表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

129/202

第129話 ベルリア学園の不穏な動き

 ゴレイアーさんが現れると、ミリちゃんは俺の横から抱き寄せ「真由ちゃんは渡さない」と言わんばかりにゴレイアーさんに、威嚇した。



「ウ~、ウ~」

「おいおい、今日はやたらと抱き付くなぁ。でも、今のこの状態って、無敵?」

「無敵です」



 冗談で言ったつもりだったが、ゴレイアーさんは即答だった。

 これからは、敵地に乗り込むときは、これで行こうかな? はは……。



「では、お願いします」



 用件だけを言うとゴレイアーさんは、自分の野営場所に戻って行った。



「マユリン、何かやらかしたの?」

「何もしてないよ!」

「真由ちゃん、行ったら駄目」

「心配しなくても大丈夫。それより、俺らも早く準備しよ」



 冷静に考えれば、もし何か企んでいたのなら、ミリちゃんがいない所で呼び出すだろう。という事で、野営場所はみんなとそこそこ近い所にしておくか。


 ふと、周りのストレングスの人達の様子を見ると、モンゴルのゲルみたいな大型のテントがあり、その周囲をBランクが寝袋で警備しているような感じだった。


 うん、俺がイメージしていた討伐隊って感じだ。

 

 さてと、俺もそろそろ夕食の準備を始めるとするか。準備と言ってもジュレを小分けにするだけだが。

 

 でも、よく考えてみれば、アルシアがこれだけの量を用意してくれていなかったら、ヤバかったよなぁ。俺もベルリア学園に行くだけで、こんなに時間が掛ると思っていなかった。


 あれから大分時間がたったけど、アルシアは今何をしているんだろう? 怪我はもう治っているはずだし、会いに行きたいけど、なかなかチャンスが無い……。


 また4人で冒険出来る日が、やって来るのかな……。



 そして、数時間が経過し、夕食も済ませた頃には、もう辺りは真っ暗になっていた。一応、寝袋の準備はしておいて、俺はゴレイアーさんに約束通り会いに行く事にした。


 

「ちょっと、ゴレイアーさんの所に行って来るわ」

「駄目、ミリと一緒に寝るの」

「えっ!?」

「ふんっ」



 なんで拘束魔法!? しかもいつもより、魔力が強い気がする!? 俺はまた理不尽に拘束され、寝袋の中へ魔法で押し込まれた。そして、ミリちゃんも一緒に中に入った。



「おい、何をする?」

「駄目、真由ちゃん一人で出歩いたら怪我をする」

「いや、すぐそこなんだけど」

「駄目、一緒に寝る」


「マユリン、諦めた方がいいよ。あたしも一緒に寝るから」



 確かに以前、夜中に出歩いて魔王軍幹部と戦う羽目になった事はあった。

 だからと言って過保護過ぎだろ!

 

 それとも、ミリちゃんはストレングスが何か企んでいると思っているのかな? ずっと、警戒していたし。


 うーん、それならこの拘束魔法を解いてもらわないと、寝込みを襲われたらヤバいんだけど。



「ねぇ、ミリちゃん拘束魔法解いてくれないと、寝づらいんだけど」

「……」



 ミリちゃんは黙ったまま、俺の方を至近距離でジト―と見てきた。はっきり言って怖い……。



「あたしからもお願いするよ。マユリンの手が邪魔で抱きずらいよ」

「分かった」

「おい」



 ミルネのお蔭で、拘束は解除されて自由になったが、ミリちゃんが起きている間は、この寝袋すら脱出不可能だ。遅くなったら、ゴレイアーさん怒るかな……。


 俺はミリちゃんが眠りにつくのを待った。

 


 そして、しばらくすると、俺の頬にミリちゃんの頬をくっつけながら、寝息を立てていた。よし、これはチャンスだ。ミルネもまだ抱き付いて来ていない。


 俺はゆっくりと、寝袋から脱出しようとした。がっしかし!!


 あれ? ほっぺたがくっついたまま、離れないぞ! 前にもミリちゃんの指がくっついて離れなかった事があったが、今回もそれと同じだ。


 でも、一瞬離れる事は出来るけど、またすぐに吸い寄せられるようにくっついてしまう。


 何だよ、これ!?


 俺が外そうともがいていると、誰かがこっちにやって来る足音が聞こえた。

 誰か来る!? けど、何も出来ない……。


 そして、その足音は俺達の寝袋の前で、止まった。すると……。



「なかなか来ませんので、こちらからお伺いしました」



 その足音の正体はゴレイアーさんだった。



「すみません、このような状況で行けませ――」

「それは仕方が無いです」



 それは仕方が無い事なのか!?



「どうもミリちゃんは、ストレングス討伐隊を警戒しているみ――」

「でしょうね」

「えー!?」



 何、その当然だろうみたいな反応は……。

 やっぱり、ミリちゃんとストレングスは、過去に何かあったんじゃないのか?


 あるいは、ミリちゃんはストレングスの秘密を知っていて、それがとてもヤバい事だったりする?


 どちらにしろ、状況は良く無いぞ。また俺一人が苦労する展開になるかもしれない。いや、今はミリちゃんとくっついているから安全だ。なら、ちょっと踏み込んでみるか。



「ゴレイアーさんは、ミリちゃんが警戒している理由を知っているのですか?」

「はい、うるさいからです」

「そんな理由かよ!!」



 なんか急に疲れが来たなぁ。もうあれこれ考えるのはやめよう。



「それでお話って何ですか?」

「少し歩きましょう。そこから出れますか?」

「うーん、ミリちゃんと頬がくっついているからなぁ」

「それなら、何とかなります」



 解除してくれるみたいだけど、これで無敵モードもなくなるわけか……。



「恐らく、あなたとミリちゃんの魔力の波長の合う所が、『魔力結合』しているのでしょう。これはかなり高度な魔法ですが、魔力解除で解けます」


 

 かなり高度な魔法か……魔力結合も使い方によっては、戦闘ではかなり強いんじゃないか? 例えば、相手の魔力を捉えれば、問答無用に引き寄せる事が出来るわけだし……ん? そんな事あったよな?


 確かミリちゃんの姉のマリが使っていた魔法だ。あれはそういう事だったのか?  


 

「はい、終わりました。これで動けるようになったでしょう」

「本当だ。いつのまに……」



 俺はミリちゃんとの魔力結合が解除され、寝袋から脱出する事が出来たが、少し罪悪感は残った。  やり方は強引だが、一応ミリちゃんは俺の事を思っての事だからな。理不尽だけど。


 そして、自由に動けるようになった俺は、ゴレイアーさんと一緒に適当に歩きながら、話しを聞く事にした。



「それで話って何でし――」

「ベルリア学園の討伐隊が、我々を監視していた件です」



 相変わらず喋りきる前に、返事してくるなぁ。



「普通なら、これから合同演習を行うのであれば監視ではなく、出迎えるものです。なぜ監視を行ったのでしょうか?」



 そんな事、俺が知るわけないだろ。むしろ、監視活動は普通にやってるものだと思っていたからな。



「うーん、なぜでしょう? ミリちゃんが怖いから警戒していたとか?」

「なるほど」

「いや、冗談ですから」



 とりあえず、ベルリア学園の対応は普通ではない事は分かった。うーん、ダンロッパの仕業という可能性もあるだろう。



「向こうの対応に疑問がある以上、こちらも警戒した方がいいかもしれま――」

「はい、その通りだと思います」



 と、その時!! ストレングスのサポータの一人が、慌てた様子でこっちにやって来た。



「大変です!! ベルリア学園の討伐隊の隊列が、こちらに来ます!!」

お読み頂き、ありがとうございます。


気に入って頂ければ、ブックマークや↓の☆をクリックしてくれますと、モチベーションが上がります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ