると、読めるようになるよ」


「そうなんだ。親切にどうも」

「じゃあ、僕は行くね」



 指先に魔力を溜めるだけなら、俺でも出来そうな気がする。これは魔法の自主練にもなって一石二鳥だな。


 俺は指先に魔力を集中させ、指先が光ったところで本になぞった。すると、本全体がふわっと光り、すぐに消えた。


 さっそく、ページをめくってみると、ぎっしり文章が表示されていた。



「よっしゃ!! きたー! これ!」

「お静かに」

「すみません」



 俺は思わず声を出してしまったが、単純に嬉しかった。この調子で色々覚えていかないとな。

 よし、読んでいくか。



(その昔、人間が初めて魔法を使ったとされる人物は『パロデメイタ』と言われてます。彼は紛れもなく『ネスタリア』出身で)


 

 昔過ぎるわ! それに何で『ネスタリア出身』とこだけ絶対的な表現になってるんだよ!

 俺はページをペラペラとめくり、そしてカリバーの名前が出てきたので、そこから読むことにした。



(2年前に魔王)



 ちょっと待った! いつから起算しての『2年前』なんだよ! 

 いや、ちょっと待てよ。


 俺が魔力でなぞった瞬間からなのか? あの男子も「上書きされる」って言ってたしなぁ。



(2年前に、魔王ザイロンが率いる魔王軍が、人間を滅ぼす為に総攻撃をしかけてきた。そこで『ネスタリア』ナンバー1のカリバーとナンバー2のマリの主導のもとに、『ベルリア』も加わって討伐隊を結成した。ネスタリア陣営の活躍とカリバーの『ファイヤードラゴン』という大技の魔法攻撃により、魔王軍を撤退へと追い込み、大きな勝利を収めることが出来た)



 なんかネスタリアばっかりで、偏重しているよな。ベルリアに関しては、人物名すら書いてない。

 


(しかし、偉大な勝利を収めたカリバーとマリだが、帰還する際に遭難した)



 いや、それは流石に無いだろ! 魔王軍を撃退して、帰りに遭難って……。



(その後は、偉大なる魔法使いダンロッパさんがネスタリアを、より発展と豊かな生活が送れるよう主導しました。またダンロッパさんは――)



 あれ、最後はダンロッパのごり押ししかないぞ。

 

 俺は本を閉じた。これ以上読んでも得るものはないだろう。とりあえずダンロッパにはなんか『闇』がありそうなのは分かった。

 

 あいつには気を付けた方が良さそうだ。それ以前にCランクの俺が関わることはないか。

 

 それより、知れば知るほどカリバーって凄いやつなんだな。

 ただのネトゲ廃人じゃないのか?

 

 あいつは何か目的があって来たのか? 今度会ったら問い詰めてやらなければ。

 


 さてと、日はまだ高いし、まだ時間はありそうだ。日常に使える魔法の勉強でもしていくか。

 でも今日は早めに寮に戻ろう。ミルネのこともあるし。




 ――そして、外はすっかり夕日に染まっていたが、俺は日常生活に必要な魔法を中心に、図書館で勉強をしていた。

 

 しまった! もう夕方じゃないか! ミルネが心配だから、早めに寮に戻ろうと思ってたのに。

 俺は急ぎ足で寮に戻った。すると、予想通りミルネの方が先に帰っていた。


 

「ああ、た、ただいま」

「……」

「……」

「……おかえり」



 やばい! 出迎えの時より落ち込んでいる!

お読み頂き、ありがとうございます。


気に入って頂ければ、ブックマークや↓の☆をクリックしてくれますと、モチベーションが上がります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ