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第123話 偽真由ピンチ!!

 アルルンは余程真由が気に入ったのか、ピクニックに行くみたいに気分上々で出て行った。


 俺も心配なので、尾行する事にしたわけだが、ミリちゃん達よりも敵であるはずのアルルンの方が心配でしょうがない。


 アルルンは、隊長の俺、真由なら言う事を聞かせる事が出来ると思っているようだが、それは現場を知らない机上の空論だ。

 もし、そんな事をすれば、きっとアルルンは酷い目に遭わされるに違いない。


 別にアルルンが魔王軍の関係者で悪巧みをするなら、そうなっても構わない気もするが、悪いやつには見えない。恐らく、無垢で根はいい女の子だと思う。


 だから、俺はいざとなればアルルンを助けようと考えている。


 あとは、あの2人がどういう反応をするのかも興味がある。もしかしたら、今後に役に立つかもしれない。



 俺は見つからないように、距離を取ってアルルンを尾行した。

 途中アルルンは、ミリちゃんがデザインしたゴスロリに興味があるのか、何度も立ち止まって服を見て、ポーズを取ったりしていた。



 そして、ミリちゃん達がいるミリハウスに到着すると、自分の家のように堂々と中に入って行った。


 おいおい、もっと警戒しろよ! って、俺に変身しているから別にいいのかもしれんが……。


 俺はドアの前で屈んで、隙間から中の様子を伺った。このメルヘンな家は見た目は凄いが、細かい部分は結構雑で、ドアにも結構隙間があるのだ。


 アルルンは中に入って、一直線に2人が寝ているベッドに向かっているみたいだ。



「いっしっしっしー、これから入れ替わるわけですね」



 おいおい、声が駄々漏れだぞ。


 アルルンは寝ている2人の前に立つと、魔法で宙に浮き、再びスライム状になって布団の中へ入った。


 おお! 

 布団に入る瞬間だけは、物音も立てず自然に入れたようだ。しかし、布団の中に入ってしまうと、ここからは姿が見えなくなってしまう。


 さて、これからどうするか? 恐らくこのまま朝まで過ごして、なんらかの指示を出すつもりだろう。それまで俺はここにいるのもあれだし……。



 しかし、そんな心配は直ぐに無駄になってしまった。



「さぁー、2人とも起きるんですー!! 今から出かけるわけですね!」



 えーー!! アホかあいつ! いやいや、朝まで待とうよ! 

 それに起こすんだったら、なぜ布団の中に入った!? 

 ミルネはそれぐらいでは起きないが、ミリちゃんは怒るぞ……。



「さぁ、早く! 隊長の命令なわけですよー!」

「真由ちゃん……」

「やっと起きたみたいですね」



 あーあ、ミリちゃんが起きた。アレが来るぞ。



「ふんっ」



 恐らく今のは拘束魔法を掛けたんだろう。経験で分かる。



「しっしっしー、アルルンにそんな魔法は効かないわけですね」



 はい、アルルンって言った!! あいつ、真由を演じるつもりはないのか! 流石にこれはバレたのでは?



「マユリン……」

「しっしっしー、うげっ」



 うーん、中の様子は見えないが、分かってしまう。今の「うげっ」はミルネに抱きつかれたな。


 そして、ここから先は俺も分からない未知の領域になる。なぜなら、俺はミリちゃんの拘束魔法を回避した事が無いから、その先のミリちゃんの取る行動を知らない。


 これは勉強になるぞ。もし俺が拘束魔法を回避出来るようになったら、もう理不尽な事をされなくなるかもしれない。



「ふん!!」

「そ、そんな強力な……」

「ふふーん」



 今ので分かりました。俺は拘束魔法を回避出来るようになっても、ミリちゃんからは逃れる事は出来ないと。


 そして、アルルンはAランクの実力者だから、ミリちゃんは、少なくともAランクの実力ではどうにもならないという事。



「こ、こ、これは何の真似? もう気づかれちゃったわけなの……」

「マユリン……ん? 今日のマユリンは肌の感触が違うね」

「ほーう、いつもと真由ちゃんと違う」



 いやいや、お前らどこで俺との違和感を感じているんだ!! 明らかに話し方が違うだろ!! そっちに違和感持てよ! 肌の感触って……。



「この感触も悪くないよ」

「ニュー真由ちゃん」

「ちょ、ちょっとや、やめて」



 何が「ニュー真由ちゃん」だよ! まだ俺って気付いていないのか?



「なんか今日のマユリン……」



 おお、やっと気づいたか?



「女の子っぽくなった」

「え? アルルン、じゃなくて真由は女の子のわけでして……」

「うんうん、マユリンは可愛い可愛い女の子だもんね」



 駄目だこりゃ。今またアルルンって言ったのに気付いていないな。アルルンも相当困っているだろうな。



「私は隊長なわけで、この拘束魔法を解いて欲しいわけですねー」

「駄目、真由ちゃんまた勝手に出歩く」

「マユリン、勝手に出歩くのは駄目だよ。あたしはもう眠いよ。ニューマユリン抱いて寝る」

「そ、そんなにくっつか――キャ!」



 そろそろ、救出に行った方がいいだろう。いつまでも魔法拘束されたままで、2人に襲われたら泣いてしまいそうだ。


 あの真由は本当に女の子だからね。


 これに懲りたらアルルンも二度と騙そうとしないだろう。

 よし、助けに行ってやるか。真由が2人いたらびっくりするだろうな……。


 俺はアルルンを救出する為に中に入った。


 ベッドの前まで来ると、アルルンの嫌がる声と、布団の中でもぞもぞする音が生々しく聞こえくる。



「おい、もうその辺にしてやれよ」



 俺は布団を捲ってみると……。


 なんか見てはいけないような気がして、布団を元に戻してしまった。もし、カップルがいちゃついている場面に遭遇してしまったら、咄嗟にその場から離れるみたいな感じだ。


 魔法拘束された半泣きのアルルンに、ミルネがさらに後ろから蟹挟で押さえつけられ、正面からミリちゃんが悪戯しているように見えた。


 実際はミルネが抱き枕のように抱いていて、ミリちゃんが添い寝するようにしていただけかもしれないが。


 とりあえず、今度はちゃんとアルルンを救出しないとな。


 俺は再び布団を捲ろうと手を掛けようとした瞬間!


 布団の中から手が伸びて、俺の胸ぐらを掴まれると、そのまま布団の中へと引きずり込まれた!



「な、なにー!?」

お読み頂き、ありがとうございます。


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