表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

134/202

第134話 反転攻勢!!

 煙が晴れてくると、空にアルシアが姿が見えた。

 アルシアはガムイのデス魔法で、魔力を完全消失したはずだから、魔法では無いはず? もしかして、無垢朗達の新兵器?


 いや、そんな物を装備しているようには見えないし、プロペラ音も聞こえない。

 どういう事?

 そもそも、何でここにいるんだ?


 俺の理解が追い付いていないでいると、薄暗くてはっきりと見えないが、アルシアが一瞬笑ったように見えた。そして、ステッキのような物を取り出すと、反対の手の指先を軽く当てた。


 すると、そのステッキは幻想的な光を放ち、周囲を照らした。流石にここまで光を放つと、ストレングスやベルリア陣営もアルシアの存在に気付いたようだ。



「あの光は何だ!? あの女は誰だ!?」

「ゴッスン?」

「マユリン!! あれアル姉だよね!?」



 突然現れたアルシアにみんなが注目しているようだが、無論俺もそうだ。

 正直何がどうなっているのか分からない。ただ、アルシアの笑顔が一瞬でも見れて、心の底から嬉しくなった。


 そして、アルシアはステッキを真上に上げると、幻想的な光がアルシア全体に覆って、周囲が明るくなるぐらいの強烈な光を放った。


 うーん、眩しい。



「マユリン! アル姉から魔力を感じるよ!!」

「アルシアちゃん、帰って来た」



 確かに魔力を感じる。宙に浮いているのも、この光も魔力で間違いないだろう。

 でも、アルシアは魔法が使えなくなったはずなのになぜ?


 しばらくするとアルシアを覆っていた光が、ピンク色に変わり、ひらひらと桜みたいに散っていった。


 すると、さっきまで制服だったアルシアの格好が、ピンクを基調としたフリフリとした衣装、胸にリボン、そして、ステッキ。 



 これは魔法少女!?



 この距離でも分かるぐらいディテールにこだわった衣装だ! 少なくともこの世界には存在しないだろう。



「おおーーーーー!!」



 ミリちゃんも、普段聞き慣れない驚きの声を上げて、眼をギラギラさせている。



「マユリン!! アル姉の雰囲気変わったよ!! あれ可愛い!!」

「ああ! 可愛い! しかもただのピンク色じゃなくて、桜を意識した作りになっているんじゃないか? それが少し大人っぽい」



 確かにアルシアは可愛い魔法少女になったが、スラッとした体型や桜の演出で大人っぽい色気みたいなものもある。もし、この真由に着せたらコテコテに可愛くなると思うが、大人っぽさは出ないだろう。



 でも、それより俺は、アルシアが時折見せる笑顔、自信に満ちた表情をしているのが嬉しかった。

 

 俺が最後に見たアルシアは、瀕死の状態で魔力も消失していた。しかも、二度と魔力が復活しない現実に精神も病んでいた。それが今は……。



「マユリン!! 見て!! アル姉がなんかするよ!!」



 すると、アルシアはステッキを前に差し出すと、魔力を高め始めた。その魔力は俺でもはっきりと分かる強力なものだった。


 

「アル姉の魔力がどんどん上がって行くよ!!」

「なんか前より凄くなっている気がするぞ」



そして、凄まじい魔力になると、ステッキから円形の炎のようなもの? が現れるとゆっくりと動き出した。

 炎みたいにメラメラと燃えている感じなのだが、色がピンク色だったので、炎かどうか分からない。



「出でよ!! 爆炎龍紅桜!!」  

 


 すると、円形の炎が一気に爆発して、全体に広がって桜の花びらのように舞った。

 そして、その花びらが燃え上がり、さらに集結してドラゴンの姿になっていった。


 なんだこれは!? 


 しかも、このドラゴンは生きているかのように動き、ベルリアの方を睨んでいる。

 あえてピンク色にしているのは、アルシアの好みなのか? それに演出といい、名前の付け方といい、あれは俺の世界に影響されたのかな?

 

 しかし、俺達は感動的だが、ベルリア学園側は当然だが、そうではなかった。


 

「あれはまさか! あいつの技!? それに結界の弱点を知っているのか!?」

「ライム! あの規模は不味いぞ!!」


 

 あの龍に睨まらて、ベルリアの人達はかなり驚いているな。でも、あいつって誰の事だ? それに弱点って。

 

 そして、炎のドラゴン爆炎龍紅桜を完成させたアルシアは、ステッキを振り上げた。



「昇れ!」



 すると、爆炎龍紅桜は、天にも届きそうな勢いで空高く昇り、君臨するかのように堂々たる構えで、ベルリアの方を見下ろした。


 これは一体どういう魔法なんだろう? 前にミリちゃんがやっていた、生命を与える魔法『アニマ』なのか? それとも本当にドラゴンを召喚したのか?


 

「あの結界を破って!!」



 アルシアが命じると、爆炎龍紅桜は結界の上から突き進むと、結界との衝突で大きな火花を撒き散らし、身を削りながら結界を破壊して行った。



「やっぱり、弱点を知っている!! 破られるぞ!」



 そして、爆炎龍紅桜が地上に降り立つ頃には、結界と伴に消滅した。俺は迫力のある映画を見ていたような感覚で、呆気に取られていた。しかも俺だけではない。ベルリアもストレングスもミルネもだ。


 ミリちゃんは爆炎龍よりも、ずっとアルシアの魔法少女の衣装が気になってしょうがない感じだが。


 そして、この沈黙を破ったのはアルシアだった。



「真由! 今よ!!」

「あっ、うん、はい」



 咄嗟に「はい」って言ってしまったけど、結界はもう破られているんだから、今がチャンスだ。ここで形勢が逆転すれば、聞く耳を持ってくれるかもしれないし、あわよくば、この後の交渉も有利になる。



「今がチャンスだ!! 一気に攻め落とすぞ!! ミルネ!! お前の聖なる魔法剣で突破口を開いてくれ!!」


「分かったよ!! マユリン!」

「太助さんはゴッスン砲をいっぱい打って下さい!」

「分かったでゴッスン」



 俺の掛け声によって、一気に攻撃体勢を整えたが、それはベルリアにも同じ事だ。  

 しかし、明らかに向こうの体勢は乱れている。



「行くよマユリン!!」



 ミルネは、剣にデザインした聖剣ホーリーを振り上げた。相変わらず、剣から凄い魔力で放電しいているかのようなバチバチと音を立てていた。


 なんか前より魔力が上がっているよな?



「えーーーい!!」



 ミルネは聖剣を振り下すと、衝撃波と同時に斬撃が地面を割りながら、ベルリア側の方へ走った。それに続くように、太助さんによるゴッスン砲の連打が始まった。



「よーし、俺も行くぞ!! ミリちゃんはーって、あれ!? いない!?」



 いつの間にかミリちゃんはいなくなっていたが、今は構っていられない。放っておいても大丈夫だろう。俺はミルネが放った斬撃の後を追うようにして、3人にいる所へ、MPCで高速移動した。

 

 しかし、ベルリア側も出遅れたとは言え、対応してきた。



「あの斬撃は俺が弾き返してやる!!」

「じゃあ、あたいはゴッスンをやる!!」



 ミルネの放った斬撃を、フェルティングスが魔法剣を振り下ろし、同じように斬撃を飛ばしたが……。



「何!? 弾き返されただと!?」

 

 

 ミルネの放った斬撃は止まらず、フェルティングスの斬撃を無残に蹴散らした。

 そのお蔭で、俺は安全に接近出来ている。



「こうなったら、直接魔法剣で打ち消してやる!!」



 フェルティングスは衝撃波を、野球のボールを打つように剣を構えた。

 


「最大の魔動転化で消えろ!!」



 フェルティングスは魔力を最大にして打ち返そうとしているようだが、俺はもうかなり接近出来たので、ここで打ち消されても大丈夫だ。 


 ミルネはSランクを一人止めてくれたわけだ。凄いなー。

 あとは俺が、ベルリアトップのライムさんにお灸を据えてやる!


 俺はMPCで、ダッシュを連発させてライムに接近した。ライムさんの方もそれに気づいているようで、魔動拳で対応するつもりだ。



「なんだあいつは!? 魔力を感じないぞ! これでは先が読めん!」



 俺のMPCはどんな魔法使いにでも、初見であれば魔力を発しないことに戸惑ってくれるから、一発なら楽に叩き込める。さらに、ここの世界は身体を鍛えない軟弱者ばかりなので、一発KOも可能だ。


 しかし、今回は倒しに来たわけじゃない。ダンロッパの闇を粛正に協力を求める為に来たわけだ。だから、まずは話を聞いてもらうために……。


 俺はライムさんを撹乱させて一気に飛び込み、これで殴れば死ぬかもしれない勢いで、拳をライムさんの頬に向けた。



「あっ」

「俺の話を聞けー!!」



 パチンッ!!

お読み頂き、ありがとうございます。


気に入って頂ければ、ブックマークや↓の☆をクリックしてくれますと、モチベーションが上がります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ