表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

135/202

第135話 ベルリア学園トップのライムさん

 俺はライムさんを殴る直前、勢いを殺してビンタに変えた。しかし、勢いは殺したつもりだったが、とてもいい効果音を響かせながら、ライムさんはそのまま少し飛ばされるように倒れてしまった。


 その光景が目に入ったのか、フェルティングスやメルリの動きが止まり、ライムの方に視線が向いた。


 そして、俺はミルネとストレングスに手を向けて、攻撃中止の合図を出した。



「ライム!!」

「おい! 嘘だろ!!」



 フェルティングスとメルリは、ライムさんが一発でやられてしまった事に動揺しながら、急いで駆け寄った。



「おい! 大丈夫か!?」



 2人はライムさんに声を掛けているが、何故か起き上がらない。


 あ、あれ? そんなに強く叩いたかな? 気絶してしまったかな? 早く目を覚ましてくれないと……。



「おい! よくもライムをやってくれたな!」

「オリンだけでなく、ライムまで……あんた覚悟は出来ているんだろうね!」

「げっ!!」



 いやいや、そんな展開止めてくれよ! もういいわ!!

 でも、今回はミルネやミリちゃん、ストレングス、そして、アルシアもいる。焦ることはない。


 よし、助けてもらおう!


 俺はみんながいる方を振り返ると……。


 げげっ!!


 みんなは地上に降りてきたアルシアの方に集まり、そこにストレングスも加わってなんやら楽しく談笑していた。

 

 あー、楽しそうだな。ミリちゃんがいないと思ったら、アルシアの所にいたのか。

 俺も加わりたい……。アルシアに話したい事、聞きたい事が一杯あるのになぁ……

 

 あはははは……。



「おい! 何よそ見をしておる!!」



 クソー!! なんで俺だけいつも、強敵に1人で戦わないといけないんだよ!! 

 ていうか気づいてくれよ! 



「えーい、こうなったらやけくそだ!! どっからでも来い!!」

「ふん、覚悟は出来ているみたいだな。では、行くぞ!!」



 初見ならこの2人から逃げるくらいは出来るだろう。

 

 しかし、フェルティングスとメルリは、前へ一歩踏み出そうとした瞬間!!



「2人ともちょっと待て!! 俺は大丈夫だ」



 ライムさんはゆっくりと起き上がると、フェルティングスは剣を下ろした。



「あんた、大丈夫なのかい?」

「ああ、何ともない。ふーう、初めてだよ。女の子に打たれたのは。何か俺の心に響くような感じだったよ」



 そう、これが俺が期待していた展開だ。けど、後半は何を言っているんだ?



「お前に興味が沸いた」



 ライムさんは俺にキメ顔で、気持ち悪い事を言ってきやがった。もしかして、真由に一目惚れしたわけじゃあないだろうな?


 この真由は男だぞ。それとさっきから、メルリが怖い顔で俺を睨んでいる。

 おいおいおい、面倒なことになるんじゃあないだろうな……。



「こんな気持ちになったのは久しぶりだよ。おっと、今はこの話はやめておこう。お前とはまた2人きりで話がしたいものだ」



 おいおいおい、何言っているんだ!? 

 ここは諦めてもらう為に、早めに手を打たないと……。



「はははは……一応、俺はミリちゃんの物なので……そういう事は……」

「そうか、それは仕方がないな。そんな恐ろしいことは出来ない」


 

 うーん、半分冗談で言ったのに、ベルリア学園のトップでもミリちゃんを恐れるか。でも、これで諦めてくれそうだ。


 でも、逆に俺はミリちゃんから自由になれるのか?

 まぁ、今は考えるのはやめよう。


 それよりさっき、ライムが「2人きりで」と言った時、メルリから殺意を感じた。

 恐らく、メルリはライムの事が好きなんだろう。



「真由に1つ聞きたい事がある。単刀直入で聞くぞ」



単刀直入って、何だよ! 好きな人はいるのか? とかじゃないよな。



「お前は、奇跡の世界からテレポートで転移したんじゃないのか?」

「うん、あ、ええーーーー!!」



 予想外の質問が来たぞ! 奇跡の世界から転移して来たという事は、東京? 日本? 地球? 範囲は分からないが、俺が住んでいた世界を示しているんだろう。


 俺が美少女になる前、組織に侵入した犯人がライムさんだから、俺の居た世界を知っていてもおかしくない。


 だけど、今は美少女なのに、なぜ分かるのか? 確か、魔王フィルリアルと初めて会った時も、同じ事を聞かれた事がある。


 もしかして、魔力で分かる人には分かるのかな?



「なぜ異世界から来たと? やっぱり魔力ですか?」


「魔力? それは知らないが。奇跡の世界では、魔力が無くても魔法みたいな事が出来るみたいだからな。さっきの技もそうじゃないのか? 俺はあの世界に何回か行った時、その技を使っていた男を見たことがある」



 魔力は関係無いという事は、魔王フィルリアルが特別なのかもしれない。

 

 それから、その男というのも、俺がまだ美少女になる前、あいつを追い詰めた時の事だ。それで同じ技を使う真由を異世界から来たと思ったんだろう。

 

 まぁ、それがきっかけで、俺はこの世界に魔法習得と、あいつを調査しに行く事になってしまったわけだが……ん? 


 今、あいつの事を調査するには、絶好のチャンスじゃあね? 

 

 なら、色々聞き出してやろう。

 まぁ、調査で本人から聞くと言うのも変な話だが。



「えーと、ライムさんはなぜ奇跡の世界行ったのですか?」

「カリバーに会う為だよ。お前なら知っているんじゃないか? あいつのテレポートで来たんだろう?」


「い、いや、それは……」



 俺があれこれ聞きたいのに、なんか向こうのペースでこっちが色々聞かれているぞ。しかも、カリバーが居ることも知っているなんて、俺は何て答えてたらいいんだ?



「どうした? 答えられないのか?」

「ははは……」

「まぁ、いいさ」



 もう笑うしか出来ない……。



「最後に聞くが、お前は魔王軍と接触したと報告があったが、あの魔王に会ったのか?」

「あの魔王って、フィルリアルの事ですよね? えーと、それは……」



 うーん、魔王の事も正直に言った方がいいのか? いや、関係者と思われるかもしれないから、偶発的に魔王軍と接触した事にした方がいいかもしれないな。



「ほーう、ザイロンではなくて、フィルリアルと答えるか」

「あっ」



 しまった!!

 一般的には魔王はザイロンだった。

お読み頂き、ありがとうございます。


気に入って頂ければ、ブックマークや↓の☆をクリックしてくれますと、モチベーションが上がります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ